椎名林檎「罪と罰」はBPM118、キーFメジャーの1970年代風ロックバラードです。2000年発売の6thシングルとして知られ、アルバム『勝訴ストリップ』の先行曲でもあります。BLANKEY JET CITYの浅井健一がゲストギタリストとして参加した曲で、椎名林檎自身が「ギターパートのみを外した」デモテープを浅井に送って参加を実現させたという逸話が示す通り、生々しいギターの存在感が楽曲の核になっています。バンドスコア(VOCAL/GUITAR(TAB)/KEYBOARD/BASS(TAB)/DRUMS編成)がリットーミュージック・KMP等複数出版社から現行流通し、ピアノソロ譜も複数サイトで公開されていることから、バンド編成での再現需要が高い曲です。この記事ではギター+キーボードのバンドサウンドを再現するための設定値と判断基準をまとめました。 ※設定値はあくまで出発点です。数値そのものより、以降で示す耳での判断基準を優先して微調整してください。
目指す音の分解
- リズムギター: Aメロ・Bメロを通して土臭いカッティングで曲の骨格を支える役割。歪みは薄すぎず、ざらついた質感を残すのが理想です。
- リードギター: サビ・間奏でエモーショナルなフレーズを彩る役割。歪みを増やすのではなく、ブーストで前に出す形で輪郭を保ちます。
- ベース: ルートを軸に落ち着いた刻みでロックバラードの土台を支える役割。粒立ちを保ちながらサビでわずかに前に出ます。
- キーボード: ピアノでドラマチックな和音の厚みを添える役割。ソロ譜が単独で流通するほど旋律線がはっきりしており、伴奏に埋もれず聴こえます。
- 1970年代風の生々しいロックバラードの質感を最優先に、ギターは歪みを溜め込みすぎずざらつきを残すのがこの曲の音作りの軸です。
①ギター:マルチエフェクター設定(GT-1000CORE / MS-3 / G6 / GE系など共通)
Guitar → コンプ(軽め) → ドライブ(中程度) → アンプモデル(クランチ)
→ ブースター(リードのみON) → ディレイ → リバーブ → Amp Out
- アンプモデル設定: GAIN 34%(ざらつきを残しつつコードの分離感が残る上限)/ TREBLE 50%(エッジを出しつつ耳に刺さらない範囲)/ MIDDLE 48%(削りすぎない方針)/ BASS 38%(ベース・ピアノと被らない上限)/ LEVELはピアノを邪魔しない音量が基準
- ドライブブロック: TS系、GAIN 20%、TONE 50%、LEVEL 50%。「土臭いざらつきが残る」程度に留めるのが判断基準で、これを超えると1970年代風の質感が現代的に寄りすぎます
- ブースターブロック(リードのみ): クリーンブースト系、GAINは上げずLEVELのみ+3dB程度。歪み量を増やさず音量と輪郭だけを前に出すのが目的で、ゲインが上がったと感じたらやり過ぎです
- ディレイブロック: BPM118から算出すると、8分 = 60000÷118 ≒ 508ms、付点8分 = 508×1.5 ≒ 763ms。リズムはディレイを薄く抑えてカッティングの粒立ちを優先し、リードはサビ・間奏のフレーズで付点8分763msを軽く重ねて余韻を作ります
- リバーブ方針: ルーム系を中程度にMix 32%程度。ロックバラードとしての広がりを出しつつ、深すぎるホール系でざらつきが薄まらないよう注意します
- パッチ対比表: ギター1本の編成のため、セクションごとに下記パッチを切り替える運用が基本です
| 項目 | リズムパッチ | リードパッチ(サビ・間奏で切替) |
|---|---|---|
| GAIN | 34% | 40% |
| ブースター | OFF | ON |
| ディレイMix | 8分/10% | 付点8分/20% |
| リバーブMix | 32% | 38% |
②ギター:マーシャルのみの場合(JCM900 / JCM2000 / DSL系)
- アンプ設定: GAIN 4(ざらつきを残しつつコードの分離感が残る上限)/ TREBLE 5(エッジを出す範囲)/ MIDDLE 5(削りすぎない)/ BASS 4(ベース・ピアノと被らない上限)/ PRESENCE 4(耳当たりが硬くならない上限)
- ピッキング強弱での展開の作り方: Aメロ・Bメロは手元を軽く絞って土臭いカッティングを刻み、サビ・間奏は強めに弾き込んでエモーショナルなフレーズの輪郭を前に出すのが基本です
- 足りない機能への対処: マーシャル単体はディレイ・リバーブが無いため、付点8分763msを再現できる空間系ペダルを1台足すと、サビ・間奏の余韻が大きく変わります
③ベース:マルチエフェクター/プロセッサー設定(GT-1000CORE / MS-3 / GT-1B系など共通)
