椎名林檎「神様、仏様」はBPM130、キーAマイナーのファンキーなブルースロックナンバーです。2015年発売の両A面シングル『長く短い祭/神様、仏様』の収録曲として知られ、向井秀徳(ZAZEN BOYS)をフィーチャーした一曲です。村田陽一編曲によるホーンセクションとクラビネットが絡む骨太なグルーヴが特徴で、ギターコード譜・ピアノコードがU-FRETや楽器.me等複数サイトで公開されているほか、クラビネットパートの完全採譜譜も現行流通していることから、バンド編成での再現需要が高い曲です。この記事ではギター+キーボードのバンドサウンドを再現するための設定値と判断基準をまとめました。 ※設定値はあくまで出発点です。数値そのものより、以降で示す耳での判断基準を優先して微調整してください。
目指す音の分解
- リズムギター: Aメロ・Bメロ・サビを通してファンキーなカッティングでグルーヴの骨格を支える役割。歪みは薄く留め、粒立ちのはっきりしたクランチの質感が理想です。
- リードギター: サビ・間奏でブルージーなフレーズを彩る役割。歪みを増やすのではなく、ブーストで前に出す形で輪郭を保ちます。
- ベース: ルートを軸に跳ねた8分でファンキーなグルーヴを支える役割。粒立ちを保ちながらサビでわずかに前に出ます。
- キーボード: クラビネットによるファンキーなカッティングリフを曲を通して主役級に聴かせる役割。ホーンセクションと絡みながらも埋もれず独立して聴こえます。
- ファンキーなグルーヴを最優先に、ギターはクラビネットと帯域が被らないよう歪みを溜め込みすぎないのがこの曲の音作りの軸です。
①ギター:マルチエフェクター設定(GT-1000CORE / MS-3 / G6 / GE系など共通)
Guitar → コンプ(軽め) → ドライブ(薄め) → アンプモデル(クランチ)
→ ブースター(リードのみON) → ディレイ → リバーブ → Amp Out
- アンプモデル設定: GAIN 32%(コードの分離感が残る上限)/ TREBLE 50%(エッジを出しつつ耳に刺さらない範囲)/ MIDDLE 50%(削らない方針)/ BASS 36%(ベース・クラビネットと被らない上限)/ LEVELはクラビネット・ホーンを邪魔しない音量が基準
- ドライブブロック: TS系、GAIN 18%、TONE 50%、LEVEL 50%。「歪んでいる」と感じるより「エッジがわずかに立っている」と感じる程度に留めるのが判断基準で、これを超えるとカッティングの粒立ちが濁ります
- ブースターブロック(リードのみ): クリーンブースト系、GAINは上げずLEVELのみ+3dB程度。歪み量を増やさず音量と輪郭だけを前に出すのが目的で、ゲインが上がったと感じたらやり過ぎです
- ディレイブロック: BPM130から算出すると、8分 = 60000÷130 ≒ 462ms、付点8分 = 462×1.5 ≒ 692ms。リズムは基本的にディレイを薄く抑えファンキーな粒立ちを優先し、リードはサビ・間奏のフレーズで付点8分692msを軽く重ねて余韻を作ります
- リバーブ方針: ルーム系を薄めにMix 22%程度。骨太なグルーヴを邪魔しないよう、深すぎるホール系でアタックがぼやけないよう注意します
- パッチ対比表: ギター1本の編成のため、セクションごとに下記パッチを切り替える運用が基本です
| 項目 | リズムパッチ | リードパッチ(サビ・間奏で切替) |
|---|---|---|
| GAIN | 32% | 38% |
| ブースター | OFF | ON |
| ディレイMix | ほぼOFF/5% | 付点8分/18% |
| リバーブMix | 22% | 28% |
②ギター:マーシャルのみの場合(JCM900 / JCM2000 / DSL系)
- アンプ設定: GAIN 3(コードの分離感が残る上限)/ TREBLE 5(エッジを出す範囲)/ MIDDLE 5(削らない)/ BASS 4(ベース・クラビネットと被らない上限)/ PRESENCE 4(耳当たりが硬くならない上限)
- ピッキング強弱での展開の作り方: Aメロ・Bメロは手元を軽く絞ってファンキーなカッティングを丁寧に刻み、サビ・間奏は少し強めに弾き込んでブルージーなフレーズの輪郭を前に出すのが基本です
- 足りない機能への対処: マーシャル単体はディレイ・リバーブが無いため、付点8分692msを再現できる空間系ペダルを1台足すと、サビ・間奏の余韻が大きく変わります
③ベース:マルチエフェクター/プロセッサー設定(GT-1000CORE / MS-3 / GT-1B系など共通)
Bass → コンプ → ドライブ/EQ(基本OFF) → アンプモデル(DI+アンプブレンド)
