菅田将暉「キスだけで feat.あいみょん」はBPM72、キーFメジャーのフォーキーで隙間の多いミディアムバラードです。2019年発売の2ndアルバム「LOVE」表題曲として、あいみょんが作詞作曲・トオミヨウが編曲を手掛けた男女デュエット曲です。菅田が女性目線、あいみょんが男性目線で歌うという構成が話題になり、YouTube公式MVは公開後まもなく1000万再生を突破しました。アコースティックギターを基調にローの効いたイントロから始まる、フォーキーな持ち味とトレンドの隙間の多いサウンドが融合したアレンジで、ギター弾き語り・フィンガーピッキングでの弾いてみた動画が多数投稿されていることから、アコースティック寄りのバンド編成での再現需要が高い曲です。菅田将暉は俳優が本業のソロ歌手でツアーごとにサポートメンバーの編成が変わるため、この記事では2024年アリーナツアー「SPIN」時点のギタリスト(西田修大)を基準に、アコースティック感を活かしたサウンドを再現するための設定値と判断基準をまとめました。 ※設定値はあくまで出発点です。数値そのものより、以降で示す耳での判断基準を優先して微調整してください。
目指す音の分解
- リズムギター: Aメロ・Bメロ・サビを通してフィンガーピッキング〜軽いストロークで隙間を大切にしながら曲を支える役割。歪みはほぼ使わず、澄んだクリーンの質感が理想です。
- リードギター: サビ・間奏でフレーズを彩る役割。歪みを増やすのではなく、ブーストで前に出す形で輪郭を保ちます。
- ベース: ローの効いたイントロを含め、曲全体の低音の隙間を埋めすぎない役割。粒立ちを保ちながらサビでわずかに前に出ます。
- フォーキーな隙間の多さを最優先に、ギターは音数と歪みを絞ってボーカルデュエットの掛け合いを邪魔しないのがこの曲の音作りの軸です。
①ギター:マルチエフェクター設定(GT-1000CORE / MS-3 / G6 / GE系など共通)
Guitar → コンプ(軽め) → アコースティックシミュレーター(薄め)
→ ディレイ → リバーブ → Amp Out
- アンプモデル設定: GAIN 8%(コードの分離感が残る上限、隙間を最優先)/ TREBLE 48%(フィンガーピッキングの粒立ちを出す範囲)/ MIDDLE 46%(削らない方針)/ BASS 30%(ベースと被らない上限)/ LEVELはデュエットボーカルを邪魔しない音量が基準
- ドライブブロック: TS系、GAIN 3%、TONE 44%、LEVEL 44%。歪みを足すと隙間の多いアレンジが崩れるため、ごくわずかなエッジ付け程度に留めるのが判断基準で、「歪んでいる」と感じたらやり過ぎです
- ブースターブロック(リードのみ): クリーンブースト系、GAINは上げずLEVELのみ+3dB程度。歪み量を増やさず音量と輪郭だけを前に出すのが目的で、ゲインが上がったと感じたらやり過ぎです
- ディレイブロック: BPM72から算出すると、8分 = 60000÷72 ≒ 833ms、付点8分 = 833×1.5 = 1250ms。リズムはディレイをごく薄く抑えてフィンガーピッキングの粒立ちを優先し、リードはサビ・間奏のフレーズで付点8分1250msを軽く重ねて余韻を作ります
- リバーブ方針: ルーム系を薄めにMix 30%程度。隙間の多いアレンジとしての澄んだ広がりを出しつつ、深すぎるホール系でデュエットのニュアンスが濁らないよう注意します
- パッチ対比表: ギター1本の編成のため、セクションごとに下記パッチを切り替える運用が基本です
| 項目 | リズムパッチ | リードパッチ(サビ・間奏で切替) |
|---|---|---|
| GAIN | 8% | 12% |
| ブースター | OFF | ON |
| ディレイMix | 8分/8% | 付点8分/18% |
| リバーブMix | 30% | 36% |
②ギター:マーシャルのみの場合(JCM900 / JCM2000 / DSL系)
- アンプ設定: GAIN 1(コードの分離感が残る上限、隙間を最優先)/ TREBLE 5(フィンガーピッキングの粒立ちを出す範囲)/ MIDDLE 5(削らない)/ BASS 3(ベースと被らない上限)/ PRESENCE 3(耳当たりが硬くならない上限)
