ONE OK ROCK「The Beginning」はBPM182(一部データベースでは184表記)、キーCメジャーの、劇場版「るろうに剣心」主題歌として国民的知名度を誇る代表曲です。バンドスコア(ボーカル・キーボード・エレキギター・ベース・ドラムス編成、複数出版社から現行流通)に加え、キーボードパート単体の楽譜や生ピアノソロ譜まで別売りされるほどキーボードパートの独立性が高く、ギターTAB解説動画も非常に豊富です。ギターはToruの単一プレイヤー編成のため、この記事ではギター・ベースに加えて、イントロのピアノ/シンセフレーズを担うキーボードの設定値もまとめました。 ※設定値はあくまで出発点です。数値そのものより、以降で示す耳での判断基準を優先して微調整してください。
目指す音の分解
- リズムギター: イントロ・Aメロを支える重めのパワーコード/ミュート主体のリフを刻む役割。歪みの輪郭をはっきり残し、走らないタイトさが理想です。
- リードギター: サビ・間奏で伸びのあるフレーズを重ねる役割。ピアノ/シンセと帯域が被らない伸びを狙います。
- ベース: リズムギターのリフに一切崩れず食らいつく役割。サビでは音圧を上げつつも粒立ちを保ちます。
- キーボード: イントロで印象的なピアノ/シンセフレーズを奏でる、曲の顔となる役割です。ギターの歪みに埋もれない硬めの粒立ちが理想です。
- 重めのギターリフを主役にしつつ、イントロのピアノ/シンセフレーズが埋もれないよう帯域を整理するのがこの曲の音作りの軸です。
① ギター:マルチエフェクター設定(GT-1000CORE / MS-3 / G6 / GE系など共通)
Guitar → コンプ(軽め) → ドライブ(中程度) → アンプモデル(クランチ〜歪み)
→ ブースター(リードのみON) → ディレイ → リバーブ → Amp Out
- アンプモデル設定: GAIN 45〜50%(ミュート主体のリフでも団子にならない上限)/ TREBLE 55%(ピアノ/シンセと刺さり合わない範囲)/ MIDDLE 50%(削らない方針)/ BASS 40%(ベース・キーボードの低域と被らない上限)/ LEVELは歌を邪魔しない音量が基準
- ドライブブロック: TS系、GAIN 30〜35%、TONE 55%、LEVEL 55%。ミュート部分の粒立ちが潰れない上限まで下げるのが判断基準で、これを超えるとリフの輪郭がぼやけます
- ブースターブロック(リードのみ): クリーンブースト系、GAINは上げずLEVELのみ+3〜4dB程度。サビ・間奏のフレーズだけを前に出し、歪み量が増えたと感じたらやり過ぎです
- ディレイブロック: BPM182から算出すると、8分 = 60000÷182 ≒ 330ms、付点8分 = 330×1.5 ≒ 495ms。リズムは8分330msを薄くタップし、リードは付点8分495msでフレーズに広がりを出します
- リバーブ方針: ルーム系を薄めにMix 20%程度。リード時のみ25〜30%まで上げ、間奏の奥行きを足します
- パッチ対比表: ギターは単一プレイヤー編成のため、セクションごとに下記パッチを切り替えます
| 項目 | リズムパッチ | リードパッチ |
|---|---|---|
| GAIN | 45% | 50% |
| ブースター | OFF | ON |
| ディレイMix | 8分/10% | 付点8分/20% |
| リバーブMix | 20% | 28% |
② ギター:マーシャルのみの場合(JCM900 / JCM2000 / DSL系)
- アンプ設定: GAIN 5(ミュート部分の粒立ちが潰れない上限)/ TREBLE 6(ピアノ/シンセと刺さり合わない範囲)/ MIDDLE 5(削らない)/ BASS 4(ベース・キーボードと被らない上限)/ PRESENCE 5(耳当たりが硬くならない上限)
- ピッキング強弱での展開の作り方: イントロ・Aメロは手元を絞ってタイトに刻み、サビ・間奏は強めに弾き込んでフレーズの輪郭を前に出すのが基本です
- 足りない機能への対処: マーシャル単体はディレイ・リバーブが無いため、付点8分495msを再現できる空間系ペダルを1台足すと、サビ・間奏の広がりが大きく変わります
③ ベース:マルチエフェクター/プロセッサー設定(GT-1000CORE / MS-3 / GT-1B系など共通)
