Official髭男dism「Pretender」はBPM92(体感は倍テンポの184に近い16ビート)、キーG♯/A♭メジャーの疾走感あるピアノポップ曲です。2019年5月発売の映画「コンフィデンスマンJP ロマンス編」主題歌で、バンドスコア・ギター弾いてみた・ドラム叩いてみたの動画が非常に豊富な定番曲です。ギターは小笹大輔の単一プレイヤー編成ですが、藤原聡(Vo&Key)によるイントロの16分ピアノフレーズと間奏のキーボードソロが曲の顔になっているため、この記事ではギター・ベースに加えてキーボードの設定値もまとめました。 ※設定値はあくまで出発点です。数値そのものより、以降で示す耳での判断基準を優先して微調整してください。
目指す音の分解
- リズムギター: Aメロ・Bメロで16ビートのカッティングを刻む役割。歪みは軽めに留め、ピアノの粒立ちを邪魔しない輪郭が理想です。
- リードギター: サビ・間奏でアルペジオやフレーズを彩る役割。輪郭ははっきりさせつつ、ピアノと喧嘩しない伸びを狙います。
- ベース: 16ビートのルート弾きでピアノと歌を下から支える役割。走らない安定した粒立ちが重要です。
- キーボード: イントロの16分ピアノフレーズと間奏のキーボードソロを担う、曲の顔となる役割です。ギター・ボーカルと帯域が被らない硬めの粒立ちが理想です。
- ピアノの16分フレーズを主役に、ギターは歪みすぎず輪郭で支えるのがこの曲の音作りの軸です。
① ギター:マルチエフェクター設定(GT-1000CORE / MS-3 / G6 / GE系など共通)
Guitar → コンプ(軽め) → ドライブ(薄め) → アンプモデル(クリーン〜薄クランチ)
→ ブースター(リードのみON) → ディレイ → リバーブ → Amp Out
- アンプモデル設定: GAIN 25〜30%(16ビートカッティングの粒が潰れない上限)/ TREBLE 55%(ピアノの高域と刺さり合わない上限)/ MIDDLE 55%(削らない方針)/ BASS 45%(ベース・ピアノと被らない上限)/ LEVELはピアノと歌を邪魔しない音量が基準
- ドライブブロック: TS系、GAIN 15〜20%、TONE 50%、LEVEL 50%。16ビートカッティングの一音一音が団子にならない上限まで下げるのが判断基準です
- ブースターブロック(リードのみ): クリーンブースト系、GAINは上げずLEVELのみ+3dB程度。サビ・間奏のフレーズだけを前に出し、歪み感が変わったらやり過ぎです
- ディレイブロック: BPM92から算出すると、8分 = 60000÷92 ≒ 652ms、付点8分 = 652×1.5 ≒ 978ms。リズムは8分652msを薄くタップし、リードは付点8分978msでフレーズに広がりを出します
- リバーブ方針: ホール系を薄めにMix 18%程度。リード時のみ25%前後まで上げ、間奏の奥行きを足します
- パッチ対比表: ギターは単一プレイヤー編成のため、セクションごとに下記パッチを切り替えます
| 項目 | リズムパッチ | リードパッチ |
|---|---|---|
| GAIN | 25% | 30% |
| ブースター | OFF | ON |
| ディレイMix | 8分/12% | 付点8分/22% |
| リバーブMix | 18% | 25% |
② ギター:マーシャルのみの場合(JCM900 / JCM2000 / DSL系)
- アンプ設定: GAIN 3(カッティングの粒立ちが潰れない上限)/ TREBLE 6(ピアノと刺さり合わない範囲)/ MIDDLE 5〜6(削らない)/ BASS 4(ベース・ピアノと被らない上限)/ PRESENCE 4(耳当たりが硬くならない上限)
- ピッキング強弱での展開: Aメロ・Bメロは手元を軽く絞って16ビートを刻み、サビ・間奏は強めに弾き込んでフレーズを浮き立たせるのが基本です
- 足りない機能への対処: マーシャル単体はディレイ・リバーブが無いため、付点8分978msを再現できる空間系ペダルを1台足すと、サビ・間奏の広がりが大きく変わります
③ ベース:マルチエフェクター/プロセッサー設定(GT-1000CORE / MS-3 / GT-1B系など共通)
