Mr.Children「HERO」は、BPM80.9・キーAメジャーのミディアムバラードです。LiveFans調べのセットリスト出現率は1%と近年のツアーではあまり演奏されない稀曲ですが、2025年2月開催のap bank fes '25(東京ドーム)ではセットリスト7曲目としてバンド編成で生演奏された実績があり、公式には「LIVE Remix Tour 2002~2013」名義でのバンドアレンジ音源も存在します。ギターは桜井和寿(Vo/Gt)・田原健一(Gt)の2人編成、ベースは中川敬輔が担当する、実在のバンドサウンドが前提の一曲です。この記事ではそのギター・ベースの設定値をまとめました。 ※設定値はあくまで出発点です。数値そのものより、以降で示す耳での判断基準を優先して微調整してください。
目指す音の分解
- リズムギター(桜井): 静かなAメロから曲を支えるコードストロークの役割。歪みは薄く、コードの重なりがクリアに聞こえる質感が理想です。
- リードギター(田原): サビ・間奏でオブリガードやフレーズ装飾を差し込む役割。派手になりすぎず、歌をそっと彩る音量バランスが基準になります。
- ベース(中川敬輔): ミディアムテンポの中で音の重心を支え、静かな展開でも輪郭を失わない役割。指弾きの粒立ちを大切にしたラインが求められます。
- 稀曲ゆえ勢いで押し切らず、静かな立ち上がりからサビにかけての盛り上がりの差をはっきり作ることが音作りの軸です。
① ギター:マルチエフェクター設定(GT-1000CORE / MS-3 / G6 / GE系など共通)
Guitar → コンプ(軽め) → ドライブ(薄く) → アンプモデル(クリーン〜クランチ)
→ ブースター(リードのみ) → ディレイ → リバーブ → Amp Out
- アンプモデル設定: GAIN 30〜35%(コードが団子にならず、静かなAメロでも音が痩せない上限)/ TREBLE 50%(抜けを確保する範囲)/ MIDDLE 55%(削らない方針)/ BASS 40%(ベースの低域と被らない上限)/ LEVELはサビで音量が一段前に出る程度が基準
- ドライブブロック: TS系、GAIN 15〜20%、TONE 45%、LEVEL 45%。バラードの静かな展開でコードの構成音が濁らず、和音のまま聴き取れる上限まで下げるのが判断基準です
- ブースターブロック(リードのみ): クリーンブースト系、GAINは上げずLEVELのみ+2dB程度。サビ・間奏のオブリガードが歌の邪魔をせず、そっと前に出る範囲に収めるのが判断基準です
- ディレイブロック: BPM80.9から算出すると、8分 = 60000÷80.9 = 約741.7ms、付点8分 = 741.7×1.5 = 約1112.5ms。リズムはディレイを薄めにかけコードの輪郭を優先し、リードは付点8分1112.5msでサビ・間奏に広がりを持たせます
- リバーブ方針: ホール系を控えめにMix 15〜20%程度。ミディアムテンポの余韻が次のコードチェンジと被って輪郭がぼやけたら深すぎるサインです
- パッチ対比表: バンドで2人ギターがいる場合はギター1(桜井=リズム)・ギター2(田原=リード)が役割固定のまま同時運用します。1人で両方を担当する場合(宅録・弾いてみた等)は、下記パッチをセクションごとに切り替えます
| 項目 | リズムパッチ(ギター1/桜井用) | リードパッチ(ギター2/田原用) |
|---|---|---|
| GAIN | 30% | 35% |
| ブースター | OFF | ON |
| ディレイMix | 8分/10% | 付点8分/20% |
| リバーブMix | 15% | 20% |
② ギター:マーシャルのみの場合(JCM900 / JCM2000 / DSL系)
- アンプ設定: GAIN 3(静かなAメロでもコードが痩せない下限〜コードが団子にならない上限)/ TREBLE 5(抜けを確保する範囲)/ MIDDLE 6(削らない)/ BASS 4(ベースと被らない上限)/ PRESENCE 4(耳当たりが硬くなりすぎない上限)
- ピッキング強弱での展開の作り方: イントロ・Aメロは手元を軽く抑えてコードを整えて鳴らし、Bメロからサビにかけて弾き込みを強めて音圧を押し上げるのが基本です(2人編成なら桜井=終始リズム、田原=サビ・間奏で前に出るイメージ)
