SEKAI NO OWARI「Habit」はBPM118、キーB♭マイナーのしっとりとしたバラード寄りのポップロックナンバーです。2022年発売の16thシングルとして実写映画「xxxHOLiC」の主題歌に起用され、7ヶ月で1億回再生を突破するほどのヒット曲になりました。バンドスコア(Vo.&Cho./Keyboards1・2/E.Guitar1/E.Guitar2・3/E.Bass/Drums/Perc.編成)がフェアリー/Piascore等複数出版社から現行流通し、ギター1本で弾く場合の専用アレンジ解説やベース単体のTAB譜も存在するほど、バンドでの再現需要が高い曲です。原曲はギターパートが2〜3トラック重ねられていますが、ライブでは1人ギター(Nakajin)編成が基本のため、この記事では単独ギター前提で、ピアノを核にしたキーボードとあわせた設定値と判断基準をまとめました。 ※設定値はあくまで出発点です。数値そのものより、以降で示す耳での判断基準を優先して微調整してください。
目指す音の分解
- リズムギター: Aメロ・Bメロ・サビを通して控えめなアルペジオ/カッティングでピアノを支える役割。歪みは薄めに留め、しっとりとした質感が理想です。
- リードギター: サビ・間奏でメロディに寄り添う役割。歪みを増やすのではなく、ブーストで前に出す形で輪郭を保ちます。
- ベース: 8分〜16分でしっとりとルートを支える役割。粒立ちを保ちながらサビでしっかり前に出ます。
- キーボード: イントロ〜曲全体を貫くピアノフレーズが曲の顔で、サビではパッド系シンセが加わり厚みを増します。ピアノ単体でも曲だと分かるほど独立して聴こえます。
- しっとりとした質感を最優先に、ギターは歪みを溜め込みすぎずピアノのフレーズを邪魔しないのがこの曲の音作りの軸です。
①ギター:マルチエフェクター設定(GT-1000CORE / MS-3 / G6 / GE系など共通)
Guitar → コンプ(軽め) → ドライブ(薄め) → アンプモデル(クリーン〜薄クランチ)
→ ブースター(リードのみON) → ディレイ → リバーブ → Amp Out
- アンプモデル設定: GAIN 24%(音が団子にならず、コードの分離感が残る上限)/ TREBLE 48%(しっとりとした質感を保つ範囲)/ MIDDLE 52%(削らない方針)/ BASS 36%(ベース・キーボードの低域と被らない上限)/ LEVELはピアノを邪魔しない音量が基準
- ドライブブロック: TS系、GAIN 12%、TONE 48%、LEVEL 48%。「しっとりとした質感を保つ」程度に留めるのが判断基準で、これを超えるとバラードの空気感が崩れます
- ブースターブロック(リードのみ): クリーンブースト系、GAINは上げずLEVELのみ+3dB程度。歪み量を増やさず音量と輪郭だけを前に出すのが目的で、ゲインが上がったと感じたらやり過ぎです
- ディレイブロック: BPM118から算出すると、8分 = 60000÷118 ≒ 508ms、付点8分 = 508×1.5 ≒ 763ms。リズムはディレイを薄く抑えてアルペジオの輪郭を優先し、リードはサビ・間奏のフレーズで付点8分763msを軽く重ねてしっとりとした余韻を作ります
- リバーブ方針: ホール系を中程度にMix 35%程度。バラードらしい広がりを作りつつ、アタックがぼやけない範囲に留めます
- パッチ対比表: ギター1本の編成のため、セクションごとに下記パッチを切り替える運用が基本です
| 項目 | リズムパッチ | リードパッチ(サビ・間奏で切替) |
|---|---|---|
| GAIN | 24% | 30% |
| ブースター | OFF | ON |
| ディレイMix | 8分/12% | 付点8分/24% |
| リバーブMix | 35% | 40% |
②ギター:マーシャルのみの場合(JCM900 / JCM2000 / DSL系)
- アンプ設定: GAIN 2〜3(コードの分離感が残る上限)/ TREBLE 4〜5(しっとりとした質感を保つ範囲)/ MIDDLE 5〜6(削らない)/ BASS 4(ベース・キーボードと被らない上限)/ PRESENCE 3〜4(耳当たりが硬くならない上限)
- ピッキング強弱での展開の作り方: Aメロ・Bメロは手元を軽く絞ってピアノを立てるように弾き、サビ・間奏は少し強めに弾き込んでフレーズの輪郭を前に出すのが基本です
- 足りない機能への対処: マーシャル単体はディレイ・リバーブが無いため、付点8分763msを再現できる空間系ペダルを1台足すと、サビ・間奏のしっとりとした余韻が大きく変わります
③ベース:マルチエフェクター/プロセッサー設定(GT-1000CORE / MS-3 / GT-1B系など共通)
Bass → コンプ → ドライブ/EQ(基本OFF) → アンプモデル(DI+アンプブレンド)
→ Amp/DI Out
