米津玄師「LOSER」は、BPM121・キーC♯マイナー(D♭マイナー)の楽曲です。2016年発売の6thシングルで、公式バンドスコアにもボーカル/コーラス/エレキギター3本/アコースティックギター/キーボード3本/エレキベース/ドラム2本/パーカッションという編成が明記される、実在のバンド演奏を前提とした定番曲です。バンドカバー動画も複数実在し、ダンサブルなグルーヴが軸のファンク色の強いロックナンバーとして知られています。米津玄師のライブは中島宏士(Gt)・須藤優(Ba)・宮川純(Key)を含む固定サポートメンバーによるバンド編成で行われており、この記事ではギター(中島宏士)のマルチエフェクター設定とマーシャル単体設定、ベース(須藤優)の設定、そしてイントロ・サビを象徴するシンセフレーズを担うキーボード(宮川純)の設定を判断基準つきでまとめました。 ※設定値はあくまで出発点です。数値そのものより、以降で示す耳での判断基準を優先して微調整してください。
目指す音の分解
- リズムギター(中島宏士): Aメロ・Bメロで歯切れの良いカッティングを刻み、ベースのグルーヴと噛み合う役割。歪みは薄く、粒立ちの良さが最優先です。
- リードギター(中島宏士): サビ・間奏で伸びやかなフレーズを重ねる役割。ギター1本の編成なので、リズムとの切り替わりがゲイン量とディレイの深さの差ではっきり聴き分けられることが基準になります。
- ベース(須藤優): 曲全体を牽引するファンキーな8分・16分主体のラインを担う役割。走らず粒が潰れない安定感が求められます。
- キーボード(宮川純): イントロ・サビを象徴するシンセフレーズを軸に、ダンサブルなグルーヴ感を装飾する役割。伴奏に埋もれず、独立して聴こえるアタック感が理想です。
- ファンクのグルーヴ感を保ちながら、ギター・ベース・シンセそれぞれの粒立ちを潰さないのがこの曲の音作りの軸です。
①ギター:マルチエフェクター設定(GT-1000CORE / MS-3 / G6 / GE系など共通)
Guitar → コンプ(粒立ち優先) → ドライブ(薄め) → アンプモデル(クランチ)
→ ブースター(リードのみ) → ディレイ → リバーブ → Amp Out
- アンプモデル設定: GAIN 30〜35%(カッティングの歯切れが埋もれない上限)/ TREBLE 55%(耳に刺さらない範囲)/ MIDDLE 50%(削らない方針)/ BASS 35%(ベース・シンセの低域と被らない上限)/ LEVELはグルーヴを支える程度に抑えるのが基準
- ドライブブロック: TS系、GAIN 20〜25%、TONE 50%、LEVEL 50%。歪みがカッティングの粒立ちを潰さない上限が判断基準です
- ブースターブロック(リードのみ): クリーンブースト系、GAINは上げずLEVELのみ+2dB程度。間奏のリードフレーズがシンセと喧嘩しない範囲に収めるのが判断基準です
- ディレイブロック: BPM121から算出すると、8分 = 60000÷121 = 約495.9ms、付点8分 = 495.9×1.5 = 約743.8ms。リズムには8分495.9msを薄くタップし、間奏のリードフレーズには付点8分743.8msで余韻を持たせます
- リバーブ方針: プレート系を浅めにMix 15%程度。残響がカッティングの粒立ちを飲み込み始めたら深すぎるサインです
- パッチ対比表: 中島宏士の単独ギター編成のため、1人で両方を担当する場合(宅録・弾いてみた等)は下記パッチをセクションごとに切り替える運用が基本です
| 項目 | リズムパッチ(Aメロ・Bメロ用) | リードパッチ(サビ・間奏用) |
|---|---|---|
| GAIN | 30% | 40% |
| ブースター | OFF | ON |
| ディレイMix | 8分/8% | 付点8分/16% |
| リバーブMix | 12% | 18% |
②ギター:マーシャルのみの場合(JCM900 / JCM2000 / DSL系)
- アンプ設定: GAIN 4(カッティングの歯切れが埋もれない上限)/ TREBLE 5(耳に刺さらない範囲)/ MIDDLE 6(削らない)/ BASS 4(ベース・シンセと被らない上限)/ PRESENCE 4(硬くなりすぎない上限)
- ピッキング強弱での展開の作り方: Aメロ・Bメロは手首を軽く使ったカッティングでグルーヴを保ち、サビ・間奏では弾き込みを強めてリードフレーズを前に出すのが基本です
- 足りない機能への対処: マーシャル単体はディレイ・リバーブが無いため、付点8分743.8msの余韻を再現できる空間系ペダルを1台足すと、間奏の広がりが大きく変わります
③ベース:マルチエフェクター/プロセッサー設定(GT-1000CORE / MS-3 / GT-1B系など共通)
Bass → コンプ → ドライブ/EQ(基本OFF) → アンプモデル(DI+アンプブレンド)
→ Amp/DI Out
- コンプ設定: スレッショルドは16分の粒が均一に聴こえる程度、レシオ3:1〜4:1前後。アタック(粒立ち)を潰さない上限がコンプの掛けすぎを判断する基準です
