Ado「逆光」はBPM145、キーB♭マイナーのミドルテンポの楽曲です。映画『ONE PIECE FILM RED』の劇中歌として2022年に配信された曲で、作詞・作曲・編曲はギターを主体とする実在バンド出身のVaundyが手がけ、「印象的なギターの伴奏」を持つ曲として知られています。電子ギターTAB譜(パワーコード伴奏・イントロのカッティング・単音ベースリフを主体としたリードギターフレーズを収録)や弾いてみた動画が非常に豊富で、バンドスコアも流通しています。Adoのアリーナ/ドーム規模のツアーでは実在のバックバンドが生演奏を担当しており、ギターは複数のツアーで高慶卓史(CO-K)がバンドマスターを務めていることが確認できます。ベース・キーボードはツアーごとに担当者が変わるため、この記事では役割で記述します。この記事ではギターのバンドサウンドを再現するための設定値と判断基準をまとめました。 ※設定値はあくまで出発点です。数値そのものより、以降で示す耳での判断基準を優先して微調整してください。
目指す音の分解
- リズムギター: Aメロ・Bメロ・サビを通してパワーコードとカッティングで曲の骨格を作る役割。歪みはやや強めでも、コードの分離感を失わないことが理想です。
- リードギター: サビ・間奏で単音ベースリフを主体としたフレーズを彩る役割。歪みを増やすのではなく、ブーストで前に出す形で輪郭を保ちます。
- ベース: ルートを軸に8分でしっかり刻み、ミドルテンポの骨太さを支える役割。粒立ちを保ちながらサビでわずかに前に出ます。
- 歪みを溜め込みすぎず、印象的なギターサウンドの分離感を最優先に残すのがこの曲の音作りの軸です。
①ギター:マルチエフェクター設定(GT-1000CORE / MS-3 / G6 / GE系など共通)
Guitar → コンプ(軽め) → ドライブ(やや強め) → アンプモデル(クランチ〜軽い歪み)
→ ブースター(リードのみON) → ディレイ → リバーブ → Amp Out
- アンプモデル設定: GAIN 35〜40%(パワーコードの分離感が残る上限)/ TREBLE 55%(エッジを出しつつ耳に刺さらない範囲)/ MIDDLE 50%(削らない方針)/ BASS 40%(ベースと被らない上限)/ LEVELは歌を邪魔しない音量が基準
- ドライブブロック: TS系、GAIN 25〜30%、TONE 55%、LEVEL 55%。パワーコードの音がひとつの塊に潰れて聴こえ始めたらやり過ぎで、各弦の輪郭が残る範囲に留めるのが判断基準です
- ブースターブロック(リードのみ): クリーンブースト系、GAINは上げずLEVELのみ+3dB程度。歪み量を増やさず音量と輪郭だけを前に出すのが目的で、ゲインが上がったと感じたらやり過ぎです
- ディレイブロック: BPM145から算出すると、8分 = 60000÷145 ≒ 414ms、付点8分 = 414×1.5 ≒ 621ms。リズムは8分414msを薄くタップし、リードはサビ・間奏の単音フレーズで付点8分621msを軽く重ねて余韻を作ります
- リバーブ方針: ルーム系を薄めにMix 25%程度。ギターの印象的な輪郭を濁らせないよう、深すぎるホール系は避けます
- パッチ対比表: ギター1本の編成のため、セクションごとに下記パッチを切り替える運用が基本です
| 項目 | リズムパッチ | リードパッチ(サビ・間奏で切替) |
|---|---|---|
| GAIN | 37% | 40% |
| ブースター | OFF | ON |
| ディレイMix | 8分/10% | 付点8分/20% |
| リバーブMix | 25% | 30% |
②ギター:マーシャルのみの場合(JCM900 / JCM2000 / DSL系)
- アンプ設定: GAIN 4〜5(パワーコードの分離感が残る上限)/ TREBLE 6(エッジを出す範囲)/ MIDDLE 5(削らない)/ BASS 4(ベースと被らない上限)/ PRESENCE 4(耳当たりが硬くならない上限)
- ピッキング強弱での展開の作り方: Aメロ・Bメロは手元をやや絞ってタイトなカッティングにし、サビ・間奏は強めに弾き込んでフレーズの輪郭を前に出すのが基本です