- コンプ設定: スレッショルドは8分の粒が揃う程度、レシオ3:1前後。バラード曲は音量の起伏が耳に付きやすいため、アタック(粒立ち)を潰さない上限がコンプの掛けすぎを判断する基準です
- アンプモデル設定: GAIN 30%(丸くなりすぎない上限)/ BASS 46%/ LOW-MID 50%(削らない方針)/ HIGH-MID 34%(ギター・キーボードと被らない上限)/ TREBLE 28%(刺さらない範囲)/ LEVELはピアノを邪魔しない音量が基準。DI+アンプの比率はDI6:アンプ4を起点に、指弾きのアタック感が残る範囲で耳で微調整します
- ドライブ/EQブロック(使う場合のみ): 基本OFFですが、サビでわずかに厚みを足したい時のみ軽いドライブを薄くON。低音の輪郭を失わない上限まで下げるのが判断基準です
- 通常パッチ/サビパッチの対比表
| 項目 | 通常パッチ | サビパッチ(音圧を上げる場面) |
|---|---|---|
| コンプ量 | 軽め(粒立ち優先) | やや強め(音圧優先) |
| DI:アンプ比率 | 6:4 | 5:5 |
| ドライブ | OFF | 薄くON |
| LEVEL | 基準値 | +1〜2dB程度 |
④ベース:アンプ(DI)のみの場合(Ampeg SVT系)
- アンプ設定: GAIN 3(音が割れない上限)/ ULTRA LO 軽め(団子にならない範囲)/ ULTRA HI OFF(硬くなりすぎない)/ BASS 5/ MIDDLE 5(削らない)/ TREBLE 3(刺さらない範囲)
- 指弾き/ピック弾きでの展開の作り方: 基本は指弾きでしっとりとしたルートを刻み、サビでピックに持ち替えて音圧を足す使い分けが基本です
- 足りない機能への対処: アンプ単体はコンプの細かい調整ができないため、8分の粒立ちを均す外部コンプペダルを1台足すと通常/サビの差が安定します
⑤キーボード/シンセ音作り
- 音色カテゴリ: イントロ〜曲全体を貫くアコースティックピアノ系フレーズを主役に、サビではアナログシンセパッド系で厚みを足します。ピアノフレーズ単体でも曲だと認識できるほど独立して聴こえるかが選定の判断基準で、バンドスコアにKeyboards1・2の2パートが収録されている点も裏付けになります
- EQ方針: 250〜500Hz付近をギター・ベースと被らない範囲でわずかにカットし、ピアノの高域アタックとサビのパッド成分は残します。バンド全体で音の隙間があるかを耳で確認しながら削るのが基準です
- 空間系: BPM118から8分508ms・付点8分763ms。イントロのピアノフレーズには8分508msを薄くMixして輪郭を保ち、サビのパッドには付点8分763msで奥行きを足します
- セクションごとの運用: イントロはピアノフレーズを主役に音量を上げ、Aメロ・Bメロは伴奏に回って音量を絞り、サビはパッドで厚みを足しつつピアノのフレーズ感も残してしっとりとした質感を強調します
セクション別の組み立て
- イントロ: キーボードのピアノフレーズを主役に、ギターはリズムパッチで音量を抑えて土台を作ります
- Aメロ: ボーカルを邪魔しないようリズムパッチのゲインを絞り、ベースはピアノの動きを支える丁寧な粒立ちを優先します
- Bメロ: サビに向けディレイMixとベースの密度を少しずつ上げ、しっとりとした高揚感を作ります
- サビ: リードパッチに切り替えブースターと付点8分763msのディレイを軽く重ね、ベースはサビパッチで音圧を上げ、キーボードもパッドを前に出してしっとりとした質感を強調します
- 間奏: リードギターのフレーズとキーボードのピアノフレーズを絡ませ、ホール系リバーブで広がりを作ります
- アウトロ: 音数を減らし、ディレイとリバーブの余韻だけを残ししっとりと着地します
まとめ
- BPM118のディレイ基準値は8分508ms・付点8分763msです
- 原曲はギターパートが多重録音されていますが、ライブでは1人ギター(Nakajin)編成が基本のため、単独ギターのパッチ切り替え運用を紹介しました
- しっとりとした質感を最優先に、ギターは歪みを溜め込みすぎずピアノのフレーズを邪魔しないのがこの曲最大の判断基準です
- イントロのピアノフレーズを主役として扱うのがこの曲の判断基準の一つです
- 次回は同じSEKAI NO OWARIの他曲の音作りも解説予定です
※この設定は実機検証前のドラフトです
設定値は出発点です。数値より耳での判断基準を優先して調整してください。
試聴シミュレーター
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DELAYはこの曲のBPM(118)から計算した8分音符の値を初期反映しています。GAIN/TREBLE/MIDDLE/BASSは一般的な目安値です。曲ごとの正確な設定値・判断基準は本文の①〜④セクションを確認してください。実録音ではなくWeb Audio APIによる合成音源です(NOTICE.md参照)。