米津玄師「アイネクライネ」は、BPM87・キーD♭メジャーの楽曲です。2014年発売のアルバム「YANKEE」収録曲かつ東京メトロのCMソングとして広く知られ、公式バンドスコアにもボーカル/コーラス/キーボード/アコースティックギター2本(半音下げ)/エレキギター2本(半音下げ)/エレキベース(半音下げ)/ドラムの編成が明記される、実在のバンド演奏を前提とした定番曲です。米津玄師のライブは中島宏士(Gt)・須藤優(Ba)を含む固定サポートメンバーによるバンド編成で行われており、この記事ではギター(中島宏士)のマルチエフェクター設定とマーシャル単体設定、ベース(須藤優)のマルチエフェクター設定とアンプ(DI)単体設定を判断基準つきでまとめました。 ※設定値はあくまで出発点です。数値そのものより、以降で示す耳での判断基準を優先して微調整してください。
目指す音の分解
- リズムギター(中島宏士): Aメロ・Bメロでアコースティック的な軽やかなカッティングを刻み、歌の言葉数の多さを邪魔しない役割。歪みは薄く、粒立ちの良さが理想です。
- リードギター(中島宏士): サビで力強いコードストロークに切り替わる役割。ギター1本の編成なので、リズムとリードの切り替わりがゲイン量とディレイの深さの差ではっきり聴き分けられることが基準になります。
- ベース(須藤優): 8分主体で曲を軽快に前へ進める役割。歌の言葉数が多い曲なので、リズムの土台としての安定感が特に求められます。
- 歌詞の言葉数が多い曲なので、ギター・ベースともに歌の邪魔をせず、かつ軽快さを支えられる音の隙間を保つのがこの曲の音作りの共通原則です。
①ギター:マルチエフェクター設定(GT-1000CORE / MS-3 / G6 / GE系など共通)
Guitar → コンプ(軽め) → ドライブ(軽め) → アンプモデル(クリーン〜クランチ)
→ ブースター(リードのみ) → ディレイ → リバーブ → Amp Out
- アンプモデル設定: GAIN 30%(カッティングの粒が潰れない上限)/ TREBLE 55%(明るさを保つ範囲)/ MIDDLE 50%(削らない方針)/ BASS 35%(ベースと被らない上限)/ LEVELは歌の言葉数を邪魔しない音量が基準
- ドライブブロック: TS系、GAIN 20%、TONE 55%、LEVEL 50%。軽やかなカッティングの粒立ちが潰れず、歌詞の聴き取りやすさを損なわない上限まで上げるのが判断基準です
- ブースターブロック(リードのみ): クリーンブースト系、GAINは軽く+LEVELを+2〜3dB程度。サビのストロークが前に出過ぎて歌を食わない範囲に収めるのが判断基準です
- ディレイブロック: BPM87から算出すると、8分 = 60000÷87 = 約689.7ms、付点8分 = 689.7×1.5 = 約1034.5ms。Aメロ・Bメロのカッティングには軽く8分689.7msを添え、サビのストロークには付点8分1034.5msで広がりを持たせます
- リバーブ方針: プレート系を浅めにMix 12%程度。歌詞の言葉数が多いパートで残響が重なりすぎていないかを耳で確認するのが基準です
- パッチ対比表: 中島宏士の単独ギター編成のため、1人で両方を担当する場合(宅録・弾いてみた等)は下記パッチをセクションごとに切り替える運用が基本です
| 項目 | リズムパッチ(Aメロ・Bメロ用) | リードパッチ(サビ用) |
|---|---|---|
| GAIN | 30% | 40% |
| ブースター | OFF | ON |
| ディレイMix | 8分/8% | 付点8分/16% |
| リバーブMix | 10% | 15% |
②ギター:マーシャルのみの場合(JCM900 / JCM2000 / DSL系)
- アンプ設定: GAIN 3(カッティングの粒が潰れない上限)/ TREBLE 6(明るさを活かす範囲)/ MIDDLE 5(削らない)/ BASS 4(ベースと被らない上限)/ PRESENCE 4(耳に刺さらない上限)
- ピッキング強弱での展開の作り方: Aメロ・Bメロはピッキングを軽めにして軽やかなカッティングを出し、サビでは弾き込みを強めて力強いストロークに切り替えるのが基本です
- 足りない機能への対処: マーシャル単体はディレイ・リバーブが無いため、付点8分1034.5msの広がりを再現できる空間系ペダルを1台足すと、サビの抜け方が大きく変わります
