L'Arc-en-Ciel「花葬」は、BPM110・キーEマイナーの重厚なゴシックロックナンバーです。1998年発売のシングルで、ギター・ベース・ドラムを伴う実在のバンドアレンジで演奏される定番曲であり、コード譜サイトでもバンド編成曲として掲載されていることが確認できています。この記事では、ギター(ken)のマルチエフェクター設定とマーシャル単体設定、ベース(tetsuya)のマルチエフェクター設定とアンプ(DI)単体設定を、判断基準つきでまとめました。 ※設定値はあくまで出発点です。数値そのものより、以降で示す耳での判断基準を優先して微調整してください。
目指す音の分解
- リズムギター(ken): Aメロ・Bメロで曲の暗い質感を支える低音弦主体のリフを刻む役割。歪みは薄めに保ち、Emマイナーの重さがこもらないことが理想です。
- リードギター(ken): サビ・間奏で音の厚みを増しつつ単音フレーズも織り交ぜる役割。ギター1本の編成なので、リズムとリードの切り替わりがゲイン量とディレイの深さの差ではっきり聴き分けられることが基準になります。
- ベース(tetsuya): BPM110のミドルテンポで低音の土台を安定させながら、サビでは音の圧を増して曲の重さを支える役割。粒立ちの良さと重厚感の両立が求められます。
- 暗く重いキーの曲でもミドルを削らず、歪みは薄く保って音像がこもらないようにすることが音作りの共通原則です。
①ギター:マルチエフェクター設定(GT-1000CORE / MS-3 / G6 / GE系など共通)
Guitar → コンプ(軽め) → ドライブ(薄め) → アンプモデル(クランチ〜ドライブ)
→ ブースター(リードのみ) → ディレイ → リバーブ → Amp Out
- アンプモデル設定: GAIN 45%(Aメロのリフがこもらない上限)/ TREBLE 55%(暗いキーでも輪郭を保つ範囲)/ MIDDLE 55%(削らない方針、Emマイナーの重さを支える)/ BASS 35%(ベースと被らない上限)/ LEVELはボーカルの手前で止まる音量が基準
- ドライブブロック: TS系、GAIN 30〜35%、TONE 50%、LEVEL 45%。低音弦主体のリフがEmマイナーの響きで濁らず、サビでコードを弾いても輪郭を保てる上限まで上げるのが判断基準です
- ブースターブロック(リードのみ): クリーンブースト系、GAINは軽く+LEVELを+3〜4dB程度。サビ・間奏で音の厚みが増す瞬間が、重厚感の高まりとして耳ではっきり伝わる範囲に収めるのが判断基準です
- ディレイブロック: BPM110から算出すると、8分 = 60000÷110 = 545.45ms(実運用は545ms)、付点8分 = 545×1.5 = 817.5ms(実運用は818ms)。Aメロのリフには軽く8分545msを添え、サビ・間奏のフレーズには付点8分818msで奥行きを足します
- リバーブ方針: ホール系をやや深めにMix 18%程度。曲の暗さ・重さを支える残響感が出ているか、こもって聴こえないかを耳で確認するのが基準です
- パッチ対比表: kenの単独ギター編成のため、1人で両方を担当する場合(宅録・弾いてみた等)は下記パッチをセクションごとに切り替える運用が基本です
| 項目 | リズムパッチ(Aメロ・Bメロ用) | リードパッチ(サビ・間奏用) |
|---|---|---|
| GAIN | 45% | 55% |
| ブースター | OFF | ON |
| ディレイMix | 8分/14% | 付点8分/24% |
| リバーブMix | 14% | 20% |
②ギター:マーシャルのみの場合(JCM900 / JCM2000 / DSL系)
- アンプ設定: GAIN 5(Aメロのリフがこもらない上限〜サビで抜けが失われない下限)/ TREBLE 5(暗いキーでも輪郭を活かす範囲)/ MIDDLE 6(削らない)/ BASS 4(ベースと被らない上限)/ PRESENCE 5(重い音でも耳に刺さらない上限)
- ピッキング強弱での展開の作り方: 単独ギター編成のため、Aメロ・Bメロはピッキングを抑えめにして低音弦リフの重さを出し、サビ・間奏では強めのピッキングで音圧を上げることで、重厚感の高まりをピッキングだけで表現するのが基本です
- 足りない機能への対処: マーシャル単体はディレイ・リバーブが無いため、付点8分818msの奥行きを再現できる空間系ペダルを1台足すと、サビ・間奏の厚みの出方が大きく変わります
