Mr.Children「終わりなき旅」は、バンドが活動を休止していた期間を経て1998年に発表された再始動第一弾シングルで、BPM74・原調F#(曲中で転調を繰り返す構成)のミドルテンポなロックチューンです。公式バンドスコアにギター/ベース/ドラムのパート譜が明記され、ライブでは定番曲としてほぼ全ツアーで演奏されている、実在のバンドアレンジが前提の曲です。原曲は桜井和寿(Vo/Gt)と田原健一(Gt)の2人ギター編成で、アウトロにギターソロを配置する構成がライブの定番アレンジとして定着していることも特徴です。この記事では、そのバンドサウンドを支えるギター・ベースの設定値をまとめました。 ※設定値はあくまで出発点です。数値そのものより、以降で示す耳での判断基準を優先して微調整してください。
目指す音の分解
- リズムギター(桜井): ミドルテンポの中でコードを大きく鳴らし、曲全体の輪郭を支える役割。歪みすぎず、コードの構成音が濁らずに聴き取れる質感が理想です。
- リードギター(田原): サビ・間奏でオブリガードを差し込み、アウトロでは曲を締めくくるギターソロを担う役割。泣きすぎず、フレーズの芯が前に抜ける音量バランスが基準になります。
- ベース(中川敬輔): 8分主体のラインで曲を力強く前に推進する役割。転調をまたいでも音の重心がぶれない安定感が求められます。
- 転調を繰り返す構成の曲だからこそ、各パートの音色・音量が転調のたびにブレないことが音作りの軸です。
① ギター:マルチエフェクター設定(GT-1000CORE / MS-3 / G6 / GE系など共通)
Guitar → コンプ(軽め) → ドライブ → アンプモデル(クランチ〜ミドルゲイン)
→ ブースター(リードのみ) → ディレイ → リバーブ → Amp Out
- アンプモデル設定: GAIN 40〜45%(コードを大きく鳴らしても音が団子にならない上限)/ TREBLE 55%(抜けを確保する範囲)/ MIDDLE 55%(削らない方針)/ BASS 40%(ベースの低域と被らない上限)/ LEVELはサビで音圧が前に出る音量が基準
- ドライブブロック: TS系、GAIN 25〜30%、TONE 50%、LEVEL 50%。コードの構成音が濁らず、和音のまま聴き取れる上限まで下げるのが判断基準です
- ブースターブロック(リードのみ): クリーンブースト系、GAINは上げずLEVELのみ+2〜3dB程度。アウトロのギターソロで感情が前に出過ぎて他パートを食わない範囲に収めるのが判断基準です
- ディレイブロック: BPM74から算出すると、8分 = 60000÷74 = 約810.81ms、付点8分 = 810.81×1.5 = 約1216.22ms。リズムはディレイを薄めにかけコードの輪郭を優先し、リードは付点8分1216.22msでサビ・間奏・アウトロのソロに広がりを持たせます
- リバーブ方針: ホール系をやや深めにMix 20〜25%程度。ミドルテンポの余韻が次のコードチェンジと被って濁り始めたら深すぎるサインです
- パッチ対比表: バンドで2人ギターがいる場合はギター1(桜井=リズム)・ギター2(田原=リード)が役割固定のまま同時運用します。1人で両方を担当する場合(宅録・弾いてみた等)は、下記パッチをセクションごとに切り替えます
| 項目 | リズムパッチ(ギター1/桜井用) | リードパッチ(ギター2/田原用) |
|---|---|---|
| GAIN | 40% | 45% |
| ブースター | OFF | ON |
| ディレイMix | 8分/10% | 付点8分/25% |
| リバーブMix | 18% | 25% |
② ギター:マーシャルのみの場合(JCM900 / JCM2000 / DSL系)
- アンプ設定: GAIN 4(コードが団子にならない上限)/ TREBLE 5(抜けを確保する範囲)/ MIDDLE 6(削らない)/ BASS 4(ベースと被らない上限)/ PRESENCE 4(耳当たりが硬くなりすぎない上限)
- ピッキング強弱での展開の作り方: イントロ・Aメロは手元を軽く抑えてコードを整えて鳴らし、サビにかけて弾き込みを強めて音圧を押し上げ、アウトロのギターソロでは最も強く弾き込んで曲を締めくくるのが基本です(2人編成なら桜井=終始リズム、田原=サビ・アウトロで前に出るイメージ)
