Mr.Children「Sign」は、BPM105・キーEマイナーの2004年発売曲で、TBS系ドラマ「オレンジデイズ」の主題歌として知られています。バンドスコアが複数出版社から現行流通し、ギター・ベース・ドラムそれぞれの完コピ譜や弾いてみた動画も実在するなど、バンドアレンジ版の音作り情報が豊富な定番曲です。原曲は桜井和寿(Vo/Gt)と田原健一(Gt)の2人ギター編成が基本で、加えてイントロから曲の顔となるピアノフレーズが鳴るため、この記事ではギター・ベースに加えてキーボード(ピアノ)の設定値もまとめました。 ※設定値はあくまで出発点です。数値そのものより、以降で示す耳での判断基準を優先して微調整してください。
目指す音の分解
- リズムギター(桜井): Aメロ・Bメロでコード感を支えるカッティング・ストロークを担う役割。歪みは薄めに抑え、ピアノとボーカルの輪郭を邪魔しない土台感が理想です。
- リードギター(田原): サビ・間奏で存在感のあるフレーズを重ねる役割。ミディアムテンポの曲なので音数を詰め込みすぎず、余白を活かした伸びが基準になります。
- ベース(中川敬輔): 8分主体で曲を前に推進するリズムの土台を担う役割。粒立ちの良さとタイトさが、ミディアムロックらしい推進力を生みます。
- キーボード/ピアノ: イントロから鳴り続ける、曲の顔となるピアノフレーズを担う役割。ギター・ボーカルと帯域が被らない、芯のある柔らかい音色が理想です。
- ピアノのフレーズを軸に、ギターは前に出過ぎず余白を残してミディアムテンポの推進力を支えるのがこの曲の音作りの軸です。
① ギター:マルチエフェクター設定(GT-1000CORE / MS-3 / G6 / GE系など共通)
Guitar → コンプ(軽め) → ドライブ(薄め) → アンプモデル(クランチ)
→ ブースター(リードのみ) → ディレイ → リバーブ → Amp Out
- アンプモデル設定: GAIN 30〜35%(カッティングの粒立ちが潰れない上限)/ TREBLE 55%(ピアノの高域と刺さり合わない上限)/ MIDDLE 55%(削らない方針)/ BASS 40%(ベース・ピアノの低域と被らない上限)/ LEVELはピアノとボーカルを邪魔しない音量が基準
- ドライブブロック: TS系、GAIN 20〜25%、TONE 55%、LEVEL 55%。コードの輪郭が濁らず、カッティングの粒立ちが残る上限まで下げるのが判断基準です
- ブースターブロック(リードのみ): クリーンブースト系、GAINは上げずLEVELのみ+2〜3dB程度。サビ・間奏のフレーズが前に出過ぎてピアノやボーカルを食わない範囲に収めるのが判断基準です
- ディレイブロック: BPM105から算出すると、8分 = 60000÷105 ≒ 571.4ms、付点8分 = 571.4×1.5 ≒ 857.1ms。リズムは8分571.4msを薄くタップし、リードは付点8分857.1msで間奏のフレーズに広がりを持たせます
- リバーブ方針: ルーム〜ホール系をMix 15〜20%程度。ミディアムテンポなので、残響でカッティングのタイム感がぼやけ始めたら深すぎるサインです
- パッチ対比表: バンドで2人ギターがいる場合はギター1(桜井=リズム)・ギター2(田原=リード)が役割固定のまま同時運用します。1人で両方を担当する場合(宅録・弾いてみた等)は、下記パッチをセクションごとに切り替えます
| 項目 | リズムパッチ(ギター1/桜井用) | リードパッチ(ギター2/田原用) |
|---|---|---|
| GAIN | 30% | 35% |
| ブースター | OFF | ON |
| ディレイMix | 8分/12% | 付点8分/20% |
| リバーブMix | 15% | 20% |
② ギター:マーシャルのみの場合(JCM900 / JCM2000 / DSL系)
- アンプ設定: GAIN 4(カッティングの粒立ちが潰れない上限)/ TREBLE 5〜6(ピアノと刺さり合わない範囲)/ MIDDLE 6(削らない)/ BASS 4(ベース・ピアノと被らない上限)/ PRESENCE 4(耳当たりが硬くならない上限)
- ピッキング強弱での展開の作り方: Aメロ・Bメロは手元を軽く絞ってカッティングを弾き、サビ・間奏にかけて弾き込みを強めてリードフレーズの存在感を出すのが基本です(2人編成なら桜井=終始リズム、田原=サビ・間奏で前に出るイメージ)
- 足りない機能への対処: マーシャル単体はディレイ・リバーブが無いため、付点8分857.1msの空間を再現できる空間系ペダルを1台足すと、間奏フレーズの広がりが大きく変わります
③ ベース:マルチエフェクター/プロセッサー設定(GT-1000CORE / MS-3 / GT-1B系など共通)
Bass → コンプ → ドライブ/EQ(基本OFF) → アンプモデル(DI+アンプブレンド)
→ Amp/DI Out
