SEKAI NO OWARI「silent」はBPM88、キーCメジャーの静かで穏やかな質感が持ち味のバラードナンバーです。2020年12月発売のシングルで、森七菜・中村倫也出演のTBS系ドラマ「この恋あたためますか」主題歌として発売当初から先行配信されるほど話題を集めた楽曲です。ギターコード譜(コードストロークで弾くVer.)・ギターソロアレンジ(中級)が現行流通するほか、ピアノソロ譜だけでも初級〜中〜上級まで複数出版社から多数出版されており、ピアノのフレーズが伴奏に埋もれず独立して聴こえる曲です。原曲はギター/ベースが前景に出るタイプの曲ではなく、ピアノを核にした静かな質感が主役のため、この記事ではその前提でギター(Nakajin)・ベース・キーボード(Saori)の設定値と判断基準をまとめました。 ※設定値はあくまで出発点です。数値そのものより、以降で示す耳での判断基準を優先して微調整してください。
目指す音の分解
- リズムギター: Aメロ・Bメロ・サビを通して控えめなアルペジオでピアノを支える役割。歪みはごく薄めに留め、静けさを壊さない質感が理想です。
- リードギター: サビ・間奏でメロディにそっと寄り添う役割。歪みを増やすのではなく、ブーストで前に出す形で輪郭を保ちます。
- ベース: 8分でそっとルートを支える役割。前景に出過ぎず、ピアノの静けさを邪魔しない粒立ちを保ちます。
- キーボード: イントロ〜曲全体を貫くピアノフレーズが曲の主役で、ピアノソロ譜が複数出版されるほど単体で聴かせる力を持ちます。サビでは薄いパッド系シンセが加わり奥行きを作ります。
- 静けさと穏やかさを最優先に、ギター・ベースは前に出過ぎずピアノのフレーズを邪魔しないのがこの曲の音作りの軸です。
①ギター:マルチエフェクター設定(GT-1000CORE / MS-3 / G6 / GE系など共通)
Guitar → コンプ(軽め) → ドライブ(ごく薄め) → アンプモデル(クリーン)
→ ブースター(リードのみON) → ディレイ → リバーブ → Amp Out
- アンプモデル設定: GAIN 16%(音が団子にならず、静けさを壊さない上限)/ TREBLE 46%(耳当たりが柔らかい範囲)/ MIDDLE 54%(削らない方針)/ BASS 34%(ベース・ピアノの低域と被らない上限)/ LEVELはピアノを邪魔しない音量が基準
- ドライブブロック: TS系、GAIN 6%、TONE 46%、LEVEL 46%。「静けさを壊さない」程度に留めるのが判断基準で、これを超えるとバラードの静けさが崩れます
- ブースターブロック(リードのみ): クリーンブースト系、GAINは上げずLEVELのみ+2dB程度。歪み量を増やさず音量と輪郭だけをそっと前に出すのが目的で、ゲインが上がったと感じたらやり過ぎです
- ディレイブロック: BPM88から算出すると、8分 = 60000÷88 ≒ 682ms、付点8分 = 682×1.5 ≒ 1023ms。リズムはディレイをごく薄く抑えてアルペジオの輪郭を優先し、リードはサビ・間奏のフレーズで付点8分1023msを軽く重ねて静かな余韻を作ります
- リバーブ方針: ホール系を中程度にMix 38%程度。静けさを支える広がりを作りつつ、アタックがぼやけない範囲に留めます
- パッチ対比表: ギター1本の編成のため、セクションごとに下記パッチを切り替える運用が基本です
| 項目 | リズムパッチ | リードパッチ(サビ・間奏で切替) |
|---|---|---|
| GAIN | 16% | 20% |
| ブースター | OFF | ON |
| ディレイMix | 8分/10% | 付点8分/20% |
| リバーブMix | 38% | 42% |
②ギター:マーシャルのみの場合(JCM900 / JCM2000 / DSL系)
- アンプ設定: GAIN 1〜2(静けさを壊さない上限)/ TREBLE 4(耳当たりが柔らかい範囲)/ MIDDLE 5〜6(削らない)/ BASS 4(ベース・ピアノと被らない上限)/ PRESENCE 3(耳当たりが硬くならない上限)
- ピッキング強弱での展開の作り方: Aメロ・Bメロは手元を大きく絞ってピアノを立て、サビ・間奏だけ少し強めに弾き込んでフレーズの輪郭をそっと前に出すのが基本です
- 足りない機能への対処: マーシャル単体はディレイ・リバーブが無いため、付点8分1023msを再現できる空間系ペダルを1台足すと、サビ・間奏の静かな余韻が大きく変わります
③ベース:マルチエフェクター/プロセッサー設定(GT-1000CORE / MS-3 / GT-1B系など共通)
Bass → コンプ → ドライブ/EQ(基本OFF) → アンプモデル(DI+アンプブレンド)
→ Amp/DI Out
