Mr.Children「くるみ」は、BPM96・キーCメジャーのミディアムロックバラードです。バンドスコアには電子ギター/アコースティックギター/ベース/ドラム/パーカッション/キーボードのパートが明記されており、実際にバンド編成でのカバー・弾いてみた動画も多数実在する定番曲です。原曲は桜井和寿(Vo/Gt)と田原健一(Gt)の2人ギター編成が基本で、加えてアコースティックピアノ・アコーディオン・グロッケンといったピアノ系の音色が絡み合いながらドラマティックに展開していくため、この記事ではギター・ベースに加えてキーボードの設定値もまとめました。 ※設定値はあくまで出発点です。数値そのものより、以降で示す耳での判断基準を優先して微調整してください。
目指す音の分解
- リズムギター(桜井): Aメロ・Bメロで淡々とコードを刻み、サビに向けて少しずつ音圧を上げていく役割。歪みは薄めで、ピアノ系の音色と歌の輪郭を邪魔しない透明感が理想です。
- リードギター(田原): サビ・間奏で伸びのあるフレーズを重ねる役割。曲全体のドラマ性を支えるため、音数を絞りつつ要所で存在感を出す余韻が重要です。
- ベース(中川敬輔): サビに向けて徐々に音圧を増していく展開を、粒立ちのはっきりしたピッキングで下から支える役割。バラード基調ですが平坦にならない推進力が基準になります。
- キーボード/ピアノ系: アコースティックピアノ・アコーディオン・グロッケンが絡み合い、イントロ〜サビで独立して聴こえる旋律・装飾フレーズを担う役割。ギター・ボーカルと帯域が被らない、丸く柔らかい音色が理想です。
- ピアノ系の音色が曲の情感を導き、ギター・ベースはサビに向けて音圧を積み上げていくのがこの曲の音作りの軸です。
① ギター:マルチエフェクター設定(GT-1000CORE / MS-3 / G6 / GE系など共通)
Guitar → コンプ(軽め) → ドライブ(薄め) → アンプモデル(クリーン〜薄クランチ)
→ ブースター(リードのみ) → ディレイ → リバーブ → Amp Out
- アンプモデル設定: GAIN 25〜30%(コードの粒立ちが潰れない上限)/ TREBLE 50%(ピアノ系の高域と刺さり合わない上限)/ MIDDLE 55%(削らない方針)/ BASS 40%(ベース・ピアノ系の低域と被らない上限)/ LEVELは歌とピアノ系の音色を邪魔しない音量が基準
- ドライブブロック: TS系、GAIN 15〜20%、TONE 50%、LEVEL 50%。サビで音圧を上げても和音が濁らない上限まで下げるのが判断基準です
- ブースターブロック(リードのみ): クリーンブースト系、GAINは上げずLEVELのみ+2〜3dB程度。サビ・間奏のフレーズが前に出過ぎて歌やピアノ系の音色を食わない範囲に収めるのが判断基準です
- ディレイブロック: BPM96から算出すると、8分 = 60000÷96 = 625ms、付点8分 = 625×1.5 = 937.5ms。リズムは8分625msを薄くタップし、リードは付点8分937.5msで間奏のフレーズに広がりを持たせます
- リバーブ方針: ホール系をMix 20〜25%程度。残響でコードの輪郭やピアノ系の粒立ちがぼやけ始めたら深すぎるサインです
- パッチ対比表: バンドで2人ギターがいる場合はギター1(桜井=リズム)・ギター2(田原=リード)が役割固定のまま同時運用します。1人で両方を担当する場合(宅録・弾いてみた等)は、下記パッチをセクションごとに切り替えます
| 項目 | リズムパッチ(ギター1/桜井用) | リードパッチ(ギター2/田原用) |
|---|---|---|
| GAIN | 25% | 30% |
| ブースター | OFF | ON |
| ディレイMix | 8分/12% | 付点8分/20% |
| リバーブMix | 20% | 25% |
② ギター:マーシャルのみの場合(JCM900 / JCM2000 / DSL系)
- アンプ設定: GAIN 3(コードの粒立ちが潰れない上限)/ TREBLE 5(ピアノ系と刺さり合わない範囲)/ MIDDLE 6(削らない)/ BASS 4(ベース・ピアノ系と被らない上限)/ PRESENCE 4(耳当たりが硬くならない上限)
- ピッキング強弱での展開の作り方: Aメロ・Bメロは手元を軽く絞ってコードを刻み、サビにかけて弾き込みを強めて音圧を積み上げていくのが基本です(2人編成なら桜井=終始リズム、田原=サビ・間奏で前に出るイメージ)
- 足りない機能への対処: マーシャル単体はディレイ・リバーブが無いため、付点8分937.5msの空間を再現できる空間系ペダルを1台足すと、間奏フレーズの広がりが大きく変わります
③ ベース:マルチエフェクター/プロセッサー設定(GT-1000CORE / MS-3 / GT-1B系など共通)
Bass → コンプ → ドライブ/EQ(基本OFF) → アンプモデル(DI+アンプブレンド)
→ Amp/DI Out
