音作りドットコムの各記事では、ギター・ベースのアンプモデル設定(GAIN/TREBLE/MIDDLE/BASS等)に 「ミドルを削らない」「歪みは薄く」という共通の考え方を繰り返し書いています。ここでは、なぜ バンドサウンドでこの方針が有効なのか、複数楽器が同時に鳴る中で音が埋もれないためのEQの 考え方を体系的にまとめます。
「削って作る」と「棲み分けて作る」の違い
1本のギターだけで音を作る場合、EQは「好みの音色に近づけるための調整」として使えます。 しかしバンドサウンドでは、ギター・ベース・ボーカル・(曲によっては)キーボードが同時に 同じ周波数帯を主張し合うと、個々の音は良くても全体としては団子状に埋もれて聴こえます。 そのため各記事のEQ方針は「好みの音を作る」よりも先に「どの楽器がどの帯域を担当するかを 棲み分ける」ことを優先しています。
各記事で共通しているEQの考え方
ミドルは削らない
ギターのアンプモデル設定でMIDDLEを50〜60%程度に保ち、下げない方針がほぼ全記事で 一貫しています。ギターの存在感(音の輪郭・抜け)の大部分は中域にあるため、ここを削ると 音量を上げても抜けてこない「奥に引っ込んだ音」になりやすいためです。「歌や他の 楽器と混ぜた状態で、ギターの輪郭がぼやけていないか」を耳で確認するのが判断基準です。
ベースはHIGH-MIDでギター(や鍵盤)と棲み分ける
ベースのアンプモデル設定ではLOW-MID(低中域)を削らずに残し、HIGH-MID(中高域)は 35〜45%程度に抑える書き方が多く見られます。ベースの土台としての存在感はLOW-MIDにあり、 一方でHIGH-MIDを上げすぎるとギターの中域と帯域が重なって喧嘩します。「ベースだけを 上げた時に良い音でも、ギターと同時に鳴らした時にどちらかが埋もれていないか」を必ず セットで確認するのが判断基準です。
TREBLE・HIGH-MIDは刺さらない上限を探す
ギター・ベースいずれもTREBLE(高域)は上げすぎない方針が共通しています。ボーカルの 歯擦音や存在感がある帯域と近いため、ここを上げすぎるとボーカルと喧嘩して耳に痛い音に なりやすいためです。「バンド全体で鳴らした時に、耳に刺さって痛く感じる上限の 一歩手前」を探すのが判断基準です。
キーボード/シンセはギター・ボーカルの隙間を探す(該当曲のみ)
キーボード/シンセ担当が明確な曲の記事では、音色そのものより「ギター・ボーカルと 帯域が被らない箇所を判断基準つきで調整する」という方針を掲載しています。ギター・ベースの 帯域配分が先に決まっているため、キーボードは残った「隙間」に音を置く、という順番で 考えると迷いにくくなります。「バンド全体で音の隙間があるかを耳で確認する」のが 共通の判断基準です。
実践での使い方
- まず個々の楽器を単体で気持ちよく聴こえるように作らない。バンド全体を同時に 鳴らした状態で最終確認するのが、埋もれを防ぐ最大のポイントです。
- 「音量を上げる」より先に「削る帯域を減らす(=残す帯域を意識する)」を検討する。 ギターのMIDDLE・ベースのLOW-MIDのように、各楽器が主役になる帯域を削らずに残すことが 埋もれを防ぐ土台になります。
- 個別の曲でのより具体的な数値・判断基準は、各記事の①〜⑤セクションで確認してください。 このページはあくまで複数記事に共通して見られる傾向を体系化したものであり、特定の曲の 正解を示すものではありません。