Ado「新時代」はBPM175、キーGメジャーの疾走感あふれるダンスチューンです。映画『ONE PIECE FILM RED』主題歌として2022年に配信された曲で、ギターTAB譜付きの弾いてみた動画・ギター教室のレッスン記事・バンドスコア(TAB付き)が非常に豊富に存在します。Adoのアリーナ/ドーム規模のツアーでは実在のバックバンドが生演奏を担当しており、ギターは複数のツアーで高慶卓史(CO-K)がバンドマスターを務めていることが確認できます。ベース・キーボードはツアーごとに担当者が変わるため、この記事では役割で記述します。作編曲は中田ヤスタカによるエレクトロポップ色の強いアレンジで、鋭いシンセリフが曲の顔になっています。この記事ではギター+シンセリフのバンドサウンドを再現するための設定値と判断基準をまとめました。 ※設定値はあくまで出発点です。数値そのものより、以降で示す耳での判断基準を優先して微調整してください。
目指す音の分解
- リズムギター: Aメロ・Bメロ・サビを通して16分のカッティングで疾走感を作る役割。歪みは軽めに留め、粒立ちのはっきりしたエッジ感が理想です。
- リードギター: サビ・間奏でフレーズを彩る役割。歪みを増やすのではなく、ブーストで前に出す形で輪郭を保ちます。
- ベース: ルートを軸に8分〜16分でしっかり刻み、強靭なビートを支える役割。粒立ちを保ちながらサビでわずかに前に出ます。
- キーボード: 鋭いシンセリフが曲の顔になる役割です。イントロ・サビで単独のフレーズとして独立して聴こえ、電子音楽的なダイナミクスの変化を演出します。
- 歪みを溜め込まず、鋭いシンセリフと強靭なビートを両立させるのがこの曲の音作りの軸です。
①ギター:マルチエフェクター設定(GT-1000CORE / MS-3 / G6 / GE系など共通)
Guitar → コンプ(軽め) → ドライブ(薄め) → アンプモデル(クリーン〜薄クランチ)
→ ブースター(リードのみON) → ディレイ → リバーブ → Amp Out
- アンプモデル設定: GAIN 25〜30%(カッティングの粒が潰れない上限)/ TREBLE 55〜60%(エッジを出しつつ耳に刺さらない範囲)/ MIDDLE 50%(削らない方針)/ BASS 40%(ベース・シンセリフと被らない上限)/ LEVELは歌を邪魔しない音量が基準
- ドライブブロック: TS系、GAIN 15〜20%、TONE 55%、LEVEL 55%。「歪んでいる」と感じるより「エッジが立っている」と感じる程度に留めるのが判断基準で、これを超えるとエレクトロポップ的な鋭さが重く鈍ります
- ブースターブロック(リードのみ): クリーンブースト系、GAINは上げずLEVELのみ+3dB程度。歪み量を増やさず音量と輪郭だけを前に出すのが目的で、ゲインが上がったと感じたらやり過ぎです
- ディレイブロック: BPM175から算出すると、8分 = 60000÷175 ≒ 343ms、付点8分 = 343×1.5 ≒ 514ms。テンポが速いため、リズムは8分343msをごく薄くタップし、リードはサビ・間奏のフレーズで付点8分514msを軽く重ねて余韻を作ります
- リバーブ方針: ルーム系を薄めにMix 20〜25%程度。テンポが速く音数も多いため、深すぎるリバーブは避けて輪郭を優先します
- パッチ対比表: ギター1本の編成のため、セクションごとに下記パッチを切り替える運用が基本です
| 項目 | リズムパッチ | リードパッチ(サビ・間奏で切替) |
|---|---|---|
| GAIN | 27% | 30% |
| ブースター | OFF | ON |
| ディレイMix | 8分/8% | 付点8分/18% |
| リバーブMix | 22% | 28% |
②ギター:マーシャルのみの場合(JCM900 / JCM2000 / DSL系)
- アンプ設定: GAIN 2〜3(カッティングの粒立ちが残る上限)/ TREBLE 6(エッジを出す範囲)/ MIDDLE 5(削らない)/ BASS 4(ベース・シンセリフと被らない上限)/ PRESENCE 4(耳当たりが硬くならない上限)
- ピッキング強弱での展開の作り方: Aメロ・Bメロは手元を軽く絞ってタイトなカッティングにし、サビ・間奏は強めに弾き込んでフレーズの輪郭を前に出すのが基本です
- 足りない機能への対処: マーシャル単体はディレイ・リバーブが無いため、付点8分514msを再現できる空間系ペダルを1台足すと、サビ・間奏の余韻が大きく変わります
③ベース:マルチエフェクター/プロセッサー設定(GT-1000CORE / MS-3 / GT-1B系など共通)
