Ado「ギラギラ」はBPM96、キーD(メジャー)の前向きなアップテンポ曲です。見た目のコンプレックスを乗り越えて前を向く歌詞で知られる2021年発売のデジタルシングルで、エレキギター・エレキベース・ドラム・キーボードを含むバンドスコア(TAB付き)やコード譜(U-FRET/ChordWiki)が豊富に流通しています。Adoのアリーナ/ドーム規模のツアーでは実在のバックバンドが生演奏を担当しており、ギターは複数のツアーで高慶卓史(CO-K)がバンドマスターを務めていることが確認できます。ベース・キーボードはツアーごとに担当者が変わるため、この記事では役割で記述します。この記事ではギター+キーボードのバンドサウンドを再現するための設定値と判断基準をまとめました。 ※設定値はあくまで出発点です。数値そのものより、以降で示す耳での判断基準を優先して微調整してください。
目指す音の分解
- リズムギター: Aメロ・Bメロ・サビを通してコードストローク/カッティングで曲を前向きに推進する役割。歪みは軽めに留め、粒立ちのはっきりしたエッジ感が理想です。
- リードギター: サビ・間奏でフレーズを彩る役割。歪みを増やすのではなく、ブーストで前に出す形で輪郭を保ちます。
- ベース: ルートを軸に8分でしっかり刻み、前向きなグルーヴを支える役割。粒立ちを保ちながらサビでわずかに前に出ます。
- キーボード: Aメロでコードの処理を担い、ギター・ベースが合いの手を入れる形で受け答えする役割です。イントロでは静かなシンセの刻みも確認でき、伴奏に埋もれず独立して聴こえます。
- 歪みを溜め込まず、前向きな推進力とキーボードの存在感を両立させるのがこの曲の音作りの軸です。
①ギター:マルチエフェクター設定(GT-1000CORE / MS-3 / G6 / GE系など共通)
Guitar → コンプ(軽め) → ドライブ(薄め) → アンプモデル(クリーン〜薄クランチ)
→ ブースター(リードのみON) → ディレイ → リバーブ → Amp Out
- アンプモデル設定: GAIN 25〜30%(コードの分離感が残る上限)/ TREBLE 55%(エッジを出しつつ耳に刺さらない範囲)/ MIDDLE 50%(削らない方針)/ BASS 40%(ベース・キーボードと被らない上限)/ LEVELは歌を邪魔しない音量が基準
- ドライブブロック: TS系、GAIN 15〜20%、TONE 55%、LEVEL 55%。「歪んでいる」と感じるより「エッジが立っている」と感じる程度に留めるのが判断基準で、これを超えると前向きな明るさが重く鈍ります
- ブースターブロック(リードのみ): クリーンブースト系、GAINは上げずLEVELのみ+3dB程度。歪み量を増やさず音量と輪郭だけを前に出すのが目的で、ゲインが上がったと感じたらやり過ぎです
- ディレイブロック: BPM96から算出すると、8分 = 60000÷96 = 625ms、付点8分 = 625×1.5 ≒ 938ms。リズムは8分625msを薄くタップし、リードはサビ・間奏のフレーズで付点8分938msを軽く重ねて余韻を作ります
- リバーブ方針: ルーム系を薄めにMix 25〜30%程度。前向きな推進力を濁らせないよう、深すぎるホール系は避けます
- パッチ対比表: ギター1本の編成のため、セクションごとに下記パッチを切り替える運用が基本です
| 項目 | リズムパッチ | リードパッチ(サビ・間奏で切替) |
|---|---|---|
| GAIN | 27% | 30% |
| ブースター | OFF | ON |
| ディレイMix | 8分/10% | 付点8分/20% |
| リバーブMix | 28% | 33% |
②ギター:マーシャルのみの場合(JCM900 / JCM2000 / DSL系)
- アンプ設定: GAIN 2〜3(分離感が残る上限)/ TREBLE 6(エッジを出す範囲)/ MIDDLE 5(削らない)/ BASS 4(ベース・キーボードと被らない上限)/ PRESENCE 4(耳当たりが硬くならない上限)
- ピッキング強弱での展開の作り方: Aメロ・Bメロは手元を軽く絞ってタイトに、サビ・間奏は強めに弾き込んでフレーズの輪郭を前に出すのが基本です
- 足りない機能への対処: マーシャル単体はディレイ・リバーブが無いため、付点8分938msを再現できる空間系ペダルを1台足すと、サビ・間奏の余韻が大きく変わります
③ベース:マルチエフェクター/プロセッサー設定(GT-1000CORE / MS-3 / GT-1B系など共通)