- 足りない機能への対処: マーシャル単体はディレイ・リバーブが無いため、付点8分621msを再現できる空間系ペダルを1台足すと、サビ・間奏の余韻が大きく変わります
③ベース:マルチエフェクター/プロセッサー設定(GT-1000CORE / MS-3 / GT-1B系など共通)
Bass → コンプ → ドライブ/EQ(基本OFF) → アンプモデル(DI+アンプブレンド)
→ Amp/DI Out
- コンプ設定: スレッショルドは8分の粒が揃う程度、レシオ3:1前後。アタック(粒立ち)を潰さない上限がコンプの掛けすぎを判断する基準です
- アンプモデル設定: GAIN 35%(丸くなりすぎない上限)/ BASS 50%/ LOW-MID 50%(削らない方針)/ HIGH-MID 40%(ギターと被らない上限)/ TREBLE 35%(刺さらない範囲)/ LEVELは歌を邪魔しない音量が基準。DI+アンプの比率はDI7:アンプ3を起点に、指弾きのアタック感が残る範囲で耳で微調整します
- ドライブ/EQブロック(使う場合のみ): 基本OFFですが、サビでわずかに厚みを足したい時のみ軽いドライブを薄くON。低音の輪郭を失わない上限まで下げるのが判断基準です
- 通常パッチ/サビパッチの対比表
| 項目 | 通常パッチ | サビパッチ(音圧を上げる場面) |
|---|---|---|
| コンプ量 | 軽め(粒立ち優先) | やや強め(音圧優先) |
| DI:アンプ比率 | 7:3 | 6:4 |
| ドライブ | OFF | 薄くON |
| LEVEL | 基準値 | +1〜2dB程度 |
④ベース:アンプ(DI)のみの場合(Ampeg SVT系)
- アンプ設定: GAIN 3〜4(音が割れない上限)/ ULTRA LO 軽め(団子にならない範囲)/ ULTRA HI OFF(硬くなりすぎない)/ BASS 5/ MIDDLE 5(削らない)/ TREBLE 3〜4(刺さらない範囲)
- 指弾き/ピック弾きでの展開の作り方: 基本は指弾きで骨太さを出し、サビでピックに持ち替えて音圧とアタックを足す使い分けが基本です
- 足りない機能への対処: アンプ単体はコンプの細かい調整ができないため、8分の粒立ちを均す外部コンプペダルを1台足すと通常/サビの差が安定します
セクション別の組み立て
- イントロ: リズムギターのカッティングで曲の骨格を提示し、ベースは8分で安定して土台を作ります
- Aメロ: ボーカルを邪魔しないようリズムパッチのゲインを絞り、ベースはルートを軸に骨太さを支えます
- Bメロ: サビに向けディレイMixとベースの密度を少しずつ上げ、高揚感を作ります
- サビ: リードパッチに切り替えブースターと付点8分621msのディレイを軽く重ね、単音ベースリフを主体としたフレーズを前に出し、ベースはサビパッチで音圧を上げます
- 間奏: リードギターの単音フレーズをルーム系リバーブで軽く広げ、印象的な輪郭を保ったまま余韻を残します
- アウトロ: 音数を減らし、ディレイとリバーブの余韻だけを残して着地します
まとめ
- BPM145のディレイ基準値は8分414ms・付点8分621msです
- ギターは高慶卓史(CO-K)を軸としたバンドマスター編成のため、1本のパッチ切り替え運用が基本です
- パワーコードの分離感と単音ベースリフを主体としたリードフレーズを両立させるのがこの曲最大の判断基準です
- 次回は同じAdoの他曲の音作りも解説予定です
※この設定は実機検証前のドラフトです
設定値は出発点です。数値より耳での判断基準を優先して調整してください。
試聴シミュレーター
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DELAYはこの曲のBPM(145)から計算した8分音符の値を初期反映しています。GAIN/TREBLE/MIDDLE/BASSは一般的な目安値です。曲ごとの正確な設定値・判断基準は本文の①〜④セクションを確認してください。実録音ではなくWeb Audio APIによる合成音源です(NOTICE.md参照)。