フジファブリック「若者のすべて」はBPM124、キーD♭(半音下げチューニングでキーDの運指のまま演奏)のミドルテンポ曲です。実在の2人のギタリスト(志村正彦・山内総一郎)と、イントロのピアノフレーズが曲の顔となるキーボード(金澤ダイスケ)を含むバンド編成が原曲です。この記事ではマルチエフェクターとマーシャル単体それぞれで、2本ギター+キーボード編成の音作りをまとめました。 ※設定値はあくまで出発点です。数値より耳での判断基準を優先して微調整してください。
目指す音の分解
- リズムギター(志村): 歌いながらのアルペジオ/カッティングで曲を支える役割。歪みは薄く、歌の切なさを邪魔しない丸みが理想です。
- リードギター(山内): Aメロ・サビでフレーズを絡ませ、間奏で存在感を出す役割。輪郭ははっきりさせつつ耳に刺さらない伸びを狙います。
- ベース: ルートを軸に8分で刻み曲を支える役割。粒立ちを保ちサビでわずかに前に出ます。
- キーボード: イントロ・間奏のピアノフレーズ(オクターブの単音)が曲の顔になる役割です。ギターと帯域が被らない硬めの粒立ちが理想です。
- 強く歪ませず、歌とピアノフレーズの輪郭・切なさを最優先に残すのがこの曲の音作りの軸です。
① ギター:マルチエフェクター設定(GT-1000CORE / MS-3 / G6 / GE系など共通)
Guitar → コンプ(軽め) → ドライブ(薄め) → アンプモデル(クリーン〜薄クランチ)
→ ブースター(リードのみON) → ディレイ → リバーブ → Amp Out
- アンプモデル設定: GAIN 20〜25%(コードの輪郭が潰れない上限)/ TREBLE 55%(刺さらない上限)/ MIDDLE 55〜60%(削らない方針)/ BASS 45%(ベース・キーボードと喧嘩しない上限)/ LEVELは歌を邪魔しない音量が基準
- ドライブブロック: TS系、GAIN 15〜20%、TONE 50%、LEVEL 50%。アルペジオの一音一音が団子にならない上限まで下げるのが判断基準です
- ブースターブロック(リードのみ): クリーンブースト系、GAINは上げずLEVELのみ+3dB程度。フレーズだけを前に出し、歪み感が変わったらやり過ぎです
- ディレイブロック: BPM124から、8分 = 60000÷124 ≒ 484ms、付点8分 = 60000÷124×1.5 ≒ 726ms。リズムは8分484msを薄くタップ、リードは付点8分726msでフレーズに広がりを出します
- リバーブ方針: ホール系を薄めにMix 20%程度。リード時は30%前後まで上げ、切なさを強める奥行きを足します
- パッチ対比表: 2人ギターのバンドならギター1(志村=リズム)・ギター2(山内=リード)が役割固定のまま同時運用、1人録音なら下記パッチをセクションごとに切り替えます
| 項目 | リズムパッチ(ギター1/志村用) | リードパッチ(ギター2/山内用) |
|---|---|---|
| GAIN | 20% | 25% |
| ブースター | OFF | ON |
| ディレイMix | 8分/10% | 付点8分/25% |
| リバーブMix | 20% | 30% |
② ギター:マーシャルのみの場合(JCM900 / JCM2000 / DSL系)
- アンプ設定: GAIN 3(輪郭が潰れない上限)/ TREBLE 5〜6(刺さらない範囲)/ MIDDLE 5〜6(削らない)/ BASS 4(ベース・キーボードと被らない上限)/ PRESENCE 4(耳当たりが硬くならない上限)
- ピッキング強弱での展開: Aメロ・Bメロは手元を絞って歌を邪魔せず、サビ・間奏はやや強めに弾き込み倍音を足すのが基本です(2人編成なら志村=終始弱め、山内=サビ・間奏で強め)
- 足りない機能への対処: マーシャル単体はディレイ・リバーブが無いため、付点8分726msを再現できる空間系ペダルを1台足すと間奏の伸びが変わります
