SEKAI NO OWARI「スノーマジックファンタジー」はBPM125、キーCメジャーの煌びやかな冬の情景を描くウィンターポップナンバーです。2014年1月発売、メジャー5作目(通算7作目)シングルで、JR東日本「JR SKISKI」2013年度CMソングとして書き下ろされ、後にアルバム「Tree」にも収録された定番曲です。ギターコード譜が複数サイト(U-FRET/@ELISE/楽器.me/リンネのコードブック等)から現行流通し、サビ部分のギターTAB譜(メロディ+コード)も公開されているほか、バンドスコア(Vocal/Piano/Organ/Synth.×2/E.Bass/Drums/Perc.編成)がチャイムやベルを使った冬の音色を中心に組まれた曲でもあります。原曲はギターよりもピアノ/オルガン/シンセが前景に立つオーケストラ寄りの編成のため、この記事ではギター(Nakajin)を伴奏に徹する前提で、キーボード(Saori)を主役に据えた設定値と判断基準をまとめました。 ※設定値はあくまで出発点です。数値そのものより、以降で示す耳での判断基準を優先して微調整してください。
目指す音の分解
- リズムギター: Aメロ・Bメロ・サビを通して控えめなアルペジオ/カッティングでキーボードを支える役割。歪みは薄めに留め、冬の情景を壊さない質感が理想です。
- リードギター: サビ・間奏でごく控えめにフレーズを彩る役割。歪みを増やすのではなく、ブーストで前に出す形で輪郭を保ちます。
- ベース: 8分でルートを丁寧に支える役割。前景に出過ぎず、ピアノ/シンセの動きを低音で支えます。
- キーボード: Piano/Organ/Synth×2と複数パートが重なる曲の主役で、チャイム・ベル系の煌めきと厚みのあるシンセが冬の情景を作り出します。
- 煌びやかな冬の情景を最優先に、ギター・ベースは前に出過ぎずキーボードの重なりを邪魔しないのがこの曲の音作りの軸です。
①ギター:マルチエフェクター設定(GT-1000CORE / MS-3 / G6 / GE系など共通)
Guitar → コンプ(軽め) → ドライブ(薄め) → アンプモデル(クリーン〜薄クランチ)
→ ブースター(リードのみON) → ディレイ → リバーブ → Amp Out
- アンプモデル設定: GAIN 20%(音が団子にならず、静けさを壊さない上限)/ TREBLE 50%(煌びやかさを出しつつ耳に刺さらない範囲)/ MIDDLE 52%(削らない方針)/ BASS 34%(ベース・キーボードの低域と被らない上限)/ LEVELはキーボードを邪魔しない音量が基準
- ドライブブロック: TS系、GAIN 10%、TONE 48%、LEVEL 46%。「冬の情景を壊さない」程度に留めるのが判断基準で、これを超えるとキーボードの煌めきが埋もれます
- ブースターブロック(リードのみ): クリーンブースト系、GAINは上げずLEVELのみ+2dB程度。歪み量を増やさず音量と輪郭だけをそっと前に出すのが目的で、ゲインが上がったと感じたらやり過ぎです
- ディレイブロック: BPM125から算出すると、8分 = 60000÷125 = 480ms、付点8分 = 480×1.5 = 720ms。リズムはディレイを薄く抑えてアルペジオの輪郭を優先し、リードはサビ・間奏のフレーズで付点8分720msを軽く重ねて冬らしい澄んだ余韻を作ります
- リバーブ方針: ホール系を中程度にMix 34%程度。冬の情景を支える広がりを作りつつ、アタックがぼやけない範囲に留めます
- パッチ対比表: ギター1本の編成のため、セクションごとに下記パッチを切り替える運用が基本です
| 項目 | リズムパッチ | リードパッチ(サビ・間奏で切替) |
|---|---|---|
| GAIN | 20% | 25% |
| ブースター | OFF | ON |
| ディレイMix | 8分/10% | 付点8分/20% |
| リバーブMix | 34% | 38% |
②ギター:マーシャルのみの場合(JCM900 / JCM2000 / DSL系)
- アンプ設定: GAIN 2(静けさを壊さない上限)/ TREBLE 4〜5(煌びやかさを出す範囲)/ MIDDLE 5(削らない)/ BASS 4(ベース・キーボードと被らない上限)/ PRESENCE 3(耳当たりが硬くならない上限)
- ピッキング強弱での展開の作り方: Aメロ・Bメロは手元を軽く絞ってキーボードを立てるように弾き、サビ・間奏だけ少し強めに弾き込んでフレーズの輪郭を前に出すのが基本です
- 足りない機能への対処: マーシャル単体はディレイ・リバーブが無いため、付点8分720msを再現できる空間系ペダルを1台足すと、サビ・間奏の澄んだ余韻が大きく変わります
③ベース:マルチエフェクター/プロセッサー設定(GT-1000CORE / MS-3 / GT-1B系など共通)
Bass → コンプ → ドライブ/EQ(基本OFF) → アンプモデル(DI+アンプブレンド)
