MAN WITH A MISSION×milet「絆ノ奇跡」は、BPM170・キーGマイナーの楽曲です。表記上のテンポは170ですが、Aメロなど一部の場面では体感的にハーフタイム(85)で感じられる展開になっており、この緩急の作り方が音作りのポイントになります。THE FIRST TAKEでのバンド生演奏やさいたまスーパーアリーナでのライブ映像でフルバンド編成の実演が確認できており、実在のバンドアレンジとして成立している一曲です。作編曲を手掛ける梶浦由記によるイントロの箏(和楽器)からサビにかけてのオーケストラルなストリングスが土台にありますが、この記事ではその上に乗るバンド隊の音作りに絞って設定値をまとめました。 ※設定値はあくまで出発点です。数値そのものより、以降で示す耳での判断基準を優先して微調整してください。
目指す音の分解
- リズムギター: ハーフタイムで感じられる静かな場面からサビの疾走感まで、曲のテンポ感を支える役割。歪みは薄く、ストリングスと喧嘩しないコードの粒立ちが理想です。
- リードギター: サビ・間奏でメロディックなフレーズを差し込む役割。和楽器・ストリングスの旋律を邪魔せず、バンドサウンドとしての芯を通す音量バランスが基準になります。
- ベース(Kamikaze Boy): テンポの緩急がある構成の中で低域の重心を一定に保つ役割。ハーフタイムで感じる場面でも間延びしない粒立ちが求められます。
- 和楽器・ストリングスという生楽器主体のアレンジに対して、バンド隊が音圧で押し切らずに隙間を残すことが音作りの軸です。
① ギター:マルチエフェクター設定(GT-1000CORE / MS-3 / G6 / GE系など共通)
Guitar → コンプ(軽め) → ドライブ(薄め〜中程度) → アンプモデル(クランチ〜ハイゲイン)
→ ブースター(リードのみ) → ディレイ → リバーブ → Amp Out
- アンプモデル設定: GAIN 45〜55%(サビで音が団子にならない上限)/ TREBLE 55%(抜けを確保する範囲)/ MIDDLE 45%(削らない方針)/ BASS 40%(ベースと被らない上限)/ LEVELはサビでストリングスに埋もれない程度が基準
- ドライブブロック: TS系、GAIN 30〜35%、TONE 50%、LEVEL 45%。ハーフタイムで感じる静かな場面でコードの構成音が濁らず、和音のまま聴き取れる上限まで下げるのが判断基準です
- ブースターブロック(リードのみ): クリーンブースト系、GAINは上げずLEVELのみ+2〜3dB程度。サビ・間奏のリードフレーズが箏やストリングスの旋律線を潰さず、その隙間を縫って前に出る範囲に収めるのが判断基準です
- ディレイブロック: BPM170から算出すると、8分 = 60000÷170 = 約352.9ms、付点8分 = 352.9×1.5 = 約529.4ms。ハーフタイムで感じる場面はテンポ半分(85)相当の広がりを意識してディレイを薄めにかけ、サビの疾走感が出る場面では付点8分529.4msでリードに広がりを持たせます
- リバーブ方針: ホール系を控えめにMix 15〜20%程度。和楽器・ストリングスの余韻と重なって輪郭がぼやけたら深すぎるサインです
- パッチ対比表: Jean-Ken Johnnyの単独ギター編成のため、1人で両方を担当する場合(宅録・弾いてみた等)は下記パッチをセクションごとに切り替える運用が基本です
| 項目 | リズムパッチ(ハーフタイム/静かな場面用) | リードパッチ(サビ・間奏用) |
|---|---|---|
| GAIN | 45% | 55% |
| ブースター | OFF | ON |
| ディレイMix | 8分/10% | 付点8分/20% |
| リバーブMix | 15% | 20% |
② ギター:マーシャルのみの場合(JCM900 / JCM2000 / DSL系)
- アンプ設定: GAIN 5(ハーフタイムの静かな場面でも音が痩せない下限〜サビで団子にならない上限)/ TREBLE 6(抜けを確保する範囲)/ MIDDLE 5(削らない)/ BASS 4(ベースと被らない上限)/ PRESENCE 5(耳当たりが硬くなりすぎない上限)
- ピッキング強弱での展開の作り方: ハーフタイムで感じられる場面は手元を軽く抑えてコードを整えて鳴らし、サビにかけて弾き込みを強めて音圧を押し上げるのが基本です。1人でリズム・リード両方を担う前提のため、セクションの切り替わりでピッキングの強弱を明確に変えることが役割の切り替えを表現するポイントになります
