サカナクション「新宝島」はイントロがフリーテンポ、本編はBPM158、キーは変ロ長調(ト短調寄りの響きも混じる)のダンスロックナンバーです。原曲は5人編成バンドの楽曲で、弾いてみた動画やキーボードのみのカバー動画も多数あります。この記事では2人ギター・1人編成の両方に対応した設定値と判断基準をまとめました。 ※設定値は出発点です。数値より耳での判断基準を優先して微調整してください。
目指す音の分解
- リズムギター: 16分カッティングでダンスビートを刻む役割。歪みは薄くクリーン〜クランチ寄りの軽い質感が理想です。
- リードギター: サビ・間奏のフレーズで彩りを添える役割。輪郭を保ちつつシンセと喧嘩しない伸びを狙います。
- ベース: 16分ミュートを効かせたグルーヴでダンス感を支える役割。粒立ちを保ちサビで音圧を増します。
- キーボード/シンセ: レトロなアナログシンセのフレーズ・パッドが曲の色を決める役割。イントロ・間奏では主役級に前へ出ます。
- 2人ギターの場合: 原曲どおりギター1(山口一郎)がリズム、ギター2(岩寺基晴)がリードの役割固定で2本を同時に鳴らします。
- 1人で担当する場合: セクションごとにリズム/リードのパッチを切り替え同じ分解を再現します。
- 歪みを薄く保ちシンセの帯域を空ける ― この曲の音作り全体を貫く基本方針です。
① ギター:マルチエフェクター設定(GT-1000CORE / MS-3 / G6 / GE系など共通)
Guitar → コンプ(軽め) → ドライブ(薄め) → アンプモデル(クリーン〜クランチ系)
→ ブースター(リードのみON) → ディレイ → リバーブ → Amp Out
- アンプモデル設定: GAIN 30〜35%(16分の粒が潰れない上限)/ TREBLE 55〜60%(シンセの高域と喧嘩しない範囲)/ MIDDLE 55%(削らない方針)/ BASS 40%(ベースと被らない上限)/ LEVEL はバンド内で埋もれない音量が基準
- ドライブブロック: TS系、GAIN 15〜20%、TONE 50%、LEVEL 45%。クリーンな質感を保ち、シンセの存在感を邪魔しない上限まで下げるのが判断基準です
- ブースターブロック(リードのみ): クリーンブースト系、GAINは上げずLEVELのみ+3dB。フレーズだけを前に出し、歪みが増えたらやり過ぎです
- ディレイブロック: BPM158から8分 = 60000÷158 ≈ 380ms、付点8分 = 同×1.5 ≈ 570ms。リズムは8分380msを薄くタップ、リードは付点8分570msで広がりを出します
- リバーブ方針: ホール系を薄めにMix 15%程度。サビ・間奏のみ20%前後まで上げます
- リズム/リードのパッチ対比表: 2人ギターは下記を同時に鳴らし続け、1人はセクションごとに切り替えます
| 項目 | リズムパッチ(ギター1/1人は基本) | リードパッチ(ギター2/1人はサビ等で切替) |
|---|---|---|
| GAIN | 30% | 35% |
| ブースター | OFF | ON |
| ディレイMix | 8分/10% | 付点8分/20% |
| リバーブMix | 15% | 20% |
② ギター:マーシャルのみの場合(JCM900 / JCM2000 / DSL系)
- アンプ設定: GAIN 3(粒立ちが潰れない上限)/ TREBLE 6(シンセと喧嘩しない範囲)/ MIDDLE 5〜6(削らない)/ BASS 4(ベースと被らない上限)/ PRESENCE 4〜5(耳が痛くならない上限)
- ピッキング強弱での展開: Aメロは軽やかに、サビ・間奏は強めに弾き込みリードを前に出すのが基本です
- 足りない機能への対処: ディレイ・リバーブが無いため、付点8分570msを再現できる空間系ペダルを1台足すとサビの伸びが変わります
