Mr.Children「himawari」は、2017年公開の映画『君の膵臓をたべたい』主題歌としても知られる、BPM170・キーDメジャーのアップテンポなロックチューンです。37thシングルとして発売された本曲は、公式バンドスコアにボーカル/ギター(複数)/ベース/ドラムのパート譜が明記され、YouTube上には本人以外による弾いてみた動画も確認できる、実在のバンドアレンジが前提の曲です。原曲は桜井和寿(Vo/Gt)と田原健一(Gt)の2人ギター編成で、長年のプロデューサーだった小林武史との体制終了後初のシングルにあたり、キーボードを外しバンドの生音を前面に出したアレンジであることが特徴です。この記事では、そのバンドサウンドを支えるギター・ベースの設定値をまとめました。 ※設定値はあくまで出発点です。数値そのものより、以降で示す耳での判断基準を優先して微調整してください。
目指す音の分解
- リズムギター(桜井): アップテンポの中でパワーコードとカッティングを刻み、曲を前に押し進める役割。BPM170の速さでも歪みが団子にならず、コードの粒が一つ一つ聴き取れる質感が理想です。
- リードギター(田原): サビ・間奏でオブリガードやリードフレーズを差し込む役割。疾走感を殺さない、抜けが良く前に出過ぎない音量バランスが基準になります。
- ベース(中川敬輔): 8分・16分を絡めたタイトなラインで曲を推進する役割。速いテンポでもリズムが走ったり突っかかったりしない安定感が求められます。
- 小林武史体制終了後、キーボードを外しバンドの生音だけで推進力を作る本曲では、BPM170の疾走感を保ったまま各パートの輪郭を潰さないことが音作りの軸です。
① ギター:マルチエフェクター設定(GT-1000CORE / MS-3 / G6 / GE系など共通)
Guitar → コンプ(軽め) → ドライブ → アンプモデル(クランチ〜ハイゲイン)
→ ブースター(リードのみ) → ディレイ → リバーブ → Amp Out
- アンプモデル設定: GAIN 45〜50%(速いカッティングでも音の粒が潰れない上限)/ TREBLE 60%(抜けを確保する範囲)/ MIDDLE 50%(削らない方針)/ BASS 40%(ベースの低域と被らない上限)/ LEVELはサビで音圧が前に出る音量が基準
- ドライブブロック: TS系、GAIN 30〜35%、TONE 55%、LEVEL 50%。16分カッティングの粒が団子にならず、コードの輪郭が保てる上限まで下げるのが判断基準です
- ブースターブロック(リードのみ): クリーンブースト系、GAINは上げずLEVELのみ+2〜3dB程度。リードフレーズが走っている感覚にならず、かつ埋もれずに前に出る範囲に収めるのが判断基準です
- ディレイブロック: BPM170から算出すると、8分 = 60000÷170 = 約352.9ms、付点8分 = 352.9×1.5 = 約529.4ms。リズムはほぼディレイをかけずカッティングの粒立ちを優先し、リードは付点8分529.4msでサビ・間奏のフレーズに広がりを持たせます
- リバーブ方針: ルーム系を短めにMix 15〜20%程度。速いテンポで残響同士が重なって音が団子になり始めたら深すぎるサインです
- パッチ対比表: バンドで2人ギターがいる場合はギター1(桜井=リズム)・ギター2(田原=リード)が役割固定のまま同時運用します。1人で両方を担当する場合(宅録・弾いてみた等)は、下記パッチをセクションごとに切り替えます
| 項目 | リズムパッチ(ギター1/桜井用) | リードパッチ(ギター2/田原用) |
|---|---|---|
| GAIN | 45% | 50% |
| ブースター | OFF | ON |
| ディレイMix | ほぼOFF/5% | 付点8分/20% |
| リバーブMix | 15% | 22% |
② ギター:マーシャルのみの場合(JCM900 / JCM2000 / DSL系)
- アンプ設定: GAIN 5(速いカッティングでも音が団子にならない上限)/ TREBLE 6(抜けを確保する範囲)/ MIDDLE 6(削らない)/ BASS 4(ベースと被らない上限)/ PRESENCE 5(耳当たりが硬くなりすぎない上限)
