MAN WITH A MISSION「Raise your flag」は、BPM145・キーCメジャーの楽曲です。TVアニメ「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」のオープニングテーマとして2015年に発表されて以降、ROCK IN JAPAN FESTIVALをはじめとした夏フェスの常連曲として現在も演奏され続けており、THE FIRST TAKEでのバンド生演奏やバンドスコアの現行流通からも、実在のバンドアレンジとして成立していることが確認できる一曲です。イントロで印象的に鳴るシンセストリングスのフレーズも本曲の顔になっており、この記事ではギター・ベースのマルチエフェクター/マーシャル設定に加えて、そのシンセ/ストリングスの音作りの考え方もまとめました。 ※設定値はあくまで出発点です。数値そのものより、以降で示す耳での判断基準を優先して微調整してください。
目指す音の分解
- リズムギター: イントロのシンセストリングスから続くAメロ〜サビまでを支えるコード主体の役割。歪みは薄く、上物と喧嘩しない粒立ちが理想です。
- リードギター: サビ・間奏でアンセミックなフレーズを差し込む役割。シンセストリングスの旋律線を邪魔しない音域で前に出る音量バランスが基準になります。
- ベース(Kamikaze Boy): アップテンポの疾走感を支える低域の土台役。8分刻みでも走らず重心を保つ粒立ちが求められます。
- シンセ/ストリングス(DJ Santa Monica): イントロで曲の顔になるフレーズを担う役割。伴奏に埋もれず、単体でも「この曲だ」とわかる存在感が理想です。
- アップテンポのロックアンセムに、シンセストリングスという生楽器的な彩りを乗せつつ、バンド隊が音圧で潰さないことが音作りの軸です。
① ギター:マルチエフェクター設定(GT-1000CORE / MS-3 / G6 / GE系など共通)
Guitar → コンプ(軽め) → ドライブ(薄め〜中程度) → アンプモデル(クランチ〜ハイゲイン)
→ ブースター(リードのみ) → ディレイ → リバーブ → Amp Out
- アンプモデル設定: GAIN 50〜60%(疾走感のあるサビで音が団子にならない上限)/ TREBLE 55%(抜けを確保する範囲)/ MIDDLE 45%(削らない方針)/ BASS 40%(ベースと被らない上限)/ LEVELはシンセストリングスに埋もれない程度が基準
- ドライブブロック: TS系、GAIN 35〜40%、TONE 50%、LEVEL 45%。Aメロのコードが濁らず、和音のまま聴き取れる上限まで下げるのが判断基準です
- ブースターブロック(リードのみ): クリーンブースト系、GAINは上げずLEVELのみ+2〜3dB程度。サビ・間奏のリードフレーズがシンセストリングスの旋律線を潰さず、その隙間を縫って前に出る範囲に収めるのが判断基準です
- ディレイブロック: BPM145から算出すると、8分 = 60000÷145 = 約413.8ms、付点8分 = 413.8×1.5 = 約620.7ms。サビ・間奏のリードは付点8分620.7msで広がりを持たせ、リズムは8分413.8msを薄くかけて疾走感を保ちます
- リバーブ方針: ホール系を控えめにMix 15〜20%程度。シンセストリングスの余韻と重なって輪郭がぼやけたら深すぎるサインです
- パッチ対比表: Jean-Ken Johnnyの単独ギター編成のため、1人で両方を担当する場合(宅録・弾いてみた等)は下記パッチをセクションごとに切り替える運用が基本です
| 項目 | リズムパッチ(Aメロ・Bメロ用) | リードパッチ(サビ・間奏用) |
|---|---|---|
| GAIN | 50% | 60% |
| ブースター | OFF | ON |
| ディレイMix | 8分/10% | 付点8分/20% |
| リバーブMix | 15% | 20% |
② ギター:マーシャルのみの場合(JCM900 / JCM2000 / DSL系)
- アンプ設定: GAIN 5〜6(Aメロで音が痩せない下限〜サビで団子にならない上限)/ TREBLE 6(抜けを確保する範囲)/ MIDDLE 5(削らない)/ BASS 4(ベースと被らない上限)/ PRESENCE 5(耳当たりが硬くなりすぎない上限)
- ピッキング強弱での展開の作り方: Aメロは手元を軽く抑えてコードを整えて鳴らし、サビにかけて弾き込みを強めて音圧を押し上げるのが基本です。1人でリズム・リード両方を担う前提のため、セクションの切り替わりでピッキングの強弱を明確に変えることが役割の切り替えを表現するポイントになります
- 足りない機能への対処: マーシャル単体はディレイ・リバーブが無いため、付点8分620.7msの空間を再現できる空間系ペダルを1台足すと、サビ・間奏のリードフレーズの広がりが大きく変わります
③ ベース:マルチエフェクター/プロセッサー設定(GT-1000CORE / MS-3 / GT-1B系など共通)
Bass → コンプ → ドライブ/EQ(基本OFF〜軽め) → アンプモデル(DI+アンプブレンド)