Bass → コンプ → ドライブ/EQ(基本OFF) → アンプモデル(DI+アンプブレンド)
→ Amp/DI Out
- コンプ設定: スレッショルドは16ビートの粒が揃う程度、レシオ3:1前後。アタック(粒立ち)を潰さない上限がコンプの掛けすぎを判断する基準です
- アンプモデル設定: GAIN 35%(丸くなりすぎない上限)/ BASS 50%/ LOW-MID 50%(削らない方針)/ HIGH-MID 40%(ギター・ピアノと被らない上限)/ TREBLE 35%(刺さらない範囲)/ LEVELはピアノと歌を邪魔しない音量が基準。DI+アンプの比率はDI7:アンプ3を起点に、16ビートのアタック感が残る範囲で耳で微調整します
- ドライブ/EQブロック(使う場合のみ): 基本OFFですが、サビでわずかに厚みを足したい時のみ軽いドライブを薄くON。低音の輪郭を失わない上限まで下げるのが判断基準です
- 通常パッチ/サビパッチの対比表
| 項目 | 通常パッチ | サビパッチ(音圧を上げる場面) |
|---|---|---|
| コンプ量 | 軽め(粒立ち優先) | やや強め(音圧優先) |
| DI:アンプ比率 | 7:3 | 6:4 |
| ドライブ | OFF | 薄くON |
| LEVEL | 基準値 | +1〜2dB程度 |
④ ベース:アンプ(DI)のみの場合(Ampeg SVT系)
- アンプ設定: GAIN 3(音が割れない上限)/ ULTRA LO 軽め(団子にならない範囲)/ ULTRA HI OFF(硬くなりすぎない)/ BASS 5/ MIDDLE 5(削らない)/ TREBLE 3〜4(刺さらない範囲)
- 指弾き/ピック弾きでの展開: Aメロ・Bメロは指弾きで16ビートを丸く支え、サビはピックに持ち替えてアタックを足す使い分けが基本です
- 足りない機能への対処: アンプ単体はコンプの細かい調整ができないため、16ビートの粒立ちを均す外部コンプペダルを1台足すと通常/サビの差が安定します
⑤ キーボード/シンセ音作り
- 音色カテゴリ: 生ピアノ/エレピ系。イントロ・間奏のフレーズが伴奏に埋もれず単独で聴こえるかが選定の判断基準です(間奏はギターで再現されることもあるほど独立性の高いキーボードソロとして知られています)
- EQ方針: 250〜400Hz付近をギター・ベースと被らない範囲でわずかにカット。バンド全体で音の隙間があるかを耳で確認しながら削るのが基準です
- 空間系: BPM92から8分652ms・付点8分978ms。イントロ・間奏のフレーズには付点8分978msを薄くMixし、Aメロ・Bメロの伴奏部分はディレイを絞ってコード感を優先します
- セクションごとの運用: イントロは16分ピアノフレーズを主役に音量を上げ、Aメロ・Bメロは伴奏に回って絞り、間奏は再びソロを前に出して曲の顔を強調します
セクション別の組み立て
- イントロ: キーボードの16分ピアノフレーズを主役に、ギターはリズムパッチで音量を抑えて土台を作ります
- Aメロ・Bメロ: ギターはリズムパッチで16ビートのカッティング中心、キーボードは伴奏に回り、ベースは粒立ちを優先して走らないよう支えます
- サビ: ギターはリードパッチに切り替えブースターと付点8分978msのディレイをONにし、ベースはサビパッチで音圧を上げ、キーボードは歌の隙間を埋める程度に音量調整します
- 間奏: キーボードソロを主役に、ギターはリードパッチで短いオブリガードを添える程度に留めます
- アウトロ: 音数を減らし、リバーブとピアノの余韻だけを残して着地します
まとめ
- BPM92のディレイ基準値は8分652ms・付点8分978msです(体感は倍テンポの184に近い16ビートのため、リズムパッチのディレイは薄めのMixが基準です)
- ギターは小笹大輔の単一プレイヤー編成前提で、リズム/リードのパッチ切り替えで対応します
- イントロ・間奏のキーボードフレーズを主役として扱うのがこの曲最大の判断基準です
- 次回は同じOfficial髭男dismの他曲の音作りも解説予定です
※この設定は実機検証前のドラフトです
設定値は出発点です。数値より耳での判断基準を優先して調整してください。