米津玄師「感電」は、BPM103・キーBメジャー(ギター譜面ではカポ4使用のG/Emシェイプ運指表記も見られます)の楽曲です。2020年発売のアルバム「STRAY SHEEP」収録曲でTBS系金曜ドラマ「MIU404」主題歌として知られ、公式バンドスコアにもボーカル/コーラス/キーボード4本/エレキギター2本/エレキベース/パーカッション/ドラム/ブラスセクションという編成が明記される、実在のバンド演奏を前提とした定番曲です。ギター・ベース・ドラムそれぞれの弾いてみた動画も多数実在し、テンションコードと半音進行を多用した大人びたファンクグルーヴの楽曲として知られています。米津玄師のライブは中島宏士(Gt)・須藤優(Ba)・宮川純(Key)を含む固定サポートメンバーによるバンド編成で行われており、この記事ではギター(中島宏士)のマルチエフェクター設定とマーシャル単体設定、ベース(須藤優)の設定、そして曲を彩るキーボード(宮川純)の設定を判断基準つきでまとめました。 ※設定値はあくまで出発点です。数値そのものより、以降で示す耳での判断基準を優先して微調整してください。
目指す音の分解
- リズムギター(中島宏士): Aメロ・Bメロでテンションコードを軽やかにカッティングし、ファンクらしい跳ねたグルーヴを作る役割。歪みは薄く、輪郭よりも歯切れの良さが理想です。
- リードギター(中島宏士): サビ・間奏で装飾的なオブリガードを添える役割。ギター1本の編成なので、リズムとの切り替わりがゲイン量とディレイの深さの差ではっきり聴き分けられることが基準になります。
- ベース(須藤優): 曲全体を支えるファンキーな8分・16分主体のラインで低音のグルーヴを牽引する役割。走らず粒が潰れない安定感が求められます。
- キーボード(宮川純): 曲を貫くクラビネット/シンセ系のリフを軸に、ブラスと絡み合いながら大人びた色彩を加える役割。伴奏に埋もれず、独立して聴こえる粒立ちの良さが理想です。
- ファンクのグルーヴ感とテンションコードの色気を保ちながら、ギター・ベース・キーボードそれぞれの粒立ちを潰さないのがこの曲の音作りの軸です。
①ギター:マルチエフェクター設定(GT-1000CORE / MS-3 / G6 / GE系など共通)
Guitar → コンプ(軽め) → ドライブ(薄め) → アンプモデル(クリーン〜クランチ)
→ ブースター(リードのみ) → ディレイ → リバーブ → Amp Out
- アンプモデル設定: GAIN 25〜30%(テンションコードの響きが濁らない上限)/ TREBLE 55%(耳に刺さらない範囲)/ MIDDLE 50%(削らない方針)/ BASS 35%(ベース・キーボードの低域と被らない上限)/ LEVELはキーボードのリフより一段控えめな音量が基準
- ドライブブロック: TS系、GAIN 15〜20%、TONE 50%、LEVEL 50%。歪みがテンションコードの音程感を濁らせない上限が判断基準です
- ブースターブロック(リードのみ): クリーンブースト系、GAINは上げずLEVELのみ+2dB程度。間奏のオブリガードがキーボードのリフを食わない範囲に収めるのが判断基準です
- ディレイブロック: BPM103から算出すると、8分 = 60000÷103 = 約582.5ms、付点8分 = 582.5×1.5 = 約873.8ms。リズムには8分582.5msを薄くタップし、間奏のオブリガードには付点8分873.8msで余韻を持たせます
- リバーブ方針: プレート系を浅めにMix 15%程度。残響がテンションコードの粒立ちを飲み込み始めたら深すぎるサインです
- パッチ対比表: 中島宏士の単独ギター編成のため、1人で両方を担当する場合(宅録・弾いてみた等)は下記パッチをセクションごとに切り替える運用が基本です
| 項目 | リズムパッチ(Aメロ・Bメロ用) | リードパッチ(サビ・間奏用) |
|---|---|---|
| GAIN | 25% | 35% |
| ブースター | OFF | ON |
| ディレイMix | 8分/8% | 付点8分/16% |
| リバーブMix | 12% | 18% |
②ギター:マーシャルのみの場合(JCM900 / JCM2000 / DSL系)
- アンプ設定: GAIN 3(テンションコードの響きが濁らない上限)/ TREBLE 5(耳に刺さらない範囲)/ MIDDLE 6(削らない)/ BASS 4(ベース・キーボードと被らない上限)/ PRESENCE 4(硬くなりすぎない上限)
- ピッキング強弱での展開の作り方: Aメロ・Bメロは指先で軽くカッティングしてファンクの跳ねを出し、サビ・間奏では弾き込みを強めてオブリガードを前に出すのが基本です
- 足りない機能への対処: マーシャル単体はディレイ・リバーブが無いため、付点8分873.8msの余韻を再現できる空間系ペダルを1台足すと、間奏の広がりが大きく変わります
③ベース:マルチエフェクター/プロセッサー設定(GT-1000CORE / MS-3 / GT-1B系など共通)
Bass → コンプ → ドライブ/EQ(基本OFF) → アンプモデル(DI+アンプブレンド)
→ Amp/DI Out
- コンプ設定: スレッショルドは16分の粒が均一に聴こえる程度、レシオ3:1前後。アタック(粒立ち)を潰さない上限がコンプの掛けすぎを判断する基準です