Bass → コンプ → ドライブ/EQ(基本OFF) → アンプモデル(DI+アンプブレンド)
→ Amp/DI Out
- コンプ設定: スレッショルドは速いテンポの16分の粒が揃う程度、レシオ3:1前後。アタック(粒立ち)を潰さない上限がコンプの掛けすぎを判断する基準です
- アンプモデル設定: GAIN 35%(丸くなりすぎない上限)/ BASS 50%/ LOW-MID 50%(削らない方針)/ HIGH-MID 40%(ギター・シンセリフと被らない上限)/ TREBLE 35%(刺さらない範囲)/ LEVELは歌を邪魔しない音量が基準。DI+アンプの比率はDI7:アンプ3を起点に、指弾きのアタック感が残る範囲で耳で微調整します
- ドライブ/EQブロック(使う場合のみ): 基本OFFですが、サビでわずかに厚みを足したい時のみ軽いドライブを薄くON。低音の輪郭を失わない上限まで下げるのが判断基準です
- 通常パッチ/サビパッチの対比表
| 項目 | 通常パッチ | サビパッチ(音圧を上げる場面) |
|---|---|---|
| コンプ量 | 軽め(粒立ち優先) | やや強め(音圧優先) |
| DI:アンプ比率 | 7:3 | 6:4 |
| ドライブ | OFF | 薄くON |
| LEVEL | 基準値 | +1〜2dB程度 |
④ベース:アンプ(DI)のみの場合(Ampeg SVT系)
- アンプ設定: GAIN 3(音が割れない上限)/ ULTRA LO 軽め(団子にならない範囲)/ ULTRA HI OFF(硬くなりすぎない)/ BASS 5/ MIDDLE 5(削らない)/ TREBLE 3〜4(刺さらない範囲)
- 指弾き/ピック弾きでの展開の作り方: 基本は指弾きで強靭なビートを支え、サビでピックに持ち替えて音圧とアタックを足す使い分けが基本です
- 足りない機能への対処: アンプ単体はコンプの細かい調整ができないため、速いテンポの粒立ちを均す外部コンプペダルを1台足すと通常/サビの差が安定します
⑤キーボード/シンセ音作り
- 音色カテゴリ: アナログシンセリード系(鋭いシンセリフ用)。イントロ・サビで単独でも「新時代」だと分かるほど独立して聴こえるかが選定の判断基準です
- EQ方針: 250〜500Hz付近をギター・ベースと被らない範囲でわずかにカットし、リフの鋭さを出す高域は残します。バンド全体で音の隙間があるかを耳で確認しながら削るのが基準です
- 空間系: BPM175から8分343ms・付点8分514ms。テンポが速いためディレイは短めのタップに留め、リフの輪郭を優先して深いディレイは避けます
- セクションごとの運用: イントロ・サビはシンセリフを主役に音量を上げ、Aメロ・Bメロは伴奏に回って音量を絞り、電子音楽的なダイナミクスの変化を意識して音量差をはっきり付けます
セクション別の組み立て
- イントロ: キーボードの鋭いシンセリフを主役に、ギターはリズムパッチで音量を抑えて土台を作ります
- Aメロ: ボーカルを邪魔しないようリズムパッチのゲインを絞り、ベースは16分の粒立ちを優先して安定させます
- Bメロ: サビに向けディレイMixとベースの密度を少しずつ上げ、高揚感を作ります
- サビ: リードパッチに切り替えブースターと付点8分514msのディレイを軽く重ね、ベースはサビパッチで音圧を上げ、キーボードも鋭いシンセリフを前に出して曲の顔を強調します
- 間奏: リードギターのフレーズとシンセリフを絡ませ、短めのディレイで輪郭を保ったまま盛り上げます
- アウトロ: 音数を減らし、ディレイの余韻だけを残して疾走感を保ったまま着地します
まとめ
- BPM175のディレイ基準値は8分343ms・付点8分514msです
- ギターは高慶卓史(CO-K)を軸としたバンドマスター編成のため、1本のパッチ切り替え運用が基本です
- イントロ・サビの鋭いシンセリフを曲の顔として扱うのがこの曲最大の判断基準です
- 次回は同じAdoの他曲の音作りも解説予定です
※この設定は実機検証前のドラフトです
設定値は出発点です。数値より耳での判断基準を優先して調整してください。
試聴シミュレーター
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DELAYはこの曲のBPM(175)から計算した8分音符の値を初期反映しています。GAIN/TREBLE/MIDDLE/BASSは一般的な目安値です。曲ごとの正確な設定値・判断基準は本文の①〜④セクションを確認してください。実録音ではなくWeb Audio APIによる合成音源です(NOTICE.md参照)。