- 足りない機能への対処: マーシャル単体はディレイ・リバーブが無いため、付点8分529.4msの空間を再現できる空間系ペダルを1台足すと、サビ・間奏のリードフレーズの広がりが大きく変わります
③ ベース:マルチエフェクター/プロセッサー設定(GT-1000CORE / MS-3 / GT-1B系など共通)
Bass → コンプ → ドライブ/EQ(基本OFF〜軽め) → アンプモデル(DI+アンプブレンド)
→ Amp/DI Out
- コンプ設定: スレッショルドは8分のアタックが均一に聴こえる程度、レシオ4:1前後。ハーフタイムで感じる場面でピッキングが弱くなっても、アタック(粒立ち)を潰さない上限がコンプの掛けすぎを判断する基準です
- アンプモデル設定: GAIN 45%(サビでも音が暴れない上限)/ BASS 50%/ LOW-MID 45%(削らない方針)/ HIGH-MID 45%(ギターと被らない上限)/ TREBLE 30%(刺さらない範囲)/ LEVELはサビで音圧を一段上げる音量が基準。DI+アンプの比率はDI6:アンプ4を起点に、ハーフタイムで感じる場面でも指弾きのアタック感が残る範囲でアンプ側の色を混ぜるのが判断基準です
- ドライブ/EQブロック(使う場合のみ): 基本OFFですが、サビで厚みを足したい時のみ軽いドライブを薄くON。低音の輪郭を失わない上限まで下げるのが判断基準です
- 通常パッチ/サビパッチの対比表
| 項目 | 通常パッチ(ハーフタイムの場面含む) | サビパッチ(音圧を上げる場面) |
|---|---|---|
| コンプ量 | やや強め(粒立ち優先) | 軽め(音圧優先) |
| DI:アンプ比率 | 6:4 | 5:5 |
| ドライブ | OFF | 薄くON |
| LEVEL | 基準値 | +2〜3dB程度 |
④ ベース:アンプ(DI)のみの場合(Ampeg SVT系)
- アンプ設定: GAIN 4(ハーフタイムの場面でも音が痩せない下限〜サビで暴れない上限)/ ULTRA LO 軽め(もたつかない範囲)/ ULTRA HI 軽め(硬くなりすぎない範囲)/ BASS 5/ MIDDLE 5(削らない)/ TREBLE 4(刺さらない範囲)
- 指弾き/ピック弾きでの展開の作り方: ハーフタイムで感じる場面は指弾きでタイトかつ余裕を持って刻み、サビでピック弾き寄りのアタックに切り替えると、緩急の差がはっきり作れます
- 足りない機能への対処: アンプ単体はコンプの細かい調整ができないため、ハーフタイムの場面とサビとのピッキングのばらつきを均す外部コンプペダルを1台足すと音の安定感が増します
セクション別の組み立て
- イントロ: 箏(和楽器)が主役の場面なので、ギター・ベースともに音量を抑えて存在感を薄くし、隙間を残します
- Aメロ: ハーフタイム(85相当)で感じられる展開のため、リズムギターはコードを整えて静かに鳴らし、ベースも指弾きで余裕を持ったタッチで支えます
- Bメロ: サビに向けてディレイMixとリバーブを少しずつ深くし、ベースのコンプもやや軽めに移行して音圧の高まりを準備します
- サビ: ギターはリードパッチに切り替えブースターと付点8分529.4msのディレイをONにし、テンポ170の疾走感を前面に出します。ベースはサビパッチで音圧を上げ、ストリングスと拮抗する厚みを作ります
- 間奏: リードフレーズを前に出しつつ、箏・ストリングスの旋律線と当たらない音域を意識して弾き分けます
- ラスサビ〜アウトロ: 音量・エフェクトともにこの曲で最も深い設定を維持しつつ、和楽器・ストリングスを食わない範囲で余韻を残して締めくくります
まとめ
- BPM170のディレイ基準値は8分352.9ms・付点8分529.4msです。Aメロなどハーフタイム(85)で感じる場面はテンポ半分の広がりを意識して薄めにかけるのがコツです
- 単独ギター編成のため、宅録・弾いてみたではリズム/リードのパッチ切り替えで役割を表現します
- 梶浦由記による箏・ストリングスという生楽器主体のアレンジに対して、バンド隊は音圧で押し切らず隙間を残すことが音作りの軸になります
- 次回は同アーティストの別の代表曲の音作りも解説予定です
※この設定は実機検証前のドラフトです
設定値は出発点です。数値より耳での判断基準を優先して調整してください。