- 足りない機能への対処: マーシャル単体はディレイ・リバーブが無いため、付点8分1112.5msの空間を再現できる空間系ペダルを1台足すと、サビ・間奏のオブリガードの広がりが大きく変わります
③ ベース:マルチエフェクター/プロセッサー設定(GT-1000CORE / MS-3 / GT-1B系など共通)
Bass → コンプ → ドライブ/EQ(基本OFF) → アンプモデル(DI+アンプブレンド)
→ Amp/DI Out
- コンプ設定: スレッショルドは8分のアタックが均一に聴こえる程度、レシオ4:1前後。静かなAメロでピッキングが弱くなっても、アタック(粒立ち)を潰さない上限がコンプの掛けすぎを判断する基準です
- アンプモデル設定: GAIN 35%(静かな展開でも音が痩せない下限〜暴れない上限)/ BASS 50%/ LOW-MID 45%(削らない方針)/ HIGH-MID 45%(ギターと被らない上限)/ TREBLE 30%(刺さらない範囲)/ LEVELはサビで音圧を一段上げる音量が基準。DI+アンプの比率はDI6:アンプ4を起点に、静かな場面でも指弾きのアタック感が残る範囲でアンプ側の色を混ぜるのが判断基準です
- ドライブ/EQブロック(使う場合のみ): 基本OFFですが、サビで厚みを足したい時のみ軽いドライブを薄くON。低音の輪郭を失わない上限まで下げるのが判断基準です
- 通常パッチ/サビパッチの対比表
| 項目 | 通常パッチ | サビパッチ(音圧を上げる場面) |
|---|---|---|
| コンプ量 | やや強め(粒立ち優先) | 軽め(音圧優先) |
| DI:アンプ比率 | 6:4 | 5:5 |
| ドライブ | OFF | 薄くON |
| LEVEL | 基準値 | +2dB程度 |
④ ベース:アンプ(DI)のみの場合(Ampeg SVT系)
- アンプ設定: GAIN 3(静かな場面でも音が痩せない下限〜暴れない上限)/ ULTRA LO 軽め(もたつかない範囲)/ ULTRA HI 軽め(硬くなりすぎない範囲)/ BASS 5/ MIDDLE 5(削らない)/ TREBLE 4(刺さらない範囲)
- 指弾き/ピック弾きでの展開の作り方: イントロ・Aメロは指弾きでタイトかつ柔らかく刻み、サビでアタックを強めに切り替えると、静かな場面とサビの音圧差がはっきり作れます
- 足りない機能への対処: アンプ単体はコンプの細かい調整ができないため、静かなAメロとサビとのピッキングのばらつきを均す外部コンプペダルを1台足すと音の安定感が増します
セクション別の組み立て
- イントロ: リズムギターはコードを抑えめに鳴らし曲の輪郭を静かに提示し、ベースは指弾きでタイトに土台を作ります
- Aメロ: リズムギターは音量をさらに抑えてコードの粒立ちを優先し、ベースも柔らかいタッチで安定したラインを保ちます
- Bメロ: サビに向けてディレイMixとリバーブを少しずつ深くし、ベースのコンプもやや軽めに移行して音圧の高まりを準備します
- サビ: ギターはリードパッチに切り替えブースターと付点8分1112.5msのディレイをONにし、ベースはサビパッチで音圧を上げ、曲全体の盛り上がりを作ります
- 間奏: リードギター(田原)のオブリガードを前に出し、ベースは8分ラインでリズムの土台を支えます
- ラスサビ〜アウトロ: 音量・エフェクトともにこの曲で最も深い設定を維持しつつ、歌を食わない範囲で余韻を残して締めくくります
まとめ
- BPM80.9のディレイ基準値は8分741.7ms・付点8分1112.5msです
- 2人ギター編成なら桜井=リズム/田原=リードの役割固定、1人録音ならパッチ切り替えで対応します
- 静かなAメロとサビとの音量・エフェクト差をはっきり作ることが、この曲の音作りで特に重要になります
- セットリスト出現率の低い稀曲だからこそ、ap bank fes '25のようなバンド演奏実績を踏まえた設定が役立ちます
- 次回は同アーティスト以外の別の代表曲の音作りも解説予定です
※この設定は実機検証前のドラフトです
設定値は出発点です。数値より耳での判断基準を優先して調整してください。