Mr.Children「Tomorrow never knows」は、BPM109・キーCメジャー(ラストサビのみ+2半音でDメジャーへ転調)の疾走感あるミディアムアップの代表曲です。シングル版はドラム・ベースが打ち込み主体でしたが、1997年発表のリメイク版でライブ生演奏に差し替えられ、以降はバンド編成での定番曲として定着しています。原曲は桜井和寿(Vo/Gt)と田原健一(Gt)の2人ギター編成が基本で、この記事では2人ギターのバンド運用・1人での宅録運用の両方に対応した設定を解説します。 ※設定値はあくまで出発点です。数値そのものより、以降で示す耳での判断基準を優先して微調整してください。
目指す音の分解
- リズムギター(桜井): イントロから曲を通してコードカッティングで推進力を作る役割。歌を邪魔しない軽めのクランチで、転調後のラストサビでも音の輪郭を保ちます。
- リードギター(田原): イントロの印象的なフレーズと間奏・サビでのオブリガードを担う役割。音数を絞りつつ伸びのある音色で疾走感を後押しします。
- ベース: 8分主体で刻み続け、曲全体の推進力の土台を作る役割。ロングトーンよりも粒立ちの均一さが重要です。
- 歪みを飽和させすぎず、カッティングのアタックが常にはっきり聴こえる範囲でスピード感を作るのがこの曲の音作りの軸です。
① ギター:マルチエフェクター設定(GT-1000CORE / MS-3 / G6 / GE系など共通)
Guitar → コンプ(軽め) → ドライブ(常時薄くON) → アンプモデル(クランチ)
→ ブースター(リードのみ) → ディレイ → リバーブ → Amp Out
- アンプモデル設定: GAIN 40〜45%(カッティングの粒が潰れない上限)/ TREBLE 55%(歌声の帯域を邪魔しない範囲)/ MIDDLE 55%(削らない方針)/ BASS 40%(ベースの低域と被らない上限)/ LEVELは歌を邪魔しない音量が基準
- ドライブブロック: TS系、GAIN 25〜30%、TONE 50%、LEVEL 55%。曲を通して薄くONにしても、カッティングの1音1音の輪郭が団子にならない範囲に収めるのが判断基準です
- ブースターブロック(リードのみ): クリーンブースト系、GAINは上げずLEVELのみ+3dB程度。イントロ・間奏のフレーズが歌より前に出過ぎない範囲に収めるのが判断基準です
- ディレイブロック: BPM109から算出すると、8分 = 60000÷109 ≒ 550.5ms、付点8分 = 550.5×1.5 ≒ 825.7ms。イントロのフレーズには付点8分825.7msを軽めに重ねて広がりを出し、サビのカッティングには8分550.5msを薄くタップして疾走感を損なわないようにします
- リバーブ方針: ルーム系を浅めにMix 20〜25%程度。テンポの速さを活かすため、残響でカッティングの粒立ちがぼやけ始めたら深すぎるサインです
- パッチ対比表: バンドで2人ギターがいる場合はギター1(桜井=リズム)・ギター2(田原=リード)が役割固定のまま同時運用します。1人で両方を担当する場合(宅録・弾いてみた等)は、下記パッチをセクションごとに切り替えます
| 項目 | リズムパッチ(ギター1/桜井用) | リードパッチ(ギター2/田原用) |
|---|---|---|
| GAIN | 40% | 45% |
| ブースター | OFF | ON |
| ディレイMix | 8分/15% | 付点8分/25% |
| リバーブMix | 20% | 25% |
② ギター:マーシャルのみの場合(JCM900 / JCM2000 / DSL系)
- アンプ設定: GAIN 4(カッティングの粒が潰れない上限)/ TREBLE 5〜6(歌の帯域を邪魔しない範囲)/ MIDDLE 6(削らない)/ BASS 4(ベースと被らない上限)/ PRESENCE 4(耳当たりが硬くならない上限)
- ピッキング強弱での展開の作り方: 曲を通して手元は一定の強さでカッティングし、サビとラストサビの転調部分だけピッキングを気持ち強めにして音圧の高まりを表現するのが基本です(2人編成なら桜井=終始リズム、田原=イントロ・間奏で前に出るイメージ)