- ピッキング強弱での展開の作り方: Aメロ・Bメロは手元を軽く絞ってフィンガーピッキングを丁寧に鳴らし、サビ・間奏は少し強めに弾き込んでフレーズの輪郭を前に出すのが基本です
- 足りない機能への対処: マーシャル単体はディレイ・リバーブが無く、澄んだクリーンの質感を出すアコースティックシミュレーターも無いため、空間系ペダルとアコースティックシミュレーターペダルを1台ずつ足すとこの曲の質感に近づきます
③ベース:マルチエフェクター/プロセッサー設定(GT-1000CORE / MS-3 / GT-1B系など共通)
Bass → コンプ → ドライブ/EQ(OFF) → アンプモデル(DI+アンプブレンド)
→ Amp/DI Out
- コンプ設定: スレッショルドは8分の粒が揃う程度、レシオ2.5:1前後。アタック(粒立ち)を潰さない上限がコンプの掛けすぎを判断する基準です
- アンプモデル設定: GAIN 24%(丸くなりすぎない上限)/ BASS 48%/ LOW-MID 50%(削らない方針、ローの効いたイントロを支える)/ HIGH-MID 32%(ギターと被らない上限)/ TREBLE 26%(刺さらない範囲)/ LEVELはデュエットボーカルを邪魔しない音量が基準。DI+アンプの比率はDI7:アンプ3を起点に、指弾きのアタック感が残る範囲で耳で微調整します
- ドライブ/EQブロック(使う場合のみ): 基本OFFですが、サビでわずかに厚みを足したい時のみごく軽いドライブを薄くON。隙間の多いアレンジの質感を崩さない上限まで下げるのが判断基準です
- 通常パッチ/サビパッチの対比表
| 項目 | 通常パッチ | サビパッチ(音圧を上げる場面) |
|---|---|---|
| コンプ量 | 軽め(粒立ち優先) | やや強め(音圧優先) |
| DI:アンプ比率 | 7:3 | 6:4 |
| ドライブ | OFF | OFF |
| LEVEL | 基準値 | +1dB程度 |
④ベース:アンプ(DI)のみの場合(Ampeg SVT系)
- アンプ設定: GAIN 2(音が割れない上限)/ ULTRA LO 軽め(団子にならない範囲、イントロのローを支える)/ ULTRA HI OFF(硬くなりすぎない)/ BASS 4/ MIDDLE 5(削らない)/ TREBLE 3(刺さらない範囲)
- 指弾き/ピック弾きでの展開の作り方: 基本は指弾きで隙間を活かしたグルーヴを出し、サビでほんのわずかに音圧を足す使い分けが基本です
- 足りない機能への対処: アンプ単体はコンプの細かい調整ができないため、8分の粒立ちを均す外部コンプペダルを1台足すと通常/サビの差が安定します
セクション別の組み立て
- イントロ: ベースのローを効かせ、リズムギターはフィンガーピッキングで隙間を残しながら曲の骨格を提示します
- Aメロ: デュエットの掛け合いを邪魔しないようリズムパッチのゲインを絞り、ベースはルートを軸に落ち着いたグルーヴを支えます
- Bメロ: サビに向けディレイMixとベースの密度を少しずつ上げ、高揚感を作ります
- サビ: リードパッチに切り替えブースターと付点8分1250msのディレイを軽く重ね、ベースはサビパッチで音圧を上げます
- 間奏: リードギターのフレーズをルーム系リバーブで軽く広げ、輪郭を保ったまま余韻を残します
- アウトロ: 音数をさらに減らし、ディレイとリバーブの余韻だけを残して静かに着地します
まとめ
- BPM72のディレイ基準値は8分833ms・付点8分1250msです
- 菅田将暉はソロ歌手でツアーごとにサポートメンバーの編成が変わるため、ここでは2024年時点のギタリスト(西田修大)を基準とした1本のパッチ切り替え運用を紹介しました
- フォーキーな隙間の多さを最優先に、ギターは音数と歪みを絞ってボーカルデュエットの掛け合いを邪魔しないのがこの曲最大の判断基準です
- 次回は同じ菅田将暉の他曲の音作りも解説予定です
※この設定は実機検証前のドラフトです
設定値は出発点です。数値より耳での判断基準を優先して調整してください。
この曲の設定を試聴する
DELAYはこの曲のBPM(72)から計算した8分音符の値を初期反映しています。GAIN/TREBLE/MIDDLE/BASSは一般的な目安値です。曲ごとの正確な設定値・判断基準は本文の①〜④セクションを確認してください。実録音ではなくWeb Audio APIによる合成音源です(NOTICE.md参照)。