Bass → コンプ → ドライブ/EQ(基本OFF) → アンプモデル(DI+アンプブレンド)
→ Amp/DI Out
- コンプ設定: スレッショルドは8分の粒が揃う程度、レシオ3:1前後。アタック(粒立ち)を潰さない上限がコンプの掛けすぎを判断する基準です
- アンプモデル設定: GAIN 35%(丸くなりすぎない上限)/ BASS 50%/ LOW-MID 50%(削らない方針)/ HIGH-MID 40%(ギター・キーボードと被らない上限)/ TREBLE 35%(刺さらない範囲)/ LEVELは歌を邪魔しない音量が基準。DI+アンプの比率はDI7:アンプ3を起点に、指弾きのアタック感が残る範囲で耳で微調整します
- ドライブ/EQブロック(使う場合のみ): 基本OFFですが、サビでわずかに厚みを足したい時のみ軽いドライブを薄くON。低音の輪郭を失わない上限まで下げるのが判断基準です
- 通常パッチ/サビパッチの対比表
| 項目 | 通常パッチ | サビパッチ(音圧を上げる場面) |
|---|---|---|
| コンプ量 | 軽め(粒立ち優先) | やや強め(音圧優先) |
| DI:アンプ比率 | 7:3 | 6:4 |
| ドライブ | OFF | 薄くON |
| LEVEL | 基準値 | +1〜2dB程度 |
④ベース:アンプ(DI)のみの場合(Ampeg SVT系)
- アンプ設定: GAIN 3(音が割れない上限)/ ULTRA LO 軽め(団子にならない範囲)/ ULTRA HI OFF(硬くなりすぎない)/ BASS 5/ MIDDLE 5(削らない)/ TREBLE 3〜4(刺さらない範囲)
- 指弾き/ピック弾きでの展開の作り方: 基本は指弾きで前向きなグルーヴを出し、サビでピックに持ち替えて音圧を足す使い分けが基本です
- 足りない機能への対処: アンプ単体はコンプの細かい調整ができないため、8分の粒立ちを均す外部コンプペダルを1台足すと通常/サビの差が安定します
⑤キーボード/シンセ音作り
- 音色カテゴリ: アナログシンセ系(コード処理用)/エレピ系。Aメロでギター・ベースが合いの手に回り、コードの主導権をキーボードが握っているかが選定の判断基準です
- EQ方針: 250〜500Hz付近をギター・ベースと被らない範囲でわずかにカットし、コードの分離感を残します。バンド全体で音の隙間があるかを耳で確認しながら削るのが基準です
- 空間系: BPM96から8分625ms・付点8分938ms。イントロの静かなシンセの刻みには8分625msを薄くMixして輪郭を保ち、Aメロのコード処理では空間系を絞ってタイトさを優先します
- セクションごとの運用: イントロはシンセの刻みを主役に音量を上げ、Aメロはコード処理担当として前に出し、ギター・ベースの合いの手を受け止め、サビは音数を増やして曲全体の音圧に寄与します
セクション別の組み立て
- イントロ: キーボードの静かなシンセの刻みを主役に、ギターは音量を抑えて曲の展開を予感させます
- Aメロ: キーボードがコード処理を担い、ギター・ベースはそこに合いの手を入れる形で受け答えします
- Bメロ: サビに向けディレイMixとベースの密度を少しずつ上げ、高揚感を作ります
- サビ: リードパッチに切り替えブースターと付点8分938msのディレイを軽く重ね、ベースはサビパッチで音圧を上げ、キーボードも音数を増やして前向きな明るさを強調します
- 間奏: リードギターのフレーズとキーボードを絡ませ、ルーム系リバーブで余韻を残します
- アウトロ: 音数を減らし、ディレイとリバーブの余韻だけを残して前向きに着地します
まとめ
- BPM96のディレイ基準値は8分625ms・付点8分938msです
- ギターは高慶卓史(CO-K)を軸としたバンドマスター編成のため、1本のパッチ切り替え運用が基本です
- Aメロでキーボードがコードの主導権を握り、ギター・ベースが合いの手を入れる構造を活かすのがこの曲最大の判断基準です
- 次回は同じAdoの他曲の音作りも解説予定です
※この設定は実機検証前のドラフトです
設定値は出発点です。数値より耳での判断基準を優先して調整してください。
試聴シミュレーター
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DELAYはこの曲のBPM(96)から計算した8分音符の値を初期反映しています。GAIN/TREBLE/MIDDLE/BASSは一般的な目安値です。曲ごとの正確な設定値・判断基準は本文の①〜④セクションを確認してください。実録音ではなくWeb Audio APIによる合成音源です(NOTICE.md参照)。