Bass → コンプ → ドライブ/EQ(基本OFF) → アンプモデル(DI+アンプブレンド)
→ Amp/DI Out
- コンプ設定: スレッショルドは刻みの粒が揃う程度、レシオ3:1前後。アタック(粒立ち)を潰さない上限がコンプの掛けすぎを判断する基準です
- アンプモデル設定: GAIN 32%(丸くなりすぎない上限)/ BASS 48%/ LOW-MID 50%(削らない方針)/ HIGH-MID 38%(ギター・ピアノと被らない上限)/ TREBLE 32%(刺さらない範囲)/ LEVELはピアノを邪魔しない音量が基準。DI+アンプの比率はDI6:アンプ4を起点に、指弾きのアタック感が残る範囲で耳で微調整します
- ドライブ/EQブロック(使う場合のみ): 基本OFFですが、サビでわずかに厚みを足したい時のみ軽いドライブを薄くON。低音の輪郭を失わない上限まで下げるのが判断基準です
- 通常パッチ/サビパッチの対比表
| 項目 | 通常パッチ | サビパッチ(音圧を上げる場面) |
|---|---|---|
| コンプ量 | 軽め(粒立ち優先) | やや強め(音圧優先) |
| DI:アンプ比率 | 6:4 | 5:5 |
| ドライブ | OFF | 薄くON |
| LEVEL | 基準値 | +1〜2dB程度 |
④ベース:アンプ(DI)のみの場合(Ampeg SVT系)
- アンプ設定: GAIN 4(音が割れない上限)/ ULTRA LO 軽め(団子にならない範囲)/ ULTRA HI OFF(硬くなりすぎない)/ BASS 5/ MIDDLE 5(削らない)/ TREBLE 3(刺さらない範囲)
- 指弾き/ピック弾きでの展開の作り方: 基本は指弾きで落ち着いたグルーヴを出し、サビでピックに持ち替えて音圧をわずかに足す使い分けが基本です
- 足りない機能への対処: アンプ単体はコンプの細かい調整ができないため、刻みの粒立ちを均す外部コンプペダルを1台足すと通常/サビの差が安定します
⑤キーボード/シンセ音作り
- 音色カテゴリ: アコースティックピアノ系。ピアノソロ譜が単独で複数サイトから流通するほど旋律線がはっきりしており、伴奏に埋もれない主旋律級の音色を選ぶのが判断基準です
- EQ方針: 300〜500Hz付近をギター・ボーカルと被らない範囲でわずかにカットし、ドラマチックな和音の分離感を残します。バンド全体で音の隙間があるかを耳で確認しながら削るのが基準です
- 空間系: BPM118から8分508ms・付点8分763ms。ピアノは基本的にディレイを薄く抑えて和音の分離感を優先し、サビの盛り上がりでのみ8分508msを軽くMixして余韻を出します
- セクションごとの運用: Aメロ・Bメロはピアノの和音で控えめに歌を支え、サビはギターと拮抗する音量まで厚みを増し、間奏はリードギターと交互にフレーズを立たせます
セクション別の組み立て
- イントロ: リズムギターの土臭いカッティングとピアノの和音で曲の骨格を提示し、ベースは落ち着いた刻みで土台を作ります
- Aメロ: 歌を邪魔しないようリズムパッチのゲインを絞り、ピアノは控えめな和音で寄り添います
- Bメロ: サビに向けディレイMixとベースの密度を少しずつ上げ、高揚感を作ります
- サビ: リードパッチに切り替えブースターと付点8分763msのディレイを軽く重ね、ベースはサビパッチで音圧を上げ、ピアノも厚みを増します
- 間奏: リードギターのエモーショナルなフレーズとピアノを交互に立たせ、ルーム系リバーブで余韻を残します
- アウトロ: 音数を減らし、ピアノとディレイ・リバーブの余韻だけを残して静かに着地します
まとめ
- BPM118のディレイ基準値は8分508ms・付点8分763msです
- ギターは名越由貴夫を軸としたサポート編成のため、1本のパッチ切り替え運用が基本です。原曲では浅井健一(BLANKEY JET CITY)がゲスト参加した土臭いギターが楽曲の核になっている点も、音作りの参考にしてください
- 1970年代風の生々しいロックバラードの質感を最優先に、ギターは歪みを溜め込みすぎずざらつきを残すのがこの曲最大の判断基準です
- 次回は同じ椎名林檎の他曲の音作りも解説予定です
※この設定は実機検証前のドラフトです
設定値は出発点です。数値より耳での判断基準を優先して調整してください。
試聴シミュレーター
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DELAYはこの曲のBPM(118)から計算した8分音符の値を初期反映しています。GAIN/TREBLE/MIDDLE/BASSは一般的な目安値です。曲ごとの正確な設定値・判断基準は本文の①〜④セクションを確認してください。実録音ではなくWeb Audio APIによる合成音源です(NOTICE.md参照)。