③ベース:マルチエフェクター/プロセッサー設定(GT-1000CORE / MS-3 / GT-1B系など共通)
Bass → コンプ → ドライブ/EQ(基本OFF) → アンプモデル(DI+アンプブレンド)
→ Amp/DI Out
- コンプ設定: スレッショルドは8分刻みの粒が軽快に揃って聴こえる程度、レシオ3:1前後。アタック(粒立ち)を潰さない上限がコンプの掛けすぎを判断する基準です
- アンプモデル設定: GAIN 40%(軽快な8分刻みでも音が痩せない上限)/ BASS 50%/ LOW-MID 45%(削らない方針)/ HIGH-MID 40%(ギターと被らない上限)/ TREBLE 30%(刺さらない範囲)/ LEVELはサビで少し音圧を足す音量が基準。DI+アンプの比率はDI6:アンプ4を起点に、軽快なアタック感が残る範囲でアンプ側の色を混ぜるのが判断基準です
- ドライブ/EQブロック(使う場合のみ): 基本OFF。サビでほんの少し厚みを足したい時のみ軽くON。低音の輪郭を失わない上限まで下げるのが判断基準です
- 通常パッチ/サビパッチの対比表
| 項目 | 通常パッチ(Aメロ・Bメロ) | サビパッチ(音圧を上げる場面) |
|---|---|---|
| コンプ量 | やや強め(粒立ち優先) | 軽め(音圧優先) |
| DI:アンプ比率 | 6:4 | 5:5 |
| ドライブ | OFF | 薄くON |
| LEVEL | 基準値 | +1〜2dB程度 |
④ベース:アンプ(DI)のみの場合(Ampeg SVT系)
- アンプ設定: GAIN 4(軽快な8分刻みで音が痩せない下限〜サビで暴れない上限)/ ULTRA LO 軽め(もたつかない範囲)/ ULTRA HI 軽め(硬くなりすぎない範囲)/ BASS 5/ MIDDLE 5(削らない)/ TREBLE 4(刺さらない範囲)
- 指弾き/ピック弾きでの展開の作り方: 曲を通して指弾きで軽快な粒立ちを保ち、サビでピック寄りの弾き方に近づけると音圧差がはっきり作れます
- 足りない機能への対処: アンプ単体はコンプの細かい調整ができないため、軽快な8分刻みの粒を均す外部コンプペダルを1台足すと安定感が増します
セクション別の組み立て
- イントロ: リズムギター(中島宏士)が軽やかなカッティングで曲の推進力を提示し、ベース(須藤優)は指弾きで土台を支えます
- Aメロ: 歌の言葉数を邪魔しないようギターの音量を絞り、ベースのコンプはやや強めにして粒立ちを揃えます
- Bメロ: サビに向けてギターのディレイを付点8分に切り替える準備をし、ベースのコンプも軽めに移行して音圧の上昇を準備します
- サビ: ギターはリードパッチに切り替えブースターと付点8分1034.5msのディレイをONにし、ベースはサビパッチで音圧を上げます
- 間奏: 中島宏士がブースターとディレイを保ったまま前に抜け、ベースは通常パッチに戻して隙間を作ります
- ラスサビ〜アウトロ: 音量・エフェクトともにこの曲で最も開放的な設定を維持しつつ、軽快さを最後まで途切れさせません
まとめ
- BPM87のディレイ基準値は8分689.7ms・付点8分1034.5msです。サビのストロークには付点8分を、Aメロ・Bメロのカッティングには8分を軽くかけるのがコツです
- 中島宏士の単独ギター編成のため、宅録・弾いてみたではリズム/リードのパッチ切り替えでセクションごとの役割を表現します
- ベースは通常パッチとサビパッチでコンプ量とDI:アンプ比率を切り替え、歌詞の言葉数が多いこの曲でも安定した土台を保ちます
- 歌の言葉数の多さを邪魔しない音の隙間を保てるかがこの曲の音作りの最大のポイントです
- 次回は同アーティストの別の代表曲の音作りも解説予定です
※この設定は実機検証前のドラフトです
設定値は出発点です。数値より耳での判断基準を優先して調整してください。
試聴シミュレーター
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DELAYはこの曲のBPM(87)から計算した8分音符の値を初期反映しています。GAIN/TREBLE/MIDDLE/BASSは一般的な目安値です。曲ごとの正確な設定値・判断基準は本文の①〜④セクションを確認してください。実録音ではなくWeb Audio APIによる合成音源です(NOTICE.md参照)。