Chinozo「グッバイ宣言」はBPM170、キーはAマイナーの疾走感あふれるボカロ曲です。和楽器バンドのバンドアレンジ版をはじめ、ギター・ベースを含む弾いてみた動画やソロ解説動画も多数あります。この記事ではマルチエフェクターとマーシャル単体それぞれで、この疾走感を再現する設定値と判断基準をまとめました。 ※設定値は出発点です。数値より耳での判断基準を優先して微調整してください。
目指す音の分解
- リズムギター: 16分主体のカッティングで疾走感を支える役割。速いテンポでも音の粒を潰さず前に進む質感が理想です。
- リードギター: 間奏のフュージョン的な速弾きソロやサビの合いの手を担う役割。輪郭のはっきりした鋭さと、音が団子にならない分離感を狙います。
- ベース: 8分/16分でリズムを刻み低音の土台を支える役割。粒立ちを保ちつつサビでは音圧を上げ疾走感を後押しします。
- 速いテンポでも音の粒を潰さず、ミドルを削らずに歪みは薄く重ねる ― この曲の疾走感を保つ基本方針です。
① ギター:マルチエフェクター設定(GT-1000CORE / MS-3 / G6 / GE系など共通)
Guitar → ドライブ(TS系) → アンプモデル(Marshall系クランチ〜ハイゲイン)
→ ブースター(リードのみON) → ディレイ → リバーブ → Amp Out
- アンプモデル設定: GAIN 50〜55%(16分でも輪郭が潰れない上限)/ TREBLE 55〜60%(刺さらない上限)/ MIDDLE 55〜60%(削らない方針)/ BASS 45%(ベースと喧嘩しない上限)/ LEVEL はバンド内で埋もれない音量が基準
- ドライブブロック: TS系、GAIN 30〜35%、TONE 55%、LEVEL 50%。16分の粒立ちが潰れない上限まで下げるのが判断基準です
- ブースターブロック(リードのみ): クリーンブースト系、GAINは上げずLEVELのみ+3〜4dB。速弾きソロの音量だけを持ち上げ、歪みが増えたらやり過ぎです
- ディレイブロック: BPM170から、8分 = 60000÷170 ≈ 353ms、付点8分 = 60000÷170×1.5 ≈ 529ms。リズムは8分353msを薄くタップ、リードソロは付点8分529msで広がりを出します
- リバーブ方針: ホール系を薄めにMix 15%程度。ソロ・サビ時のみ20〜25%まで上げます
- リズム/リードのパッチ対比表: 原曲・弾いてみた動画とも1人のギタリスト演奏が中心のため、セクションごとにパッチを切り替えます
| 項目 | リズムパッチ | リードパッチ |
|---|---|---|
| GAIN | 50% | 55% |
| ブースター | OFF | ON |
| ディレイMix | 8分/10% | 付点8分/25% |
| リバーブMix | 15% | 20〜25% |
② ギター:マーシャルのみの場合(JCM900 / JCM2000 / DSL系)
- アンプ設定: GAIN 5〜6(16分でも粒立ちが潰れない上限)/ TREBLE 5〜6(刺さらない範囲)/ MIDDLE 5〜6(削らない)/ BASS 4(ベースと被らない上限)/ PRESENCE 5〜6(速いフレーズが団子にならない上限)
- ピッキング強弱での展開: Aメロは弱めに絞り、サビ・ソロは強めに弾き込む。ピッキングだけでリズムとリードの音量差を作るのが基本です
- 足りない機能への対処: マーシャル単体はディレイ・リバーブが無いため、このディレイ計算(付点8分529ms)を再現できる空間系ペダルを1台足すとソロの伸びが変わります
③ ベース:マルチエフェクター/プロセッサー設定(GT-1000CORE / MS-3 / GT-1B系など共通)
Bass → コンプ → ドライブ/EQ(使う場合のみ) → アンプモデル(DI+アンプブレンド)
→ Amp/DI Out
- コンプ設定: スレッショルドは16分ピッキングのばらつきが均される程度、レシオ3:1前後。アタック(粒立ち)を潰さない上限がコンプの掛けすぎを判断する基準です
- アンプモデル設定: GAIN 40%(音圧を上げても潰れない上限)/ BASS 55%/ LOW-MID 50%(削らない方針)/ HIGH-MID 45%(ギターと被らない上限)/ TREBLE 40%(刺さらない範囲)/ LEVEL はギターに埋もれない音量が基準。DI+アンプのブレンド比率は指弾きのアタック感が残る範囲で色を混ぜるのが判断基準で、DI7:アンプ3から耳で微調整します
- ドライブ/EQブロック(使う場合のみ): サビで音圧を上げたい時のみ軽いドライブ系を薄くON。低音の輪郭が潰れて団子にならない上限まで下げるのが判断基準です
- 通常パッチ/サビパッチの対比表
| 項目 | 通常パッチ | サビパッチ(音圧を上げる場面) |
|---|---|---|
| コンプ量 | 軽め(粒立ち優先) | やや強め(音圧優先) |
| DI:アンプ比率 | 7:3 | 6:4 |
| ドライブ | OFF | 薄くON |
| LEVEL | 基準値 | +2〜3dB程度 |
④ ベース:アンプ(DI)のみの場合(Ampeg SVT系)
- アンプ設定: GAIN 4〜5(音が割れない上限)/ ULTRA LO OFF〜軽め(団子にならない範囲)/ ULTRA HI 軽め(アタックが埋もれない程度)/ BASS 5〜6/ MIDDLE 5(削らない)/ TREBLE 4(刺さらない範囲)
- 指弾き/ピック弾きでの展開: Aメロは指弾きで丸く、サビはピック弾きに切り替えアタックと音圧を上げる。奏法の切り替えだけで音圧差を作るのが基本です
- 足りない機能への対処: アンプ単体はコンプ・EQの細かい調整ができないため、粒立ちを均す外部コンプペダルを1台足すと速いパッセージでも音圧が安定します
セクション別の組み立て
- イントロ: リズムパッチ・通常ベースパッチで音数を抑え、ディレイは薄めに入りを整理します
- Aメロ: ギターのゲインとリバーブを最小に絞り、ベースは指弾き寄りの丸い音圧に留めます
- Bメロ: サビに向けギターのディレイMixを段階的に上げ、ベースもコンプ量とLEVELを上げます
- サビ: ギターはリードパッチに切り替えブースターとディレイ(付点8分529ms)をONにします。ベースはサビパッチで音圧を上げます
- 間奏(ギターソロ): リードパッチのままブースターをしっかりON、LEVELを上げます。ベースは通常パッチに落として輪郭をはっきりさせます
- アウトロ: 音数を減らしリバーブだけをやや残し、ベースは通常パッチに戻します
まとめ
- BPM170のディレイ基準値は8分353ms・付点8分529msです
- ミドルを削らず歪みを薄く重ねるのがサイト共通の考え方です
- ギターはリード/リズムの切り替え、ベースは通常/サビパッチの切り替えで疾走感を作ります
- 次回は「ドライフラワー」(優里)の音作りも解説予定です
※この設定は実機検証前のドラフトです
設定値は出発点です。数値より耳での判断基準を優先して調整してください。