- アンプモデル設定: GAIN 40%(ファンキーなラインでも音が痩せない上限)/ BASS 55%/ LOW-MID 50%(削らない方針)/ HIGH-MID 45%(シンセと被らない上限)/ TREBLE 30%(刺さらない範囲)/ LEVELは曲全体を通してグルーヴを支える音量が基準。DI+アンプの比率はDI6:アンプ4を起点に、16分のアタック感が残る範囲でアンプ側の色を混ぜるのが判断基準です
- ドライブ/EQブロック(使う場合のみ): 基本OFF。サビでほんの少しだけ厚みを足したい時のみ軽くON。低音の輪郭を失わない上限まで下げるのが判断基準です
- 通常パッチ/サビパッチの対比表
| 項目 | 通常パッチ(Aメロ・Bメロ) | サビパッチ(音圧を上げる場面) |
|---|---|---|
| コンプ量 | やや強め(粒立ち優先) | 軽め(音圧優先) |
| DI:アンプ比率 | 6:4 | 5:5 |
| ドライブ | OFF | ごく薄くON |
| LEVEL | 基準値 | +1〜2dB程度 |
④ベース:アンプ(DI)のみの場合(Ampeg SVT系)
- アンプ設定: GAIN 5(ファンキーなラインでも音が痩せない下限〜サビで暴れない上限)/ ULTRA LO 軽め(もたつかない範囲)/ ULTRA HI 軽め(硬くなりすぎない範囲)/ BASS 5/ MIDDLE 5(削らない)/ TREBLE 4(刺さらない範囲)
- 指弾き/ピック弾きでの展開の作り方: 曲を通して指弾きで丸みのあるグルーヴを保ち、サビでほんの少しピック寄りの弾き方に近づけると音圧差がはっきり作れます
- 足りない機能への対処: アンプ単体はコンプの細かい調整ができないため、16分の粒立ちを均す外部コンプペダルを1台足すと安定感が増します
⑤キーボード/シンセ音作り
- 音色カテゴリ: アナログシンセ系のリード/プラック音色。イントロ・サビで伴奏に埋もれず、曲を象徴するフレーズとして独立して聴こえるかが選定の判断基準です(公式バンドスコアにもキーボードパートが3本収録されるほど独立性の高いフレーズです)。原曲のクレジットは特定音源名を明言していないため、アタックの立ち上がりが速いアナログシンセ系の音色を選ぶのが実践的です
- EQ方針: 300〜500Hz付近をギター・ベースと被らない範囲でわずかにカット、3〜5kHz付近はアタックの粒立ちを活かす方向でわずかに持ち上げます。バンド全体で音の隙間があるかを耳で確認しながら削る/持ち上げるのが基準です
- 空間系: BPM121から8分495.9ms・付点8分743.8ms。イントロ・間奏のシンセフレーズには8分495.9msを薄くMixしてグルーヴのタイト感を保ち、サビでは付点8分743.8msで少し広がりを足します
- セクションごとの運用: イントロはシンセフレーズを主役に音量を上げ、Aメロ・Bメロは歌の伴奏に回って音量を絞り、サビでは歌と重ならない高域を選んで存在感を保ちます。間奏は再びシンセフレーズを前に出し、曲全体のグルーヴ感を途切れさせないようにします
セクション別の組み立て
- イントロ: キーボード(宮川純)のシンセフレーズを主役に、ギター(中島宏士)はリズムパッチでカッティングの歯切れだけを整えます
- Aメロ: 歌とシンセの音色を邪魔しないようリズムギターは音量を絞り、ベース(須藤優)は指弾きでファンキーなラインの粒立ちを整えます
- Bメロ: サビに向けディレイMixとリバーブを少しずつ深くし、ベースのコンプもやや軽めに移行して音圧の上昇を準備します
- サビ: ギターはリードパッチに切り替えブースターと付点8分743.8msのディレイをONにし、ベースはサビパッチで音圧を少し上げ、キーボードも音量を足して曲全体のグルーヴ感を高めます
- 間奏: リードギターとキーボードのシンセフレーズを対等に鳴らし、互いの余白を潰さないよう音量バランスを耳で確認します
- ラスサビ〜アウトロ: 音量・エフェクトともにこの曲で最も開放的な設定を維持しつつ、グルーヴのタイト感を最後まで保ったまま着地します
まとめ
- BPM121のディレイ基準値は8分495.9ms・付点8分743.8msです
- 中島宏士の単独ギター編成のため、宅録・弾いてみたではリズム/リードのパッチ切り替えでセクションごとの役割を表現します
- イントロ・サビを象徴するシンセフレーズを軸に据え、ファンクのグルーヴ感を保ったまま各パートの粒立ちをはっきりさせるのがこの曲最大の判断基準です
- キーボードは特定音源名を決め打ちせず、アタックの立ち上がりが速いアナログシンセ系の音色を選ぶのが実践的です
- 次回は同アーティストの別の代表曲の音作りも解説予定です
※この設定は実機検証前のドラフトです
設定値は出発点です。数値より耳での判断基準を優先して調整してください。
試聴シミュレーター
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DELAYはこの曲のBPM(121)から計算した8分音符の値を初期反映しています。GAIN/TREBLE/MIDDLE/BASSは一般的な目安値です。曲ごとの正確な設定値・判断基準は本文の①〜④セクションを確認してください。実録音ではなくWeb Audio APIによる合成音源です(NOTICE.md参照)。