- コンプ設定: スレッショルドはピッキングの粒立ちが揃って聴こえる程度、レシオ3:1前後。アタック(粒立ち)を潰さない上限がコンプの掛けすぎを判断する基準です
- アンプモデル設定: GAIN 35%(輪郭が丸くなりすぎない上限)/ BASS 50%/ LOW-MID 50%(削らない方針)/ HIGH-MID 45%(ギター・ピアノ系と被らない上限)/ TREBLE 30%(刺さらない範囲)/ LEVELは歌とピアノ系を邪魔しない音量が基準。DI+アンプの比率はDI6:アンプ4を起点に、ピッキングのアタック感が残る範囲でアンプ側の色を混ぜるのが判断基準です
- ドライブ/EQブロック(使う場合のみ): 基本OFFですが、サビで厚みを足したい時のみ軽いドライブを薄くON。低音の輪郭を失わない上限まで下げるのが判断基準です
- 通常パッチ/サビパッチの対比表
| 項目 | 通常パッチ | サビパッチ(音圧を上げる場面) |
|---|---|---|
| コンプ量 | 軽め(粒立ち優先) | やや強め(音圧優先) |
| DI:アンプ比率 | 6:4 | 5:5 |
| ドライブ | OFF | 薄くON |
| LEVEL | 基準値 | +2dB程度 |
④ ベース:アンプ(DI)のみの場合(Ampeg SVT系)
- アンプ設定: GAIN 3(音が割れない上限)/ ULTRA LO 軽め(団子にならない範囲)/ ULTRA HI 軽め(硬くなりすぎない範囲)/ BASS 5/ MIDDLE 5(削らない)/ TREBLE 4(刺さらない範囲)
- 指弾き/ピック弾きでの展開の作り方: Aメロ・Bメロは指弾きで粒立ちを整えて曲を支え、サビでピックに持ち替えてアタックを強めると、通常/サビの音圧差がはっきり作れます
- 足りない機能への対処: アンプ単体はコンプの細かい調整ができないため、ピッキングの粒立ちを均す外部コンプペダルを1台足すと音の安定感が増します
⑤ キーボード/シンセ音作り
- 音色カテゴリ: 生ピアノ系(アコースティックピアノ/アコーディオン/グロッケン等)。イントロから曲を通して伴奏に埋もれず、主旋律と絡み合う独立したフレーズとして聴こえるかが選定の判断基準です(バンドスコアにもキーボードのパートが単独で収録されるほど独立性の高いフレーズです)。原曲ではこれらの音色が複数重なり合ってドラマティックな展開を作っているため、1音色に絞らず「ピアノを軸に、アコーディオンで温かみ、グロッケンで煌めきを足す」という重ね方を意識するのが実践的です
- EQ方針: 300〜500Hz付近をギター・ベースと被らない範囲でわずかにカット、5kHz付近はグロッケン系の煌めきを活かす方向でわずかに持ち上げます。バンド全体で音の隙間があるかを耳で確認しながら削る/持ち上げるのが基準です
- 空間系: BPM96から8分625ms・付点8分937.5ms。サビに向けて重なっていくフレーズには付点8分937.5msを薄くMixして奥行きを足し、歌が主体のAメロ・Bメロではディレイを絞ってコード感と歌詞の聴き取りやすさを優先します
- セクションごとの運用: イントロはピアノ系のフレーズを主役に音量を上げ、Aメロ・Bメロは歌の伴奏に回って音量を絞り、サビではアコーディオン・グロッケンも重ねて音圧と煌めきを足します。曲が進むにつれて重なる音色の数を少しずつ増やしていくと、原曲のドラマティックな展開に近づきます
セクション別の組み立て
- イントロ: キーボードのピアノ系フレーズを主役に、ギターはリズムパッチで音量を抑えて土台だけを作ります
- Aメロ: 歌とピアノ系の音色を邪魔しないようリズムギターは音量を絞り、ベースは指弾きで粒立ちを整えて低音を支えます
- Bメロ: サビに向けディレイMixとリバーブを少しずつ深くし、ベースのコンプもやや強めに移行して展開の高まりを演出します
- サビ: ギターはリードパッチに切り替えブースターと付点8分937.5msのディレイをONにし、ベースはサビパッチで音圧を上げ、キーボードはアコーディオン・グロッケンも重ねて曲の情感を最大化します
- 間奏: リードギター(田原)とキーボードのフレーズを対等に鳴らし、互いの余白を潰さないよう音量バランスを耳で確認します
- 後半〜アウトロ: リバーブを深めにして曲全体の広がりを増しつつ、音数を減らしてピアノ系の音色とディレイの余韻だけを残して着地します
まとめ
- BPM96のディレイ基準値は8分625ms・付点8分937.5msです
- 2人ギター編成なら桜井=リズム/田原=リードの役割固定、1人録音ならパッチ切り替えで対応します
- ピアノ・アコーディオン・グロッケンが絡み合う生ピアノ系の音色を軸に据え、サビに向けて音圧を積み上げていくのがこの曲最大の判断基準です
- キーボードは1音色に絞らず、複数のピアノ系音色を重ねてドラマティックな展開を作るのが実践的です
- 次回は同アーティストの別の代表曲の音作りも解説予定です
※この設定は実機検証前のドラフトです
設定値は出発点です。数値より耳での判断基準を優先して調整してください。