LiSA「紅蓮華」はBPM135、キーEマイナーの疾走感あるアニメロック曲です。LiSAのツアーバンド「わんたんにゅーめんず」はPABLO・生本直毅(共にGt)、柳野裕孝(Ba)、石井悠也(Dr)、白井アキト(Key)という実在の2人ギター編成で、バンドスコアも複数出版社から現行流通するほどバンドアレンジ・弾いてみた動画が豊富な定番曲です。原曲の特徴は「歪みは意外なほど薄く、エッジの効いたクリーン〜クランチ寄りのトーン」であることで、この記事では2本ギター+キーボードのバンドサウンドを再現するための設定値と判断基準をまとめました。 ※設定値はあくまで出発点です。数値そのものより、以降で示す耳での判断基準を優先して微調整してください。
目指す音の分解
- リズムギター: Aメロ・Bメロ・サビを通して8分のカッティング/ストロークで曲を前に押し出す役割。歪みを溜め込まず、粒立ちのはっきりしたエッジ感が理想です。
- リードギター: イントロ・間奏で印象的なリフ/オブリガードを弾く役割。歪みを増やすのではなく、ブーストで前に出す形で輪郭を保ちます。
- ベース: 5弦ベースの低弦を活かしたタイトな疾走感を支える役割。サビでは音圧を上げつつも、指弾き特有の粒立ちを潰さないことが重要です。
- キーボード: イントロの印象的なピアノフレーズを核に、サビではシンセ/オルガンで厚みを足す役割です。ピアノ単体でも成立する曲だと分かるほど、フレーズ自体が曲の顔になっています。
- バンドで2人ギターがいる場合: PABLO・生本直毅という実在の2人ギター編成であり、ギター1は曲を通してリズム担当、ギター2は曲を通してリード担当という役割固定で2本を同時に鳴らします。
- 1人で両方を担当する場合(宅録・弾いてみた等): セクションごとにリズム/リードのパッチを切り替えて同じ分解を1人で再現します。
- 「歪みは薄く、エッジは効かせる」が原曲の音作りの核心であり、ここを見誤ると重すぎるサウンドになります。
① ギター:マルチエフェクター設定(GT-1000CORE / MS-3 / G6 / GE系など共通)
Guitar → コンプ(軽め) → ドライブ(薄め) → アンプモデル(クリーン〜薄クランチ)
→ ブースター(リードのみON) → ディレイ → リバーブ → Amp Out
- アンプモデル設定: GAIN 25〜30%(音が団子にならず、コードの分離感が残る上限)/ TREBLE 55〜60%(エッジを出しつつ耳に刺さらない範囲)/ MIDDLE 50%(削らない方針)/ BASS 40%(ベース・キーボードの低域と被らない上限)/ LEVELは歌を邪魔しない音量が基準
- ドライブブロック: TS系、GAIN 15〜20%、TONE 55%、LEVEL 55%。「歪んでいる」と感じるより「エッジが立っている」と感じる程度に留めるのが判断基準で、これを超えると原曲の疾走感が重く鈍ります
- ブースターブロック(リードのみ): クリーンブースト系、GAINは上げずLEVELのみ+3dB程度。歪み量を増やさず音量と輪郭だけを前に出すのが目的で、ゲインが上がったと感じたらやり過ぎです
- ディレイブロック: BPM135から算出すると、8分 = 60000÷135 ≒ 444ms、付点8分 = 444×1.5 ≒ 667ms。リズムは8分444msを薄くタップし、リードはイントロ・間奏のリフで付点8分667msを軽く重ねて余韻を作ります
- リバーブ方針: ルーム系を薄めにMix 30〜35%程度。原曲もドライ寄りのルームリバーブが基調のため、深すぎるホール系は避けます
- パッチ対比表: バンドで2人ギターがいる場合は、ギター1・ギター2がそれぞれ下記のパッチを曲を通して同時に鳴らし続けます。1人で両方を担当する場合は、この2パッチをセクションごとに切り替えて使ってください
| 項目 | リズムパッチ(ギター1/1人の場合は基本パッチ) | リードパッチ(ギター2/1人の場合はサビ・間奏で切替) |
|---|---|---|
| GAIN | 25% | 28% |
| ブースター | OFF | ON |
| ディレイMix | 8分/10% | 付点8分/20% |
| リバーブMix | 30% | 35% |
② ギター:マーシャルのみの場合(JCM900 / JCM2000 / DSL系)
- アンプ設定: GAIN 2〜3(音が団子にならず分離感が残る上限)/ TREBLE 6(エッジを出す範囲)/ MIDDLE 5(削らない)/ BASS 4(ベース・キーボードと被らない上限)/ PRESENCE 4〜5(耳当たりが硬くならない上限)
- ピッキング強弱での展開: Aメロ・Bメロは手元を軽く絞ってタイトに、サビ・間奏は強めに弾き込んでリフ/カッティングの輪郭を前に出すのが基本です