- 足りない機能への対処: マーシャル単体はディレイ・リバーブが無いため、付点8分825.7msの空間を再現できる空間系ペダルを1台足すと、イントロのフレーズの広がりが大きく変わります
③ ベース:マルチエフェクター/プロセッサー設定(GT-1000CORE / MS-3 / GT-1B系など共通)
Bass → コンプ → ドライブ/EQ(サビのみ薄くON) → アンプモデル(DI+アンプブレンド)
→ Amp/DI Out
- コンプ設定: スレッショルドは8分の刻みが均一に聴こえる程度、レシオ4:1前後。指弾きのアタック(粒立ち)を潰さない上限がコンプの掛けすぎを判断する基準です
- アンプモデル設定: GAIN 40%(輪郭が丸くなりすぎない上限)/ BASS 50%/ LOW-MID 50%(削らない方針)/ HIGH-MID 45%(ギターと被らない上限)/ TREBLE 35%(刺さらない範囲)/ LEVELは歌を邪魔しない音量が基準。DI+アンプの比率はDI6:アンプ4を起点に、指弾きのアタック感が残る範囲でアンプ側の色を混ぜるのが判断基準です
- ドライブ/EQブロック(使う場合のみ): 基本OFFですが、サビでわずかに厚みを足したい時のみ軽いドライブを薄くON。低音の輪郭を失わない上限まで下げるのが判断基準です
- 通常パッチ/サビパッチの対比表
| 項目 | 通常パッチ | サビパッチ(音圧を上げる場面) |
|---|---|---|
| コンプ量 | やや強め(粒立ち優先) | 強め(音圧優先) |
| DI:アンプ比率 | 6:4 | 5:5 |
| ドライブ | OFF | 薄くON |
| LEVEL | 基準値 | +1〜2dB程度 |
④ ベース:アンプ(DI)のみの場合(Ampeg SVT系)
- アンプ設定: GAIN 3〜4(音が割れない上限)/ ULTRA LO 軽め(団子にならない範囲)/ ULTRA HI OFF(硬くなりすぎない)/ BASS 5/ MIDDLE 5(削らない)/ TREBLE 4(刺さらない範囲)
- 指弾き/ピック弾きでの展開の作り方: 曲全体は指弾きで8分の粒を均一に保ち、ラストサビの転調部分だけピック弾きに持ち替えてアタックと音圧を足すと通常/サビの差が作りやすくなります
- 足りない機能への対処: アンプ単体はコンプの細かい調整ができないため、8分刻みの粒立ちを均す外部コンプペダルを1台足すと音の均一さが安定します
セクション別の組み立て
- イントロ: リードギター(田原)のフレーズを主役に付点8分825.7msのディレイを軽めにかけ、リズムギターとベースは音量を抑えて推進力の土台だけを作ります
- Aメロ: 歌を邪魔しないようリズムパッチのゲインは保ったまま音量を絞り、ベースは通常パッチで8分の粒を均一に刻みます
- Bメロ: サビに向けディレイMixを少しずつ深くし、ベースのコンプもやや強めに移行して展開の高まりを演出します
- サビ: リードパッチに切り替えブースターとドライブを薄く重ね、ベースはサビパッチで音圧を上げます
- ラストサビ(+2半音でDメジャーへ転調): 音量・ゲイン設定は変えず、ピッキングの強さだけをわずかに上げて高揚感を出すのが判断基準です
- アウトロ: 音数を減らし、ディレイとリバーブの余韻だけを残して着地します
まとめ
- BPM109のディレイ基準値は8分550.5ms・付点8分825.7msです
- 2人ギター編成なら桜井=リズム/田原=リードの役割固定、1人録音ならパッチ切り替えで対応します
- 「歪みを飽和させすぎず、カッティングのアタックを常にはっきり聴かせる」がこの曲の音作りの核心です
- ベースは8分の粒立ちを保ちながら、サビとラストサビの転調部分で音圧を持ち上げることが判断基準の軸になります
- 次回は同アーティストの別の代表曲の音作りも解説予定です
※この設定は実機検証前のドラフトです
設定値は出発点です。数値より耳での判断基準を優先して調整してください。