- コンプ設定: スレッショルドは8分の粒が揃う程度、レシオ3:1前後。静かな曲では音量の起伏が耳に付きやすいため、アタック(粒立ち)を潰さない上限がコンプの掛けすぎを判断する基準です
- アンプモデル設定: GAIN 26%(丸くなりすぎない上限)/ BASS 44%/ LOW-MID 50%(削らない方針)/ HIGH-MID 32%(ギター・ピアノと被らない上限)/ TREBLE 26%(刺さらない範囲)/ LEVELはピアノを邪魔しない音量が基準。DI+アンプの比率はDI7:アンプ3を起点に、指弾きのアタック感が残る範囲で耳で微調整します
- ドライブ/EQブロック(使う場合のみ): 基本OFF。サビでもこの曲は前景に出過ぎないことが原則で、低音の輪郭を失わず静けさを保てる範囲を判断基準にごくわずかのみ足します
- 通常パッチ/サビパッチの対比表
| 項目 | 通常パッチ | サビパッチ(音圧を上げる場面) |
|---|---|---|
| コンプ量 | 軽め(粒立ち優先) | 中程度(音圧よりも粒立ち優先を維持) |
| DI:アンプ比率 | 7:3 | 6:4 |
| ドライブ | OFF | OFFのまま |
| LEVEL | 基準値 | +1dB程度 |
④ベース:アンプ(DI)のみの場合(Ampeg SVT系)
- アンプ設定: GAIN 3(音が割れない上限)/ ULTRA LO 軽め(団子にならない範囲)/ ULTRA HI OFF(硬くなりすぎない)/ BASS 5/ MIDDLE 5(削らない)/ TREBLE 3(刺さらない範囲)
- 指弾き/ピック弾きでの展開の作り方: 基本は指弾きでそっとルートを支え、サビでも大きく強弱を変えず静けさを保つのが基本です
- 足りない機能への対処: アンプ単体はコンプの細かい調整ができないため、8分の粒立ちを均す外部コンプペダルを1台足すと静けさを保ったまま安定します
⑤キーボード/シンセ音作り
- 音色カテゴリ: イントロ〜曲全体を貫くアコースティックピアノ系フレーズを主役に、サビではごく薄いパッド系シンセで奥行きを足します。ピアノフレーズ単体でも曲だと認識できるほど独立して聴こえるかが選定の判断基準で、実際にピアノソロ譜が初級〜上級まで複数出版社から出ている点も裏付けになります
- EQ方針: 250〜500Hz付近をギター・ベースと被らない範囲でわずかにカットし、ピアノの高域アタックは残します。バンド全体で音の隙間があるかを耳で確認しながら削るのが基準です
- 空間系: BPM88から8分682ms・付点8分1023ms。イントロのピアノフレーズには8分682msを薄くMixして輪郭を保ち、サビのパッドには付点8分1023msで奥行きを足します
- セクションごとの運用: イントロはピアノフレーズを主役に音量を上げ、Aメロ・Bメロはボーカルを支える程度に音量を絞り、サビは薄いパッドで奥行きを足しつつピアノのフレーズ感を最優先で残します
セクション別の組み立て
- イントロ: キーボードのピアノフレーズを主役に、ギターはリズムパッチでごく控えめに音を添えます
- Aメロ: ボーカルを邪魔しないようリズムパッチのゲインを絞り、ベースはピアノの動きを支える静かな粒立ちを優先します
- Bメロ: サビに向けディレイMixとベースの密度をわずかに上げますが、静けさを壊さない範囲に留めます
- サビ: リードパッチに切り替えブースターと付点8分1023msのディレイを軽く重ねますが、ベースはサビパッチでもごくわずかな音圧アップに留め、キーボードもパッドを薄く重ねて静かな厚みを作ります
- 間奏: リードギターのフレーズとキーボードのピアノフレーズをそっと絡ませ、ホール系リバーブで広がりを作ります
- アウトロ: 音数を減らし、ディレイとリバーブの余韻だけを残して静かに着地します
まとめ
- BPM88のディレイ基準値は8分682ms・付点8分1023msです
- この曲はギター/ベースが前景に出るタイプではなく、ピアノを核にした静けさが主役であることを踏まえた設定を紹介しました
- 静けさと穏やかさを最優先に、ギター・ベースは前に出過ぎずピアノのフレーズを邪魔しないのがこの曲最大の判断基準です
- イントロのピアノフレーズを主役として扱うのがこの曲の判断基準の一つです
- 次回は同じSEKAI NO OWARIの他曲の音作りも解説予定です
※この設定は実機検証前のドラフトです
設定値は出発点です。数値より耳での判断基準を優先して調整してください。
試聴シミュレーター
この曲の設定を試聴する
DELAYはこの曲のBPM(88)から計算した8分音符の値を初期反映しています。GAIN/TREBLE/MIDDLE/BASSは一般的な目安値です。曲ごとの正確な設定値・判断基準は本文の①〜④セクションを確認してください。実録音ではなくWeb Audio APIによる合成音源です(NOTICE.md参照)。