③ ベース:マルチエフェクター/プロセッサー設定(GT-1000CORE / MS-3 / GT-1B系など共通)
Bass → コンプ → ドライブ/EQ(基本OFF) → アンプモデル(DI+アンプブレンド)
→ Amp/DI Out
- コンプ設定: スレッショルドは指弾きのニュアンス差を潰さない程度、レシオ3:1前後。アタック(粒立ち)を潰さない上限がコンプの掛けすぎを判断する基準です
- アンプモデル設定: GAIN 35%(丸くなりすぎない上限)/ BASS 50%/ LOW-MID 50%(削らない方針)/ HIGH-MID 40%(ギター・キーボードと被らない上限)/ TREBLE 35%(刺さらない範囲)/ LEVELは歌を邪魔しない音量が基準。DI+アンプの比率はDI7:アンプ3を起点に、指弾きのアタック感が残る範囲で耳で微調整します
- ドライブ/EQブロック(使う場合のみ): 基本OFFですが、サビでわずかに厚みを足したい時のみ軽いドライブを薄くON。低音の輪郭を失わない上限まで下げるのが判断基準です
- 通常パッチ/サビパッチの対比表
| 項目 | 通常パッチ | サビパッチ(音圧を上げる場面) |
|---|---|---|
| コンプ量 | 軽め(粒立ち優先) | やや強め(音圧優先) |
| DI:アンプ比率 | 7:3 | 6:4 |
| ドライブ | OFF | 薄くON |
| LEVEL | 基準値 | +1〜2dB程度 |
④ ベース:アンプ(DI)のみの場合(Ampeg SVT系)
- アンプ設定: GAIN 3(音が割れない上限)/ ULTRA LO 軽め(団子にならない範囲)/ ULTRA HI OFF(硬くなりすぎない)/ BASS 5/ MIDDLE 5(削らない)/ TREBLE 3〜4(刺さらない範囲)
- 指弾き/ピック弾きでの展開: 基本は指弾きで丸く。サビのみ軽くピックに持ち替えてアタックを足す程度に留めます
- 足りない機能への対処: アンプ単体はコンプの細かい調整ができないため、指弾きの粒立ちを均す外部コンプペダルを1台足すと通常/サビの差が安定します
⑤ キーボード/シンセ音作り
- 音色カテゴリ: エレピ/生ピアノ系。イントロのオクターブ単音フレーズが伴奏に埋もれず単独で聴こえるかが選定の判断基準です
- EQ方針: 250〜400Hz付近をギター・ベースと被らない範囲でわずかにカット。バンド全体で音の隙間があるかを耳で確認しながら削るのが基準です
- 空間系: BPM124から8分484ms・付点8分726ms。イントロ・間奏のフレーズには付点8分726msを薄くMixし、伴奏部分はディレイを絞ってコード感を優先します
- セクションごとの運用: イントロ・間奏はピアノフレーズを主役に音量を上げ、Aメロ・Bメロは伴奏に徹して絞り、サビはギターと歌の隙間を埋める程度に留めます
セクション別の組み立て
- イントロ: キーボードのオクターブピアノフレーズを主役に、ギターはリズムパッチで音量を抑えます
- Aメロ/Bメロ: ギター(志村)は歌伴奏のアルペジオ中心、キーボードは伴奏に回り、ベースはサビに向け少しずつ動きを増やします
- サビ: ギターはリードパッチ(山内)に切り替えブースターとディレイ(付点8分726ms)をON、ベースはサビパッチ、キーボードは歌の隙間を埋める程度に音量調整します
- 間奏: キーボードのピアノフレーズを再び主役に戻し、リードギターとユニゾン気味に絡めます
- アウトロ: 音数を減らしリバーブとピアノの余韻だけを残して着地します
まとめ
- BPM124のディレイ基準値は8分484ms・付点8分726msです
- 2人ギター編成なら志村=リズム/山内=リードの役割固定、1人録音ならパッチ切り替えで対応します
- キーボードのオクターブピアノフレーズを主役として扱うのがこの曲最大の判断基準です
- 次回は次バッチ候補曲の音作りも解説予定です
※この設定は実機検証前のドラフトです
設定値は出発点です。数値より耳での判断基準を優先して調整してください。