SEKAI NO OWARI「虹色の戦争」はBPM170、キーBマイナーの疾走感あふれるサーカスロックナンバーです。インディーズ時代の1stアルバム「EARTH」(2010年発売)に収録されたFukase作詞作曲の楽曲で、音楽ゲーム「REFLEC BEAT」への収録などをきっかけに現在も広く聴かれ続けている定番曲です。バンドスコア(Vo./Synth/Piano/E.Guitar×2/E.Bass/Drums/Perc.編成)が現行流通し、なかじんのライブでの演奏をほぼ完コピしたリードギターTAB譜・アコギ向けの簡単コードストロークアレンジ・初心者向け簡単コードverまで揃うほど、バンドでの再現需要が高い曲です。ピアノ単体の楽譜も別途出版されており、シンセとピアノがそれぞれ独立したパートとして楽曲を彩っています。SEKAI NO OWARIは現在もギタリストがNakajin1人であるため、この記事では単独ギター前提で、キーボード(Saori)とあわせた設定値と判断基準をまとめました。 ※設定値はあくまで出発点です。数値そのものより、以降で示す耳での判断基準を優先して微調整してください。
目指す音の分解
- リズムギター: Aメロ・Bメロ・サビを通してハイテンポなストロークで疾走感を推進する役割。歪みは中程度に留め、サーカス風の攻撃的な質感が理想です。
- リードギター: サビ・間奏でフレーズを彩る役割。歪みを増やすのではなく、ブーストで前に出す形で輪郭を保ちます。
- ベース: 8分主体でルートを速く力強く刻み、疾走感の土台を支える役割。粒立ちを保ちながらサビでしっかり前に出ます。
- キーボード: ピアノとシンセが独立したパートとして並存し、ピアノがコード感を支えつつシンセが楽曲全体を彩る電子的な質感を加えます。単体でも聴き取れるほど存在感のあるパートです。
- 疾走感あふれるサーカスロックの攻撃性を最優先に、ギターは歪みを溜め込みすぎずシンセ/ピアノの電子的な質感を邪魔しないのがこの曲の音作りの軸です。
①ギター:マルチエフェクター設定(GT-1000CORE / MS-3 / G6 / GE系など共通)
Guitar → コンプ(軽め) → ドライブ(中程度) → アンプモデル(クランチ)
→ ブースター(リードのみON) → ディレイ → リバーブ → Amp Out
- アンプモデル設定: GAIN 38%(コードの分離感が残る上限)/ TREBLE 56%(疾走感の明るさを出しつつ耳に刺さらない範囲)/ MIDDLE 48%(削りすぎない方針)/ BASS 35%(ベース・キーボードの低域と被らない上限)/ LEVELはシンセ/ピアノを邪魔しない音量が基準
- ドライブブロック: TS系、GAIN 24%、TONE 52%、LEVEL 50%。「疾走感を支える」程度に留めるのが判断基準で、これを超えるとシンセの電子的な質感が重くなります
- ブースターブロック(リードのみ): クリーンブースト系、GAINは上げずLEVELのみ+3dB程度。歪み量を増やさず音量と輪郭だけを前に出すのが目的で、ゲインが上がったと感じたらやり過ぎです
- ディレイブロック: BPM170から算出すると、8分 = 60000÷170 ≒ 353ms、付点8分 = 353×1.5 ≒ 529ms。ハイテンポな曲のため、リズムはディレイをごく薄く抑えてストロークの輪郭を最優先し、リードはサビ・間奏のフレーズで8分353msを軽く重ねて速い曲でも音が濁らない余韻を作ります
- リバーブ方針: ルーム系を薄めにMix 24%程度。ハイテンポな疾走感を殺さないよう、深すぎるホール系でアタックがぼやけないよう注意します
- パッチ対比表: ギター1本の編成のため、セクションごとに下記パッチを切り替える運用が基本です
| 項目 | リズムパッチ | リードパッチ(サビ・間奏で切替) |
|---|---|---|
| GAIN | 38% | 44% |
| ブースター | OFF | ON |
| ディレイMix | 8分/8% | 8分/18% |
| リバーブMix | 24% | 28% |
②ギター:マーシャルのみの場合(JCM900 / JCM2000 / DSL系)
- アンプ設定: GAIN 4〜5(コードの分離感が残る上限)/ TREBLE 5〜6(疾走感の明るさを出す範囲)/ MIDDLE 4〜5(削りすぎない)/ BASS 4(ベース・キーボードと被らない上限)/ PRESENCE 4(耳当たりが硬くならない上限)
- ピッキング強弱での展開の作り方: Aメロ・Bメロは手元を軽く絞ってシンセ/ピアノを立てるように弾き、サビ・間奏は強めに弾き込んでストロークの輪郭を前に出すのが基本です
- 足りない機能への対処: マーシャル単体はディレイ・リバーブが無いため、8分353msを再現できる空間系ペダルを1台足すと、ハイテンポでも音が濁らずサビ・間奏の輪郭が保てます
③ベース:マルチエフェクター/プロセッサー設定(GT-1000CORE / MS-3 / GT-1B系など共通)
