Mr.Children「足音 〜Be Strong」は、2014年発売の35thシングルでフジテレビ系ドラマ「信長協奏曲」主題歌としても知られる、BPM73・キーFメジャーのパワーバラードです。公式バンドスコアにはボーカル/コーラス/ピアノ&キーボード/エレキギター×2/アコースティックギター/エレキベース/ドラムのフル編成が明記され、ツアーでのバンド生演奏映像も確認できる、実在のバンドアレンジが前提の曲です。原曲は桜井和寿(Vo/Gt)と田原健一(Gt)の2人ギター編成に加え、イントロを象徴するピアノフレーズが曲を通して存在感を放つため、この記事ではギター・ベースに加えてキーボードの設定値もまとめました。 ※設定値はあくまで出発点です。数値そのものより、以降で示す耳での判断基準を優先して微調整してください。
目指す音の分解
- リズムギター(桜井): 曲全体を通してアルペジオとコードストロークで土台を支える役割。サビに向けて音圧が積み上がる構成なので、歪みは薄く保ちつつコードの輪郭を潰さない質感が理想です。
- リードギター(田原): サビ・間奏で伸びやかなロングトーンを重ねる役割。パワーバラードの空気を邪魔しない、余韻の長さと音量バランスが基準になります。
- ベース(中川敬輔): 8分主体でゆったりと支えながら、サビにかけて音圧を押し上げる役割。テンポが遅い分、音の輪郭がだらけて聴こえないタイトさが求められます。
- キーボード/ピアノ(SUNNY): イントロを象徴するピアノフレーズを軸に、曲全体で歌とギターの隙間を埋める役割。伴奏に埋もれず、独立して聴こえる粒立ちの良さが理想です。
- BPM73のゆったりしたテンポでも音の輪郭を緩めず、サビに向けて積み上がる音圧を段階的にコントロールするのがこの曲の音作りの軸です。
① ギター:マルチエフェクター設定(GT-1000CORE / MS-3 / G6 / GE系など共通)
Guitar → コンプ(軽め) → ドライブ(薄め) → アンプモデル(クリーン〜クランチ)
→ ブースター(リードのみ) → ディレイ → リバーブ → Amp Out
- アンプモデル設定: GAIN 30〜35%(ゆったりしたテンポでも音が緩まない上限)/ TREBLE 55%(ピアノの高域と刺さり合わない上限)/ MIDDLE 55%(削らない方針)/ BASS 40%(ベース・ピアノの低域と被らない上限)/ LEVELはサビに向けて音圧が積み上がる展開を支える音量が基準
- ドライブブロック: TS系、GAIN 15〜20%、TONE 55%、LEVEL 50%。バラードのAメロ・Bメロでコードが濁って聴こえない上限まで下げるのが判断基準です
- ブースターブロック(リードのみ): クリーンブースト系、GAINは上げずLEVELのみ+2〜3dB程度。サビ・間奏のロングトーンが前に出過ぎて歌やピアノを食わない範囲に収めるのが判断基準です
- ディレイブロック: BPM73から算出すると、8分 = 60000÷73 = 約821.9ms、付点8分 = 821.9×1.5 = 約1232.9ms。リズムはほぼディレイをかけずアルペジオの粒立ちを優先し、リードは付点8分1232.9msで間奏・サビのロングトーンに広がりを持たせます
- リバーブ方針: ホール系をMix 20〜30%程度。ゆったりしたテンポで残響が重なりすぎて歌詞の聴き取りにくさが出始めたら深すぎるサインです
- パッチ対比表: バンドで2人ギターがいる場合はギター1(桜井=リズム)・ギター2(田原=リード)が役割固定のまま同時運用します。1人で両方を担当する場合(宅録・弾いてみた等)は、下記パッチをセクションごとに切り替えます
| 項目 | リズムパッチ(ギター1/桜井用) | リードパッチ(ギター2/田原用) |
|---|---|---|
| GAIN | 30% | 35% |
| ブースター | OFF | ON |
| ディレイMix | ほぼOFF/5% | 付点8分/22% |
| リバーブMix | 20% | 28% |
② ギター:マーシャルのみの場合(JCM900 / JCM2000 / DSL系)
- アンプ設定: GAIN 3(コードの輪郭が潰れない上限)/ TREBLE 6(ピアノと刺さり合わない範囲)/ MIDDLE 6(削らない)/ BASS 4(ベース・ピアノと被らない上限)/ PRESENCE 5(耳当たりが硬くならない上限)
- ピッキング強弱での展開の作り方: イントロ・Aメロ・Bメロは手元を軽く絞ってアルペジオを繊細に鳴らし、サビ・間奏にかけて弾き込みを強めて音圧を段階的に積み上げていくのが基本です(2人編成なら桜井=終始リズム、田原=サビ・間奏で前に出るイメージ)
- 足りない機能への対処: マーシャル単体はディレイ・リバーブが無いため、付点8分1232.9msの空間を再現できる空間系ペダルを1台足すと、間奏・サビのロングトーンの広がりが大きく変わります
③ ベース:マルチエフェクター/プロセッサー設定(GT-1000CORE / MS-3 / GT-1B系など共通)
Bass → コンプ → ドライブ/EQ(基本OFF) → アンプモデル(DI+アンプブレンド)