→ Amp/DI Out
- コンプ設定: スレッショルドは8分の粒が揃う程度、レシオ3:1前後。アタック(粒立ち)を潰さない上限がコンプの掛けすぎを判断する基準です
- アンプモデル設定: GAIN 27%(丸くなりすぎない上限)/ BASS 45%/ LOW-MID 50%(削らない方針)/ HIGH-MID 32%(ギター・キーボードと被らない上限)/ TREBLE 26%(刺さらない範囲)/ LEVELはキーボードを邪魔しない音量が基準。DI+アンプの比率はDI7:アンプ3を起点に、指弾きのアタック感が残る範囲で耳で微調整します
- ドライブ/EQブロック(使う場合のみ): 基本OFFですが、サビでわずかに厚みを足したい時のみ軽いドライブを薄くON。低音の輪郭を失わない上限まで下げるのが判断基準です
- 通常パッチ/サビパッチの対比表
| 項目 | 通常パッチ | サビパッチ(音圧を上げる場面) |
|---|---|---|
| コンプ量 | 軽め(粒立ち優先) | やや強め(音圧優先) |
| DI:アンプ比率 | 7:3 | 6:4 |
| ドライブ | OFF | 薄くON |
| LEVEL | 基準値 | +1〜2dB程度 |
④ベース:アンプ(DI)のみの場合(Ampeg SVT系)
- アンプ設定: GAIN 3(音が割れない上限)/ ULTRA LO 軽め(団子にならない範囲)/ ULTRA HI OFF(硬くなりすぎない)/ BASS 5/ MIDDLE 5(削らない)/ TREBLE 3(刺さらない範囲)
- 指弾き/ピック弾きでの展開の作り方: 基本は指弾きで丁寧にルートを刻み、サビでもキーボードを邪魔しない範囲で音圧を足すのが基本です
- 足りない機能への対処: アンプ単体はコンプの細かい調整ができないため、8分の粒立ちを均す外部コンプペダルを1台足すと通常/サビの差が安定します
⑤キーボード/シンセ音作り
- 音色カテゴリ: Pianoでコード感と物語性を支えつつ、Organで厚みを、Synth×2でチャイム/ベル系の煌めきと冬らしいパッドを重ねる構成です。バンドスコアにPiano/Organ/Synth×2と複数の鍵盤・シンセパートが並存すること自体が、この曲でキーボードを主役級に扱うべき判断基準です
- EQ方針: 250〜500Hz付近をギター・ベースと被らない範囲でわずかにカットし、チャイム/ベル系の高域アタックとOrganの厚みは残します。バンド全体で音の隙間があるかを耳で確認しながら削るのが基準です
- 空間系: BPM125から8分480ms・付点8分720ms。チャイム/ベル系のフレーズには8分480msを薄くMixして粒を際立たせ、Organ/Synthのパッドには付点8分720msで奥行きを足します
- セクションごとの運用: イントロはチャイム/ベル系のフレーズを主役に、Aメロ・Bメロはピアノでコード感を支え、サビはOrgan・Synthを重ねて冬の情景を最大化します
セクション別の組み立て
- イントロ: キーボードのチャイム/ベル系フレーズを主役に、ギターはリズムパッチでごく控えめに音を添えます
- Aメロ: ボーカルを邪魔しないようリズムパッチのゲインを絞り、ベースはピアノの動きを支える丁寧な粒立ちを優先します
- Bメロ: サビに向けディレイMixとベースの密度を少しずつ上げ、キーボードの音数も増やして高揚感を作ります
- サビ: リードパッチに切り替えブースターと付点8分720msのディレイを軽く重ねますが、ギター・ベースはあくまで伴奏に徹し、キーボードのOrgan・Synthを前に出して冬の情景を最大化します
- 間奏: キーボードのピアノ/チャイムフレーズを主役に据え、ギターは音量を絞って伴奏に徹します
- アウトロ: 音数を減らし、ディレイとリバーブの余韻だけを残して冬らしい静けさで着地します
まとめ
- BPM125のディレイ基準値は8分480ms・付点8分720msです
- 原曲はギターよりもピアノ/オルガン/シンセが前景に立つオーケストラ寄りの編成であることを踏まえた設定を紹介しました
- 煌びやかな冬の情景を最優先に、ギター・ベースは前に出過ぎずキーボードの重なりを邪魔しないのがこの曲最大の判断基準です
- Piano/Organ/Synth×2という複数のキーボードパートを主役級に扱うのがこの曲の判断基準の一つです
- 次回は同じSEKAI NO OWARIの他曲の音作りも解説予定です
※この設定は実機検証前のドラフトです
設定値は出発点です。数値より耳での判断基準を優先して調整してください。
この曲の設定を試聴する
DELAYはこの曲のBPM(125)から計算した8分音符の値を初期反映しています。GAIN/TREBLE/MIDDLE/BASSは一般的な目安値です。曲ごとの正確な設定値・判断基準は本文の①〜④セクションを確認してください。実録音ではなくWeb Audio APIによる合成音源です(NOTICE.md参照)。