→ Amp/DI Out
- コンプ設定: スレッショルドは8分のアタックが均一に聴こえる程度、レシオ4:1前後。疾走感のあるサビでピッキングが強くなっても、アタック(粒立ち)を潰さない上限がコンプの掛けすぎを判断する基準です
- アンプモデル設定: GAIN 50%(サビでも音が暴れない上限)/ BASS 50%/ LOW-MID 45%(削らない方針)/ HIGH-MID 45%(ギターと被らない上限)/ TREBLE 30%(刺さらない範囲)/ LEVELはサビで音圧を一段上げる音量が基準。DI+アンプの比率はDI6:アンプ4を起点に、8分の走りに負けず指弾きのアタック感が残る範囲でアンプ側の色を混ぜるのが判断基準です
- ドライブ/EQブロック(使う場合のみ): 基本OFFですが、サビで厚みを足したい時のみ軽いドライブを薄くON。低音の輪郭を失わない上限まで下げるのが判断基準です
- 通常パッチ/サビパッチの対比表
| 項目 | 通常パッチ(イントロ・Aメロ・Bメロ) | サビパッチ(音圧を上げる場面) |
|---|---|---|
| コンプ量 | やや強め(粒立ち優先) | 軽め(音圧優先) |
| DI:アンプ比率 | 6:4 | 5:5 |
| ドライブ | OFF | 薄くON |
| LEVEL | 基準値 | +2〜3dB程度 |
④ ベース:アンプ(DI)のみの場合(Ampeg SVT系)
- アンプ設定: GAIN 4〜5(Aメロで音が痩せない下限〜サビで暴れない上限)/ ULTRA LO 軽め(もたつかない範囲)/ ULTRA HI 軽め(硬くなりすぎない範囲)/ BASS 5/ MIDDLE 5(削らない)/ TREBLE 4(刺さらない範囲)
- 指弾き/ピック弾きでの展開の作り方: イントロ・Aメロは指弾きでタイトかつ余裕を持って刻み、サビでピック弾き寄りのアタックに切り替えると、疾走感の差がはっきり作れます
- 足りない機能への対処: アンプ単体はコンプの細かい調整ができないため、Aメロとサビとのピッキングのばらつきを均す外部コンプペダルを1台足すと音の安定感が増します
⑤ シンセ/ストリングス音作り
- 音色カテゴリ選定: アナログシンセパッド系とオーケストラルストリングス系をレイヤーした音色。イントロで独立して聴こえるフレーズであるため、単体で「この曲だ」とわかる存在感が残る音量まで持ち上げるのが判断基準です(伴奏に薄く馴染む程度に抑えると曲の顔が消えてしまいます)
- EQ方針: ギターのミドル帯(400Hz〜2kHz付近)とボーカルの帯域を避けて削ります。バンド全体で音の隙間があるかを耳で確認し、隙間が無ければシンセ側を削る、ギター側の主張が強すぎればギターのミドルを削る、の順で調整するのが判断基準です
- 空間系設定: BPM145から算出した8分413.8ms・付点8分620.7msを流用します。イントロは付点8分620.7msで広がりを演出し、バンドが入ってくるBメロ以降は8分413.8ms寄りに浅くして輪郭を保ちます
- セクションごとの運用方針: イントロでは主役級の音量で単独フレーズを聴かせ、Aメロ・Bメロでは伴奏に薄く馴染ませて音量を落とし、サビで再度持ち上げてリードギターと絡めます。DJ Santa Monicaのサンプリング/DJ機材上で再生する前提の音色のため、伝統的な鍵盤奏者のタッチ表現ではなく、ワンショット・パッドの音量オートメーションでセクションごとの盛り上がりを作るのがこの曲での運用の判断基準です
セクション別の組み立て
- イントロ: シンセストリングスが主役の場面なので、ギター・ベースは音量を抑えて隙間を残します
- Aメロ: リズムギターはコード中心で静かに鳴らし、ベースは指弾きでタイトに8分を刻み、シンセは伴奏に薄く馴染ませます
- Bメロ: サビに向けてギターのディレイ・リバーブを少しずつ深くし、ベースのコンプもやや軽めに移行し、シンセの音量を上げ始めて盛り上がりを準備します
- サビ: ギターはリードパッチに切り替えブースターと付点8分620.7msのディレイをONにし、疾走感を前面に出します。ベースはサビパッチで音圧を上げ、シンセストリングスも前面に出してアンセミックな厚みを作ります
- 間奏: リードギターとシンセストリングスの掛け合いを意識し、互いの旋律線が潰し合わない音域で弾き分けます
- ラスサビ〜アウトロ: 音量・エフェクトともにこの曲で最も深い設定を維持しつつ、シンセストリングスを主役に戻して余韻を残し締めくくります
まとめ
- BPM145のディレイ基準値は8分413.8ms・付点8分620.7msです。イントロのシンセストリングスには付点8分を、バンドが入ってからのギターは8分寄りを薄くかけるのがコツです
- 単独ギター編成のため、宅録・弾いてみたではリズム/リードのパッチ切り替えで役割を表現します
- イントロのシンセストリングスが曲の顔なので、バンド隊は音圧で潰さず隙間を残すことが音作りの軸になります
- 次回は同アーティストの別の代表曲、または次のアーティストの音作りも解説予定です
※この設定は実機検証前のドラフトです
設定値は出発点です。数値より耳での判断基準を優先して調整してください。