③ ベース:マルチエフェクター/プロセッサー設定(GT-1000CORE / MS-3 / GT-1B系など共通)
Bass → コンプ → ドライブ/EQ(基本OFF) → アンプモデル(DI+アンプブレンド)
→ Amp/DI Out
- コンプ設定: スレッショルドは16分ミュートのニュアンスを潰さない程度、レシオ3:1前後。アタック(粒立ち)を潰さない上限がコンプの掛けすぎを判断する基準です
- アンプモデル設定: GAIN 35%(潰れない上限)/ BASS 50%/ LOW-MID 50%(削らない方針)/ HIGH-MID 45%(ギター・シンセと被らない上限)/ TREBLE 35%(刺さらない範囲)/ LEVEL はギターに埋もれない音量が基準。DI+アンプ比率はアタック感が残る範囲で混ぜるのが判断基準で、DI7:アンプ3から微調整します
- ドライブ/EQブロック(基本OFF): サビのみ軽くON。低音の輪郭が団子にならない上限まで下げるのが判断基準です
- 通常パッチ/サビパッチの対比表
| 項目 | 通常パッチ | サビパッチ(音圧を上げる場面) |
|---|---|---|
| コンプ量 | 軽め(グルーヴ優先) | やや強め(音圧優先) |
| DI:アンプ比率 | 7:3 | 6:4 |
| ドライブ | OFF | 薄くON |
| LEVEL | 基準値 | +1〜2dB程度 |
④ ベース:アンプ(DI)のみの場合(Ampeg SVT系)
- アンプ設定: GAIN 3〜4(音が割れない上限)/ ULTRA LO 軽め(団子にならない範囲)/ ULTRA HI 軽め(アタックが埋もれない程度)/ BASS 5/ MIDDLE 5(削らない)/ TREBLE 4(刺さらない範囲)
- 指弾き/ピック弾きでの展開: 基本は指弾きでミュートのグルーヴを刻み、サビのみピック弾きでアタックを足します
- 足りない機能への対処: 粒立ちを均す外部コンプペダルを1台足すと安定します
⑤ キーボード/シンセ音作り
- 音色カテゴリ選定: イントロ・間奏はアナログシンセ(レトロなパッド/アルペジオ系)を主役に、サビ裏はエレピ系(Rhodes系)を薄く重ねます。シンセが埋もれていないか耳で確認するのが判断基準です
- EQ方針: ローはベースと被る帯域をハイパスでカット、ギターと被る中高域は軽く削る。ギター・シンセどちらが前に出ているか耳で確認して判断します
- 空間系: BPM158から8分380ms・付点8分570msを基準にし、アルペジオ系フレーズは8分380msでタイトに刻みます
- セクションごとの運用: イントロはシンセの音量を上げ、Aメロ・Bメロは控えめに、サビ・間奏は再び前に出します
セクション別の組み立て
- イントロ: フリーテンポからビートに入るタイミングでギター・ベースが加わります。キーボードは主役の音量、ギターは軽めのリズムパッチ、ベースは通常パッチです
- Aメロ/Bメロ: ギターはリズムパッチでゲインを抑え、キーボードは音量を絞り、ベースは16分ミュートでグルーヴを保ちます
- サビ: ギターはリードパッチでブースターとディレイ(付点8分570ms)をON、キーボードは音量を上げ、ベースはサビパッチで音圧を上げます
- 間奏/アウトロ: キーボードのフレーズを主役に戻し、ギターはリードパッチを重ね、ベースは通常パッチで着地します
まとめ
- BPM158のディレイ基準値は8分380ms・付点8分570msです
- 歪みを薄く保ちシンセの帯域を空けるのがこの曲の軸です
- ギターは2人/1人編成、ベースは通常/サビパッチ、キーボードは主役級の音色運用で組み立てます
- 同じくシンセと生バンドが共存するVaundy「怪獣の花唄」の音作りも参考にしてみてください
※この設定は実機検証前のドラフトです
設定値は出発点です。数値より耳での判断基準を優先して調整してください。