- アンプモデル設定: GAIN 35%(ファンキーなラインでも音が痩せない上限)/ BASS 55%/ LOW-MID 50%(削らない方針)/ HIGH-MID 40%(キーボードと被らない上限)/ TREBLE 25%(刺さらない範囲)/ LEVELは曲全体を通してグルーヴを支える音量が基準。DI+アンプの比率はDI7:アンプ3を起点に、16分のアタック感が残る範囲でアンプ側の色を混ぜるのが判断基準です
- ドライブ/EQブロック(使う場合のみ): 基本OFF。サビでほんの少しだけ厚みを足したい時のみ軽くON。低音の輪郭を失わない上限まで下げるのが判断基準です
- 通常パッチ/サビパッチの対比表
| 項目 | 通常パッチ(Aメロ・Bメロ) | サビパッチ(音圧を上げる場面) |
|---|---|---|
| コンプ量 | やや強め(粒立ち優先) | 軽め(音圧優先) |
| DI:アンプ比率 | 7:3 | 6:4 |
| ドライブ | OFF | ごく薄くON |
| LEVEL | 基準値 | +1〜2dB程度 |
④ベース:アンプ(DI)のみの場合(Ampeg SVT系)
- アンプ設定: GAIN 4(ファンキーなラインでも音が痩せない下限〜サビで暴れない上限)/ ULTRA LO 軽め(もたつかない範囲)/ ULTRA HI 軽め(硬くなりすぎない範囲)/ BASS 5/ MIDDLE 5(削らない)/ TREBLE 3(刺さらない範囲)
- 指弾き/ピック弾きでの展開の作り方: 曲を通して指弾きで丸みのあるグルーヴを保ち、サビでほんの少しピック寄りの弾き方に近づけると音圧差がはっきり作れます
- 足りない機能への対処: アンプ単体はコンプの細かい調整ができないため、16分の粒立ちを均す外部コンプペダルを1台足すと安定感が増します
⑤キーボード/シンセ音作り
- 音色カテゴリ: クラビネット系のカッティング音色を軸に、サビ・間奏ではアナログシンセ系のリードも重ねます。曲を貫くリフとして伴奏に埋もれず独立して聴こえるかが選定の判断基準です(公式バンドスコアにもキーボードパートが4本収録され、ブラスセクションと絡み合うほど独立性の高いリフです)。原曲のクレジットは特定音源名を明言していないため、アタックのはっきりしたクラビネット系の音色を選ぶのが実践的です
- EQ方針: 300〜500Hz付近をギター・ベースと被らない範囲でわずかにカット、2〜4kHz付近はカッティングの粒立ちを活かす方向でわずかに持ち上げます。バンド全体で音の隙間があるかを耳で確認しながら削る/持ち上げるのが基準です
- 空間系: BPM103から8分582.5ms・付点8分873.8ms。曲を貫くリフには8分582.5msを薄くMixしてファンクのタイト感を保ち、間奏では付点8分873.8msで少し広がりを足します
- セクションごとの運用: イントロはリフを主役に音量を上げ、Aメロ・Bメロは歌の伴奏に回って音量を絞り、サビでは歌・ブラスと重ならない高域を選んで存在感を保ちます。間奏は再びリフを前に出し、曲全体の大人びたグルーヴ感を途切れさせないようにします
セクション別の組み立て
- イントロ: キーボード(宮川純)のクラビネット系リフを主役に、ギター(中島宏士)はリズムパッチでカッティングの歯切れだけを整えます
- Aメロ: 歌とキーボードの音色を邪魔しないようリズムギターは音量を絞り、ベース(須藤優)は指弾きでファンキーなラインの粒立ちを整えます
- Bメロ: サビに向けディレイMixとリバーブを少しずつ深くし、ベースのコンプもやや軽めに移行して音圧の上昇を準備します
- サビ: ギターはリードパッチに切り替えブースターと付点8分873.8msのディレイをONにし、ベースはサビパッチで音圧を少し上げ、キーボードも音量を足して曲全体のグルーヴ感を高めます
- 間奏: リードギターとキーボードのリフを対等に鳴らし、互いの余白を潰さないよう音量バランスを耳で確認します
- ラスサビ〜アウトロ: 音量・エフェクトともにこの曲で最も開放的な設定を維持しつつ、ファンクのタイト感を最後まで保ったまま着地します
まとめ
- BPM103のディレイ基準値は8分582.5ms・付点8分873.8msです
- 中島宏士の単独ギター編成のため、宅録・弾いてみたではリズム/リードのパッチ切り替えでセクションごとの役割を表現します
- 曲を貫くクラビネット系のリフを軸に据え、ファンクのグルーヴ感とテンションコードの色気を保ったまま各パートの粒立ちをはっきりさせるのがこの曲最大の判断基準です
- キーボードは特定音源名を決め打ちせず、アタックのはっきりしたクラビネット系の音色を選ぶのが実践的です
- 次回は同アーティストの別の代表曲の音作りも解説予定です
※この設定は実機検証前のドラフトです
設定値は出発点です。数値より耳での判断基準を優先して調整してください。
試聴シミュレーター
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DELAYはこの曲のBPM(103)から計算した8分音符の値を初期反映しています。GAIN/TREBLE/MIDDLE/BASSは一般的な目安値です。曲ごとの正確な設定値・判断基準は本文の①〜④セクションを確認してください。実録音ではなくWeb Audio APIによる合成音源です(NOTICE.md参照)。