③ベース:マルチエフェクター/プロセッサー設定(GT-1000CORE / MS-3 / GT-1B系など共通)
Bass → コンプ → ドライブ/EQ(基本OFF) → アンプモデル(DI+アンプブレンド)
→ Amp/DI Out
- コンプ設定: スレッショルドはBPM110のミドルテンポで粒が均一に聴こえる程度、レシオ4:1前後。アタック(粒立ち)を潰さない上限がコンプの掛けすぎを判断する基準です
- アンプモデル設定: GAIN 45%(重いリフに合わせても音が暴れない上限)/ BASS 55%/ LOW-MID 50%(Emマイナーの重さを支える方針)/ HIGH-MID 40%(ギターのリフと被らない上限)/ TREBLE 30%(刺さらない範囲)/ LEVELはサビで音圧を一段上げる音量が基準。DI+アンプの比率はDI6:アンプ4を起点に、重厚なリフでもアタック感が残る範囲でアンプ側の色を混ぜるのが判断基準です
- ドライブ/EQブロック(使う場合のみ): 基本OFFですが、サビで音圧を足したい時のみ軽いドライブを薄くON。低音の輪郭を失わず、こもった音にならない上限まで下げるのが判断基準です
- 通常パッチ/サビパッチの対比表
| 項目 | 通常パッチ(Aメロ・Bメロ) | サビパッチ(音圧を上げる場面) |
|---|---|---|
| コンプ量 | やや強め(粒立ち優先) | 軽め(音圧優先) |
| DI:アンプ比率 | 6:4 | 5:5 |
| ドライブ | OFF | 薄くON |
| LEVEL | 基準値 | +2〜3dB程度 |
④ベース:アンプ(DI)のみの場合(Ampeg SVT系)
- アンプ設定: GAIN 5(重いリフで音が痩せない下限〜サビで暴れない上限)/ ULTRA LO 軽め(もたつかない範囲)/ ULTRA HI 軽め(硬くなりすぎない範囲)/ BASS 5/ MIDDLE 5(削らない)/ TREBLE 4(刺さらない範囲)
- 指弾き/ピック弾きでの展開の作り方: Aメロ・Bメロは指弾きで粒立ちよく低音の土台を支え、サビでピック弾き寄りの明瞭なアタックに切り替えると、重厚感の高まりがはっきり強調できます
- 足りない機能への対処: アンプ単体はコンプの細かい調整ができないため、ミドルテンポの粒を均す外部コンプペダルを1台足すと安定感が増します
セクション別の組み立て
- イントロ: リズムギター(ken)が低音弦リフで曲の暗さを提示し、ベース(tetsuya)は指弾きで土台を支えます
- Aメロ: ギターのゲインを抑えめにし、ベースのコンプはやや強めにして粒立ちを揃え、重いキーでも音像がこもらない音量に収めます
- Bメロ: サビに向けてギターのディレイを付点8分に切り替える準備をし、ベースのコンプも軽めに移行して音圧の上昇を準備します
- サビ: ギターはリードパッチに切り替えブースターと付点8分818msのディレイをONにし、ベースはサビパッチで音圧を最大化します
- 間奏: kenがブースターとディレイを保ったまま音の厚みを増して前に抜け、ベースは通常パッチに戻して隙間を作ります
- ラスサビ〜アウトロ: 音量・エフェクトともにこの曲で最も深い設定を維持しつつ、重厚感を最後まで途切れさせません
まとめ
- BPM110のディレイ基準値は8分545ms・付点8分818msです。サビ・間奏のフレーズには付点8分を、Aメロ・Bメロのリフには8分を軽くかけるのがコツです
- kenの単独ギター編成のため、宅録・弾いてみたではリズム/リードのパッチ切り替えでセクションごとの役割を表現します
- ベースは通常パッチとサビパッチでコンプ量とDI:アンプ比率を切り替え、重厚感を保ちながらサビの音圧を両立させます
- 暗く重いキーの曲なので、ゲインや歪みを上げすぎず輪郭を保てるかどうかがこの曲の音作りの最大のポイントです
- 次回は同アーティストの別の代表曲の音作りも解説予定です
※この設定は実機検証前のドラフトです
設定値は出発点です。数値より耳での判断基準を優先して調整してください。
試聴シミュレーター
この曲の設定を試聴する
DELAYはこの曲のBPM(110)から計算した8分音符の値を初期反映しています。GAIN/TREBLE/MIDDLE/BASSは一般的な目安値です。曲ごとの正確な設定値・判断基準は本文の①〜④セクションを確認してください。実録音ではなくWeb Audio APIによる合成音源です(NOTICE.md参照)。