- ピッキング強弱での展開の作り方: イントロ・Aメロは手元を軽く絞ってカッティングを刻み、サビ・間奏にかけて弾き込みを強めて音圧を段階的に押し上げるのが基本です(2人編成なら桜井=終始リズム、田原=サビ・間奏で前に出るイメージ)
- 足りない機能への対処: マーシャル単体はディレイ・リバーブが無いため、付点8分529.4msの空間を再現できる空間系ペダルを1台足すと、サビ・間奏のリードフレーズの広がりが大きく変わります
③ ベース:マルチエフェクター/プロセッサー設定(GT-1000CORE / MS-3 / GT-1B系など共通)
Bass → コンプ → ドライブ/EQ(基本OFF) → アンプモデル(DI+アンプブレンド)
→ Amp/DI Out
- コンプ設定: スレッショルドは8分・16分のアタックが均一に聴こえる程度、レシオ4:1前後。速いテンポでのピッキングのばらつきを均しつつ、アタック(粒立ち)を潰さない上限がコンプの掛けすぎを判断する基準です
- アンプモデル設定: GAIN 40%(疾走感を保ちつつ音が暴れない上限)/ BASS 50%/ LOW-MID 45%(削らない方針)/ HIGH-MID 50%(ギターと被らない上限)/ TREBLE 35%(刺さらない範囲)/ LEVELはサビで音圧を押し上げる音量が基準。DI+アンプの比率はDI6:アンプ4を起点に、速い運指でも指弾きのアタック感が残る範囲でアンプ側の色を混ぜるのが判断基準です
- ドライブ/EQブロック(使う場合のみ): 基本OFFですが、サビで厚みを足したい時のみ軽いドライブを薄くON。低音の輪郭を失わない上限まで下げるのが判断基準です
- 通常パッチ/サビパッチの対比表
| 項目 | 通常パッチ | サビパッチ(音圧を上げる場面) |
|---|---|---|
| コンプ量 | 軽め(粒立ち優先) | やや強め(音圧優先) |
| DI:アンプ比率 | 6:4 | 5:5 |
| ドライブ | OFF | 薄くON |
| LEVEL | 基準値 | +2dB程度 |
④ ベース:アンプ(DI)のみの場合(Ampeg SVT系)
- アンプ設定: GAIN 4(速いテンポで音が暴れない上限)/ ULTRA LO 軽め(もたつかない範囲)/ ULTRA HI 軽め(硬くなりすぎない範囲)/ BASS 5/ MIDDLE 5(削らない)/ TREBLE 4(刺さらない範囲)
- 指弾き/ピック弾きでの展開の作り方: イントロ・Aメロは指弾きでタイトに刻み、サビでピックに持ち替えてアタックを強めると、通常/サビの音圧差がはっきり作れます
- 足りない機能への対処: アンプ単体はコンプの細かい調整ができないため、速いテンポでのピッキングのばらつきを均す外部コンプペダルを1台足すと音の安定感が増します
セクション別の組み立て
- イントロ: リズムギターはカッティングで軽やかに刻み、ベースは指弾きでタイトに土台を作ります。キーボードを置かない分、ギター・ベースの粒立ちだけで疾走感を作ることを意識します
- Aメロ: リズムギターは音量を抑えつつ粒立ちを優先し、ベースは8分主体で安定したラインを保ちます
- Bメロ: サビに向けてディレイMixとリバーブを少しずつ深くし、ベースのコンプもやや強めに移行して音圧の高まりを演出します
- サビ: ギターはリードパッチに切り替えブースターと付点8分529.4msのディレイをONにし、ベースはサビパッチで音圧を上げ、疾走感を最大化します
- 間奏: リードギター(田原)のフレーズを前に出し、ベースは16分を絡めたラインでリズムの推進力を支えます
- アウトロ: リバーブを保ったまま音圧を維持し、バンドの生音だけで曲を最後まで走り切るイメージで着地させます
まとめ
- BPM170のディレイ基準値は8分352.9ms・付点8分529.4msです
- 2人ギター編成なら桜井=リズム/田原=リードの役割固定、1人録音ならパッチ切り替えで対応します
- キーボードを置かず、ギター・ベースの粒立ちだけで疾走感を作るのがこの曲最大の判断基準です
- BPM170の速さでも歪みやコンプで音の輪郭を潰さないことが、通常のバラード曲以上に重要になります
- 次回は同アーティストの別の代表曲の音作りも解説予定です
※この設定は実機検証前のドラフトです
設定値は出発点です。数値より耳での判断基準を優先して調整してください。