- 足りない機能への対処: マーシャル単体はディレイ・リバーブが無いため、付点8分667msを再現できる空間系ペダルを1台足すと、イントロ・間奏のリフの余韻が大きく変わります
③ ベース:マルチエフェクター/プロセッサー設定(GT-1000CORE / MS-3 / GT-1B系など共通)
Bass → コンプ → ドライブ/EQ(基本OFF) → アンプモデル(DI+アンプブレンド)
→ Amp/DI Out
- コンプ設定: スレッショルドは指弾き・ピック弾きどちらでも粒が揃う程度、レシオ3:1前後。原曲は5弦の低音弦を活かした指弾きの疾走感が持ち味のため、アタック(粒立ち)を潰さない上限がコンプの掛けすぎを判断する基準です
- アンプモデル設定: GAIN 35%(丸くなりすぎない上限)/ BASS 55%(5弦の低域を活かす)/ LOW-MID 50%(削らない方針)/ HIGH-MID 40%(ギター・キーボードと被らない上限)/ TREBLE 35%(刺さらない範囲)/ LEVELは歌を邪魔しない音量が基準。DI+アンプの比率はDI7:アンプ3を起点に、指弾きのアタック感が残る範囲で耳で微調整します
- ドライブ/EQブロック(使う場合のみ): 基本OFFですが、サビでわずかに厚みを足したい時のみ軽いドライブを薄くON。低音の輪郭を失わない上限まで下げるのが判断基準です
- 通常パッチ/サビパッチの対比表
| 項目 | 通常パッチ | サビパッチ(音圧を上げる場面) |
|---|---|---|
| コンプ量 | 軽め(粒立ち優先) | やや強め(音圧優先) |
| DI:アンプ比率 | 7:3 | 6:4 |
| ドライブ | OFF | 薄くON |
| LEVEL | 基準値 | +1〜2dB程度 |
④ ベース:アンプ(DI)のみの場合(Ampeg SVT系)
- アンプ設定: GAIN 3(音が割れない上限)/ ULTRA LO 軽め(団子にならない範囲)/ ULTRA HI OFF(硬くなりすぎない)/ BASS 5〜6(5弦の低域を活かす)/ MIDDLE 5(削らない)/ TREBLE 3〜4(刺さらない範囲)
- 指弾き/ピック弾きでの展開: Aメロ・Bメロは指弾きで疾走感のある粒立ちを出し、サビでピックに持ち替えて音圧とアタックを足す使い分けが基本です
- 足りない機能への対処: アンプ単体はコンプの細かい調整ができないため、指弾きの粒立ちを均す外部コンプペダルを1台足すと通常/サビの差が安定します
⑤ キーボード/シンセ音作り
- 音色カテゴリ: イントロ〜曲全体を貫くアコースティックピアノ系フレーズを主役に、サビではアナログシンセパッド系・オルガン系で厚みを足します。ピアノフレーズ単体でも曲だと認識できるほど独立して聴こえるかが選定の判断基準です
- EQ方針: 250〜500Hz付近をギター・ベースと被らない範囲でわずかにカットし、ピアノの高域アタックとサビのパッド成分は残します。バンド全体で音の隙間があるかを耳で確認しながら削るのが基準です
- 空間系: BPM135から8分444ms・付点8分667ms。イントロのピアノフレーズには8分444msを薄くMixして輪郭を保ち、サビのパッド/オルガンには付点8分667msで奥行きを足します
- セクションごとの運用: イントロはピアノフレーズを主役に音量を上げ、Aメロ・Bメロは伴奏に回って音量を絞り、サビはパッド/オルガンで厚みを足しつつピアノのフレーズ感も残して曲の顔を強調します
セクション別の組み立て
- イントロ: キーボードのピアノフレーズを主役に、ギターはリズムパッチで音量を抑えて土台を作ります
- Aメロ: ボーカルを邪魔しないようリズムパッチのゲインを絞り、ベースは指弾きの粒立ちを優先して安定させます
- Bメロ: サビに向けディレイMixとベースの密度を少しずつ上げ、疾走感を作ります
- サビ: リードパッチに切り替えブースターと付点8分667msのディレイを軽く重ね、ベースはサビパッチで音圧を上げ、キーボードもパッド/オルガンを前に出して曲の顔を強調します
- 間奏: リードギターのリフとキーボードのピアノフレーズを絡ませ、原曲同様ドライ寄りのルームリバーブで余韻を残します
- アウトロ: 音数を減らし、ディレイとリバーブの余韻だけを残して疾走感を保ったまま着地します
まとめ
- BPM135のディレイ基準値は8分444ms・付点8分667msです
- LiSAのツアーバンドはPABLO・生本直毅の実在2人ギター編成のため、バンドは2本同時運用、1人なら切り替え運用で対応します
- 「歪みは薄く、エッジは効かせる」が原曲の音作りの核心で、ここを見誤ると重すぎるサウンドになります
- イントロのピアノフレーズを主役として扱うのがこの曲の判断基準の一つです
- 次回は同じアニメタイアップ・疾走系ロックの定番曲の音作りも解説予定です
※この設定は実機検証前のドラフトです
設定値は出発点です。数値より耳での判断基準を優先して調整してください。