- コンプ設定: スレッショルドは8分の粒が揃って聴こえる程度、レシオ3:1〜4:1前後。アタック(粒立ち)を潰さず推進力を残す上限がコンプの掛けすぎを判断する基準です
- アンプモデル設定: GAIN 35〜40%(丸くなりすぎない上限)/ BASS 50%/ LOW-MID 50%(削らない方針)/ HIGH-MID 45%(ギター・ピアノと被らない上限)/ TREBLE 35%(刺さらない範囲)/ LEVELはピアノとボーカルを邪魔しない音量が基準。DI+アンプの比率はDI6:アンプ4を起点に、アタック感が残る範囲でアンプ側の色を混ぜるのが判断基準です
- ドライブ/EQブロック(使う場合のみ): 基本OFFですが、サビでわずかに厚みを足したい時のみ軽いドライブを薄くON。低音の輪郭を失わない上限まで下げるのが判断基準です
- 通常パッチ/サビパッチの対比表
| 項目 | 通常パッチ | サビパッチ(音圧を上げる場面) |
|---|---|---|
| コンプ量 | 軽め(粒立ち優先) | やや強め(音圧優先) |
| DI:アンプ比率 | 6:4 | 5:5 |
| ドライブ | OFF | 薄くON |
| LEVEL | 基準値 | +1〜2dB程度 |
④ ベース:アンプ(DI)のみの場合(Ampeg SVT系)
- アンプ設定: GAIN 3〜4(音が割れない上限)/ ULTRA LO 軽め(団子にならない範囲)/ ULTRA HI 軽め(輪郭を足す程度)/ BASS 5/ MIDDLE 5(削らない)/ TREBLE 4(刺さらない範囲)
- 指弾き/ピック弾きでの展開の作り方: 曲全体を指弾きで8分の推進力を出しつつ、サビだけピックに持ち替えてアタックを足すと通常/サビの差が作りやすくなります
- 足りない機能への対処: アンプ単体はコンプの細かい調整ができないため、8分の粒立ちを均す外部コンプペダルを1台足すと音の安定感が増します
⑤ キーボード/シンセ音作り
- 音色カテゴリ: 生ピアノ系(アコースティックピアノ)。イントロから鳴り続け、伴奏に埋もれず曲の顔として独立して聴こえるかが選定の判断基準です(このピアノフレーズ単体を弾くためのピアノソロ楽譜が別途出版されているほか、本来ピアノが弾くイントロメロディーをギターで再現する専用アレンジ譜も存在するほど独立性の高いフレーズです)。本曲がリリースされた2004年前後のMr.Childrenは、プロデューサーの小林武史がキーボード編曲・演奏を全面的に担う体制で制作を行っていた時期にあたります。本セクションの数値は、その時期の音作りをバンド編成で再現するための設定として捉えてください(現在のライブでどの奏者が鍵盤パートを担当するかはツアーごとに変わり得るため、ここでは断定しません)
- EQ方針: 300〜500Hz付近をギター・ベースと被らない範囲でわずかにカット。バンド全体で音の隙間があるかを耳で確認しながら削るのが基準です
- 空間系: BPM105から8分571.4ms・付点8分857.1ms。曲を通して鳴り続けるフレーズには付点8分857.1msを薄くMixして奥行きを足し、歌が入るAメロ・Bメロではディレイを絞ってコード感と歌詞の聴き取りやすさを優先します
- セクションごとの運用: イントロはピアノフレーズを主役に音量を上げ、Aメロ・Bメロは歌の伴奏に回って音量を絞り、サビ・間奏では再びフレーズを前に出して曲の顔を強調します。ミディアムテンポの推進力を止めないよう、リバーブは深くしすぎずタイト目に保つのも効果的です
セクション別の組み立て
- イントロ: キーボードのピアノフレーズを主役に、ギターはリズムパッチで音量を抑えて土台だけを作ります
- Aメロ: 歌とピアノを邪魔しないようリズムギターは音量を絞り、ベースは8分の粒立ちで推進力を保ちます
- Bメロ: サビに向けディレイMixとリバーブを少しずつ深くし、ベースのコンプもやや強めに移行して展開の高まりを演出します
- サビ: ギターはリードパッチに切り替えブースターと付点8分857.1msのディレイをONにし、ベースはサビパッチで音圧を上げ、キーボードはフレーズを前に出して曲の顔を強調します
- 間奏: リードギター(田原)とキーボードのフレーズを対等に鳴らし、互いの余白を潰さないよう音量バランスを耳で確認します
- 後半〜アウトロ: リバーブをやや深めにして広がりを増しつつ、音数を減らしてピアノとディレイの余韻を残して着地します
まとめ
- BPM105のディレイ基準値は8分571.4ms・付点8分857.1msです
- 2人ギター編成なら桜井=リズム/田原=リードの役割固定、1人録音ならパッチ切り替えで対応します
- ピアノフレーズを軸に据え、ギターは前に出過ぎず余白を残すのがこの曲最大の判断基準です
- キーボードは2000年代半ばの制作体制の音作りをバンド編成で再現する前提で設定を組むのが実践的です
- 次回は同アーティストの別の代表曲の音作りも解説予定です
※この設定は実機検証前のドラフトです
設定値は出発点です。数値より耳での判断基準を優先して調整してください。