Bass → コンプ → ドライブ/EQ(基本OFF) → アンプモデル(DI+アンプブレンド)
→ Amp/DI Out
- コンプ設定: スレッショルドは8分の粒が揃う程度、レシオ4:1前後。ハイテンポで粒が均一になりにくいため、アタック(粒立ち)を潰さない上限がコンプの掛けすぎを判断する基準です
- アンプモデル設定: GAIN 36%(丸くなりすぎない上限)/ BASS 47%/ LOW-MID 50%(削らない方針)/ HIGH-MID 38%(ギター・キーボードと被らない上限)/ TREBLE 33%(刺さらない範囲)/ LEVELはシンセ/ピアノを邪魔しない音量が基準。DI+アンプの比率はDI6:アンプ4を起点に、指弾きのアタック感が残る範囲で耳で微調整します
- ドライブ/EQブロック(使う場合のみ): 基本OFFですが、サビでわずかに厚みを足したい時のみ軽いドライブを薄くON。低音の輪郭を失わない上限まで下げるのが判断基準です
- 通常パッチ/サビパッチの対比表
| 項目 | 通常パッチ | サビパッチ(音圧を上げる場面) |
|---|---|---|
| コンプ量 | やや強め(速いテンポで粒立ち優先) | 強め(音圧優先) |
| DI:アンプ比率 | 6:4 | 5:5 |
| ドライブ | OFF | 薄くON |
| LEVEL | 基準値 | +1〜2dB程度 |
④ベース:アンプ(DI)のみの場合(Ampeg SVT系)
- アンプ設定: GAIN 4(音が割れない上限)/ ULTRA LO 軽め(団子にならない範囲)/ ULTRA HI 軽め(輪郭を出す範囲)/ BASS 5/ MIDDLE 5(削らない)/ TREBLE 4(刺さらない範囲)
- 指弾き/ピック弾きでの展開の作り方: 基本は指弾きで速く力強くルートを刻み、サビでピックに持ち替えて音圧を足す使い分けが基本です
- 足りない機能への対処: アンプ単体はコンプの細かい調整ができないため、8分の粒立ちを均す外部コンプペダルを1台足すと通常/サビの差が安定します
⑤キーボード/シンセ音作り
- 音色カテゴリ: アコースティックピアノ系でコード感を支えつつ、アナログシンセ/リード系の電子的な音色を重ねて疾走感を彩ります。バンドスコアにSynth/Pianoが独立したパートとして併記されていること自体が、この曲でキーボードを主役級に扱うべき判断基準です
- EQ方針: 300〜600Hz付近をギター・ベースと被らない範囲でわずかにカットし、ピアノの高域アタックとシンセの倍音成分は残します。バンド全体で音の隙間があるかを耳で確認しながら削るのが基準です
- 空間系: BPM170から8分353ms・付点8分529ms。ハイテンポな曲のためシンセのフレーズには8分353msを薄くMixして輪郭を保ち、ピアノのコード感には付点8分529msでごく軽く奥行きを足します
- セクションごとの運用: イントロ・Aメロはピアノでコード感を支えて音量を絞り、Bメロでシンセの音数を少しずつ増やし、サビはシンセを前に出して疾走感と電子的な質感を最大化します
セクション別の組み立て
- イントロ: リズムギターのストロークとキーボードのピアノで曲の骨格を提示し、ベースは8分で速く力強く土台を作ります
- Aメロ: ボーカルを邪魔しないようリズムパッチのゲインを絞り、ベースはピアノの動きを支える丁寧な粒立ちを優先します
- Bメロ: サビに向けディレイMixとベースの密度を少しずつ上げ、シンセの音数も増やして疾走感を作ります
- サビ: リードパッチに切り替えブースターと8分353msのディレイを軽く重ね、ベースはサビパッチで音圧を上げ、キーボードもシンセを前に出して疾走感を最大化します
- 間奏: リードギターのフレーズとキーボードのシンセを絡ませ、ルーム系リバーブで軽く広げます
- アウトロ: 音数を減らし、ディレイとリバーブの余韻だけを残して疾走感を保ったまま着地します
まとめ
- BPM170のディレイ基準値は8分353ms・付点8分529msです
- SEKAI NO OWARIは現在もギタリストがNakajin1人のため、単独ギターのパッチ切り替え運用を紹介しました
- 疾走感あふれるサーカスロックの攻撃性を最優先に、ギターは歪みを溜め込みすぎずシンセ/ピアノの電子的な質感を邪魔しないのがこの曲最大の判断基準です
- バンドスコアに独立したSynth/Pianoパートがあることを踏まえ、キーボードを主役級に扱うのがこの曲の判断基準の一つです
- 次回は同じSEKAI NO OWARIの他曲の音作りも解説予定です
※この設定は実機検証前のドラフトです
設定値は出発点です。数値より耳での判断基準を優先して調整してください。
この曲の設定を試聴する
DELAYはこの曲のBPM(170)から計算した8分音符の値を初期反映しています。GAIN/TREBLE/MIDDLE/BASSは一般的な目安値です。曲ごとの正確な設定値・判断基準は本文の①〜④セクションを確認してください。実録音ではなくWeb Audio APIによる合成音源です(NOTICE.md参照)。