→ Amp/DI Out
- コンプ設定: スレッショルドは8分刻みの粒が揃って聴こえる程度、レシオ3:1前後。アタック(粒立ち)を潰さない上限がコンプの掛けすぎを判断する基準です
- アンプモデル設定: GAIN 35%(ゆったりしたテンポでも輪郭が緩まない上限)/ BASS 50%/ LOW-MID 50%(削らない方針)/ HIGH-MID 45%(ギター・ピアノと被らない上限)/ TREBLE 30%(刺さらない範囲)/ LEVELはサビに向けて音圧を押し上げる音量が基準。DI+アンプの比率はDI6:アンプ4を起点に、指弾きのアタック感が残る範囲でアンプ側の色を混ぜるのが判断基準です
- ドライブ/EQブロック(使う場合のみ): 基本OFFですが、サビで厚みを足したい時のみ軽いドライブを薄くON。低音の輪郭を失わない上限まで下げるのが判断基準です
- 通常パッチ/サビパッチの対比表
| 項目 | 通常パッチ | サビパッチ(音圧を上げる場面) |
|---|---|---|
| コンプ量 | 軽め(粒立ち優先) | やや強め(音圧優先) |
| DI:アンプ比率 | 6:4 | 5:5 |
| ドライブ | OFF | 薄くON |
| LEVEL | 基準値 | +2dB程度 |
④ ベース:アンプ(DI)のみの場合(Ampeg SVT系)
- アンプ設定: GAIN 3(ゆったりしたテンポで音が団子にならない上限)/ ULTRA LO 軽め(もたつかない範囲)/ ULTRA HI 軽め(硬くなりすぎない範囲)/ BASS 5/ MIDDLE 5(削らない)/ TREBLE 4(刺さらない範囲)
- 指弾き/ピック弾きでの展開の作り方: イントロ・Aメロ・Bメロは指弾きで柔らかく支え、サビでピックに持ち替えてアタックを強めると、通常/サビの音圧差がはっきり作れます
- 足りない機能への対処: アンプ単体はコンプの細かい調整ができないため、ゆったりしたテンポでの粒立ちを均す外部コンプペダルを1台足すと音の安定感が増します
⑤ キーボード/シンセ音作り
- 音色カテゴリ: アコースティックピアノ系。イントロから曲を通して伴奏に埋もれず、歌の隙間を埋める独立したフレーズとして聴こえるかが選定の判断基準です(公式バンドスコアでもピアノ&キーボードのパートが単独で明記され、キーボーディストSUNNYがこの生ピアノ&キーボードパートを担当しています。イントロのピアノフレーズだけを扱う動画やピアノソロ譜も流通するほど独立性の高いフレーズです)。特定の音源名を決め打ちせず、明るく粒立ちの良いアコースティックピアノ系の音色を選ぶのが実践的です
- EQ方針: 300〜500Hz付近をギター・ベースと被らない範囲でわずかにカット、3〜5kHz付近はアタックの粒立ちを活かす方向でわずかに持ち上げます。バンド全体で音の隙間があるかを耳で確認しながら削る/持ち上げるのが基準です
- 空間系: BPM73から8分821.9ms・付点8分1232.9ms。イントロのピアノフレーズには付点8分1232.9msを薄くMixして奥行きを足し、歌が主体のAメロ・Bメロではディレイを絞ってコード感と歌詞の聴き取りやすさを優先します
- セクションごとの運用: イントロはピアノフレーズを主役に音量を上げ、Aメロ・Bメロは歌の伴奏に回って音量を絞り、サビでは音圧が積み上がる展開に合わせて音量とディレイMixを共に持ち上げます。間奏は再びピアノフレーズを前に出し、曲の推進力を途切れさせないようにします
セクション別の組み立て
- イントロ: キーボードのピアノフレーズを主役に、ギターはリズムパッチで音量を抑えて曲の空気だけを作ります
- Aメロ: 歌とピアノの音色を邪魔しないようリズムギターは音量を絞り、ベースは指弾きで8分刻みを柔らかく支えます
- Bメロ: サビに向けディレイMixとリバーブを少しずつ深くし、ベースのコンプもやや強めに移行して音圧の高まりを演出します
- サビ: ギターはリードパッチに切り替えブースターと付点8分1232.9msのディレイをONにし、ベースはサビパッチで音圧を上げ、キーボードも音量とディレイを足して曲全体の推進力を最大化します
- 間奏: リードギター(田原)とキーボードのピアノフレーズを対等に鳴らし、互いの余白を潰さないよう音量バランスを耳で確認します
- 後半〜アウトロ: リバーブを深めにして曲全体の広がりを増しつつ、音圧を保ったままギター・ベース・ピアノの余韻を丁寧に着地させます
まとめ
- BPM73のディレイ基準値は8分821.9ms・付点8分1232.9msです
- 2人ギター編成なら桜井=リズム/田原=リードの役割固定、1人録音ならパッチ切り替えで対応します
- イントロを象徴するアコースティックピアノのフレーズを軸に据え、サビに向けた音圧の積み上げを段階的にコントロールするのがこの曲最大の判断基準です
- キーボードは特定音源名を決め打ちせず、明るく粒立ちの良いアコースティックピアノ系の音色を選ぶのが実践的です
- 次回は同アーティストの別の代表曲の音作りも解説予定です
※この設定は実機検証前のドラフトです
設定値は出発点です。数値より耳での判断基準を優先して調整してください。