- 足りない機能への対処: マーシャル単体はディレイ・リバーブが無いため、付点8分1216.22msの空間を再現できる空間系ペダルを1台足すと、サビ・アウトロのギターソロの広がりが大きく変わります
③ ベース:マルチエフェクター/プロセッサー設定(GT-1000CORE / MS-3 / GT-1B系など共通)
Bass → コンプ → ドライブ/EQ(基本OFF) → アンプモデル(DI+アンプブレンド)
→ Amp/DI Out
- コンプ設定: スレッショルドは8分のアタックが均一に聴こえる程度、レシオ4:1前後。転調前後でピッキングの強さが変わっても、アタック(粒立ち)を潰さない上限がコンプの掛けすぎを判断する基準です
- アンプモデル設定: GAIN 40%(力強さを保ちつつ音が暴れない上限)/ BASS 50%/ LOW-MID 45%(削らない方針)/ HIGH-MID 50%(ギターと被らない上限)/ TREBLE 35%(刺さらない範囲)/ LEVELはサビで音圧を押し上げる音量が基準。DI+アンプの比率はDI6:アンプ4を起点に、転調後も指弾きのアタック感が残る範囲でアンプ側の色を混ぜるのが判断基準です
- ドライブ/EQブロック(使う場合のみ): 基本OFFですが、サビで厚みを足したい時のみ軽いドライブを薄くON。低音の輪郭を失わない上限まで下げるのが判断基準です
- 通常パッチ/サビパッチの対比表
| 項目 | 通常パッチ | サビパッチ(音圧を上げる場面) |
|---|---|---|
| コンプ量 | 軽め(粒立ち優先) | やや強め(音圧優先) |
| DI:アンプ比率 | 6:4 | 5:5 |
| ドライブ | OFF | 薄くON |
| LEVEL | 基準値 | +2dB程度 |
④ ベース:アンプ(DI)のみの場合(Ampeg SVT系)
- アンプ設定: GAIN 4(力強く弾いても音が暴れない上限)/ ULTRA LO 軽め(もたつかない範囲)/ ULTRA HI 軽め(硬くなりすぎない範囲)/ BASS 5/ MIDDLE 5(削らない)/ TREBLE 4(刺さらない範囲)
- 指弾き/ピック弾きでの展開の作り方: イントロ・Aメロは指弾きでタイトに刻み、サビでアタックを強めに切り替えると、通常/サビの音圧差がはっきり作れます
- 足りない機能への対処: アンプ単体はコンプの細かい調整ができないため、転調前後でのピッキングのばらつきを均す外部コンプペダルを1台足すと音の安定感が増します
セクション別の組み立て
- イントロ: リズムギターはコードを大きく鳴らして曲の輪郭を提示し、ベースは指弾きでタイトに土台を作ります
- Aメロ: リズムギターは音量を抑えめにコードの粒立ちを優先し、ベースは8分主体で安定したラインを保ちます
- Bメロ: サビに向けてディレイMixとリバーブを少しずつ深くし、ベースのコンプもやや強めに移行して音圧の高まりを演出します
- サビ: ギターはリードパッチに切り替えブースターと付点8分1216.22msのディレイをONにし、ベースはサビパッチで音圧を上げ、曲全体の推進力を最大化します
- 間奏: リードギター(田原)のオブリガードを前に出し、ベースは8分ラインでリズムの土台を支えます
- アウトロ: リードギターのギターソロにブースターとディレイを深めにかけ、ベースは音圧を保ったまま曲を締めくくります
- ※本曲は曲中で転調を繰り返す構成のため、転調のたびに各パートの音量・エフェクト量が不用意に変化しないよう、セクションごとの運用方針を目安として統一しておくことが大切です
まとめ
- BPM74のディレイ基準値は8分810.81ms・付点8分1216.22msです
- 2人ギター編成なら桜井=リズム/田原=リードの役割固定、1人録音ならパッチ切り替えで対応します
- アウトロのギターソロを見据えたブースター・ディレイ設定が、この曲の音作りで特に重要になります
- 転調を繰り返す構成の曲だからこそ、各パートの音量・音色を転調前後で不用意に変えないことが判断基準になります
- 次回は同アーティストの別の代表曲の音作りも解説予定です
※この設定は実機検証前のドラフトです
設定値は出発点です。数値より耳での判断基準を優先して調整してください。