Bass → コンプ → ドライブ/EQ(基本OFF) → アンプモデル(DI+アンプブレンド)
→ Amp/DI Out
- コンプ設定: スレッショルドはミュート主体のリフでも粒が揃う程度、レシオ3:1前後。アタック(粒立ち)を潰さない上限がコンプの掛けすぎを判断する基準です
- アンプモデル設定: GAIN 35%(丸くなりすぎない上限)/ BASS 50%/ LOW-MID 50%(削らない方針)/ HIGH-MID 40%(ギター・キーボードと被らない上限)/ TREBLE 35%(刺さらない範囲)/ LEVELは歌を邪魔しない音量が基準。DI+アンプの比率はDI7:アンプ3を起点に、リフのアタック感が残る範囲で耳で微調整します
- ドライブ/EQブロック(使う場合のみ): 基本OFFですが、サビでわずかに厚みを足したい時のみ軽いドライブを薄くON。低音の輪郭を失わない上限まで下げるのが判断基準です
- 通常パッチ/サビパッチの対比表
| 項目 | 通常パッチ | サビパッチ(音圧を上げる場面) |
|---|---|---|
| コンプ量 | 軽め(粒立ち優先) | やや強め(音圧優先) |
| DI:アンプ比率 | 7:3 | 6:4 |
| ドライブ | OFF | 薄くON |
| LEVEL | 基準値 | +1〜2dB程度 |
④ ベース:アンプ(DI)のみの場合(Ampeg SVT系)
- アンプ設定: GAIN 3(音が割れない上限)/ ULTRA LO 軽め(団子にならない範囲)/ ULTRA HI OFF(硬くなりすぎない)/ BASS 5〜6/ MIDDLE 5(削らない)/ TREBLE 3〜4(刺さらない範囲)
- 指弾き/ピック弾きでの展開の作り方: イントロ・Aメロは指弾きでリフの輪郭を丸く支え、サビはピックに持ち替えてアタックと音圧を足すと展開の差が作りやすくなります
- 足りない機能への対処: アンプ単体はコンプの細かい調整ができないため、リフの粒立ちを均す外部コンプペダルを1台足すと通常/サビの差が安定します
⑤ キーボード/シンセ音作り
- 音色カテゴリ: 生ピアノ/エレピ系とアナログシンセパッド系の併用。イントロのフレーズが伴奏に埋もれず単独で聴こえるかが選定の判断基準です(キーボードパート単体の楽譜が別売りされるほど独立性の高いフレーズとして知られています)
- EQ方針: 250〜500Hz付近をギター・ベースと被らない範囲でわずかにカット。バンド全体で音の隙間があるかを耳で確認しながら削るのが基準です
- 空間系: BPM182から8分330ms・付点8分495ms。イントロのピアノフレーズには付点8分495msのディレイを軽くかけて余韻を出し、Aメロ以降の伴奏部分はディレイを絞ってリフとの帯域の衝突を避けます
- セクションごとの運用: イントロはピアノ/シンセフレーズを主役に音量を上げ、Aメロ・Bメロは伴奏として音量を絞り、サビ・間奏はギターリフの隙間を埋める程度に留めます
セクション別の組み立て
- イントロ: キーボードのピアノ/シンセフレーズを主役に、ギターはリズムパッチで音量を抑えて土台を作ります
- Aメロ・Bメロ: ギターはリズムパッチでミュート主体のリフを刻み、キーボードは伴奏に回り、ベースはリフに崩れず食らいつきます
- サビ: ギターはリードパッチに切り替えブースターと付点8分495msのディレイをONにし、ベースはサビパッチで音圧を上げ、キーボードは歌とギターの隙間を埋める程度に音量調整します
- 間奏: ギターのリードフレーズを主役に、キーボードは短いオブリガードを添える程度に留めます
- アウトロ: 音数を減らし、リバーブとピアノの余韻だけを残して着地します
まとめ
- BPM182のディレイ基準値は8分330ms・付点8分495msです(一部データベースの184表記でも大きくは変わりません)
- ギターはToruの単一プレイヤー編成前提で、リズム/リードのパッチ切り替えで対応します
- イントロのピアノ/シンセフレーズを主役として扱い、ギターの歪みで埋もれさせないのがこの曲最大の判断基準です
- 重めのギターリフでもベースの粒立ちを崩さないことが判断基準の軸になります
- 次回は同じONE OK ROCKの他曲の音作りも解説予定です
※この設定は実機検証前のドラフトです
設定値は出発点です。数値より耳での判断基準を優先して調整してください。