→ Amp/DI Out
- コンプ設定: スレッショルドは跳ねた8分の粒が揃う程度、レシオ3.5:1前後。アタック(粒立ち)を潰さない上限がコンプの掛けすぎを判断する基準です
- アンプモデル設定: GAIN 32%(丸くなりすぎない上限)/ BASS 48%/ LOW-MID 50%(削らない方針)/ HIGH-MID 40%(ギター・クラビネットと被らない上限)/ TREBLE 34%(刺さらない範囲)/ LEVELはホーン・クラビネットを邪魔しない音量が基準。DI+アンプの比率はDI6:アンプ4を起点に、指弾きのアタック感が残る範囲で耳で微調整します
- ドライブ/EQブロック(使う場合のみ): 基本OFFですが、サビでわずかに厚みを足したい時のみ軽いドライブを薄くON。低音の輪郭を失わない上限まで下げるのが判断基準です
- 通常パッチ/サビパッチの対比表
| 項目 | 通常パッチ | サビパッチ(音圧を上げる場面) |
|---|---|---|
| コンプ量 | 軽め(粒立ち優先) | やや強め(音圧優先) |
| DI:アンプ比率 | 6:4 | 5:5 |
| ドライブ | OFF | 薄くON |
| LEVEL | 基準値 | +1〜2dB程度 |
④ベース:アンプ(DI)のみの場合(Ampeg SVT系)
- アンプ設定: GAIN 4(音が割れない上限)/ ULTRA LO 軽め(団子にならない範囲)/ ULTRA HI 軽め(輪郭を出す範囲)/ BASS 5/ MIDDLE 5(削らない)/ TREBLE 4(刺さらない範囲)
- 指弾き/ピック弾きでの展開の作り方: 基本は指弾きでファンキーなグルーヴを出し、サビでピックに持ち替えて音圧をわずかに足す使い分けが基本です
- 足りない機能への対処: アンプ単体はコンプの細かい調整ができないため、跳ねた8分の粒立ちを均す外部コンプペダルを1台足すと通常/サビの差が安定します
⑤キーボード/シンセ音作り
- 音色カテゴリ: クラビネット系。曲を通してファンキーなカッティングリフの主役を担えるかが選定の判断基準で、伴奏に薄く馴染む程度の音色は避けます
- EQ方針: 500〜800Hz付近をギターと被らない範囲でわずかに削り、クラビネット特有のパキっとしたアタック感を残します。バンド全体で音の隙間があるかを耳で確認しながら削るのが基準です
- 空間系: BPM130から8分462ms・付点8分692ms。クラビネットは基本的にディレイを薄く抑えてカッティングの粒立ちを優先し、間奏のブレイク明けなど余韻を出したい箇所のみ8分462msを軽くMixします
- セクションごとの運用: Aメロ・Bメロはクラビネットのカッティングリフを前面に出して曲を牽引し、サビはギター・ホーン的な厚みと拮抗する音量まで上げ、間奏はブレイクを挟みつつリフを際立たせます
セクション別の組み立て
- イントロ: クラビネットのカッティングリフで曲の骨格を提示し、リズムギターは控えめに絡み、ベースは跳ねた8分で土台を作ります
- Aメロ: 歌を邪魔しないようリズムパッチのゲインを絞り、クラビネットのリフを主役に据えます
- Bメロ: サビに向けギターのディレイMixとベースの密度を少しずつ上げ、高揚感を作ります
- サビ: リードパッチに切り替えブースターと付点8分692msのディレイを軽く重ね、ベースはサビパッチで音圧を上げ、クラビネットも音量を上げて拮抗させます
- 間奏: クラビネットのリフとリードギターのブルージーなフレーズを交互に立たせ、ルーム系リバーブで余韻を残します
- アウトロ: 音数を減らし、クラビネットとディレイ・リバーブの余韻だけを残して着地します
まとめ
- BPM130のディレイ基準値は8分462ms・付点8分692msです
- ギターは名越由貴夫を軸としたサポート編成のため、1本のパッチ切り替え運用が基本です
- ファンキーなグルーヴを最優先に、ギターはクラビネットと帯域が被らないよう歪みを溜め込みすぎないのがこの曲最大の判断基準です
- 次回は同じ椎名林檎の他曲の音作りも解説予定です
※この設定は実機検証前のドラフトです
設定値は出発点です。数値より耳での判断基準を優先して調整してください。
試聴シミュレーター
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DELAYはこの曲のBPM(130)から計算した8分音符の値を初期反映しています。GAIN/TREBLE/MIDDLE/BASSは一般的な目安値です。曲ごとの正確な設定値・判断基準は本文の①〜④セクションを確認してください。実録音ではなくWeb Audio APIによる合成音源です(NOTICE.md参照)。