ポルノグラフィティ「アゲハ蝶」はBPM116、キーCのミドルテンポ曲です(ラスサビのみ半音上でC#に転調)。原曲はサンポーニャ(パンフルート)やケーナといった南米フォルクローレの音色を重ねたラテン調のアレンジで、ギターは新藤晴一による単一プレイヤー編成、イントロ・間奏の顔となるメロディは民族楽器系のシンセ/キーボードが担っています。この記事ではマルチエフェクターとマーシャル単体それぞれのギター設定に加え、ベースとシンセパートの音作りをまとめました。 ※設定値はあくまで出発点です。数値より耳での判断基準を優先して微調整してください。
目指す音の分解
- リズムギター: 終始歌のバッキングを支えるカッティング/アルペジオ役。歪みは薄く、ラテン調の弾むリズムを邪魔しない乾いた質感が理想です。
- リードギター: 間奏やサビの合間に単音フレーズを差し込む役。輪郭ははっきりさせつつ耳に刺さらない伸びを狙います。
- ベース: ルートを軸に軽快に動き曲を前へ運ぶ役割。粒立ちを保ちサビでわずかに前に出ます。
- キーボード/シンセ: パンフルート・ケーナ系の音色でイントロ・間奏のメロディを奏でる、曲の顔となる役割です。
- 強く歪ませず、ラテンのグルーヴ感と歌・シンセメロディの輪郭を最優先に残すのがこの曲の音作りの軸です。
① ギター:マルチエフェクター設定(GT-1000CORE / MS-3 / G6 / GE系など共通)
Guitar → コンプ(軽め) → ドライブ(薄め) → アンプモデル(クリーン〜軽クランチ)
→ ブースター(リードのみON) → ディレイ → リバーブ → Amp Out
- アンプモデル設定: GAIN 20〜25%(カッティングの粒が潰れない上限)/ TREBLE 55%(刺さらない上限)/ MIDDLE 55〜60%(削らない方針)/ BASS 45%(ベース・シンセと喧嘩しない上限)/ LEVELは歌を邪魔しない音量が基準
- ドライブブロック: TS系、GAIN 15〜20%、TONE 50%、LEVEL 50%。カッティング一音一音が団子にならない上限まで下げるのが判断基準です
- ブースターブロック(リードのみ): クリーンブースト系、GAINは上げずLEVELのみ+3dB程度。間奏フレーズだけを前に出し、歪み感が変わったらやり過ぎです
- ディレイブロック: BPM116から、8分 = 60000÷116 ≒ 517ms、付点8分 = 60000÷116×1.5 ≒ 776ms。リズムは8分517msを薄くタップ、リードは付点8分776msでフレーズに広がりを出します
- リバーブ方針: ルーム〜ホール系を薄めにMix 15〜20%程度。ラテン調の乾いたリズム感を消さない範囲に留め、リード時のみ25%前後まで上げます
- パッチ対比表: 単一プレイヤー編成のため、セクションごとに下記パッチを切り替えます
| 項目 | リズムパッチ | リードパッチ |
|---|---|---|
| GAIN | 20% | 25% |
| ブースター | OFF | ON |
| ディレイMix | 8分/10% | 付点8分/20% |
| リバーブMix | 15% | 25% |
② ギター:マーシャルのみの場合(JCM900 / JCM2000 / DSL系)
- アンプ設定: GAIN 3(粒が潰れない上限)/ TREBLE 5〜6(刺さらない範囲)/ MIDDLE 5〜6(削らない)/ BASS 4(ベース・シンセと被らない上限)/ PRESENCE 4(耳当たりが硬くならない上限)
- ピッキング強弱での展開: Aメロ・Bメロは手元を絞ってカッティングを軽く、サビ手前や間奏はやや強めに弾き込み倍音を足すのが基本です
- 足りない機能への対処: マーシャル単体はディレイ・リバーブが無いため、付点8分776msを再現できる空間系ペダルを1台足すと間奏フレーズの広がりが変わります
③ ベース:マルチエフェクター/プロセッサー設定(GT-1000CORE / MS-3 / GT-1B系など共通)
Bass → コンプ → ドライブ/EQ(基本OFF) → アンプモデル(DI+アンプブレンド)
→ Amp/DI Out
- コンプ設定: スレッショルドは指弾きのニュアンス差を潰さない程度、レシオ3:1前後。アタック(粒立ち)を潰さない上限がコンプの掛けすぎを判断する基準です
- アンプモデル設定: GAIN 35%(丸くなりすぎない上限)/ BASS 50%/ LOW-MID 50%(削らない方針)/ HIGH-MID 40%(ギター・シンセと被らない上限)/ TREBLE 35%(刺さらない範囲)/ LEVELは歌を邪魔しない音量が基準。DI+アンプの比率はDI7:アンプ3を起点に、指弾きのアタック感が残る範囲で耳で微調整します
- ドライブ/EQブロック(使う場合のみ): 基本OFFですが、サビでわずかに厚みを足したい時のみ軽いドライブを薄くON。低音の輪郭を失わない上限まで下げるのが判断基準です
- 通常パッチ/サビパッチの対比表
| 項目 | 通常パッチ | サビパッチ(音圧を上げる場面) |
|---|---|---|
| コンプ量 | 軽め(粒立ち優先) | やや強め(音圧優先) |
| DI:アンプ比率 | 7:3 | 6:4 |
| ドライブ | OFF | 薄くON |
| LEVEL | 基準値 | +1〜2dB程度 |
④ ベース:アンプ(DI)のみの場合(Ampeg SVT系)
- アンプ設定: GAIN 3(音が割れない上限)/ ULTRA LO 軽め(団子にならない範囲)/ ULTRA HI OFF(硬くなりすぎない)/ BASS 5/ MIDDLE 5(削らない)/ TREBLE 3〜4(刺さらない範囲)
- 指弾き/ピック弾きでの展開: 基本は指弾きで丸く。サビのみ軽くピックに持ち替えてアタックを足す程度に留めます
- 足りない機能への対処: アンプ単体はコンプの細かい調整ができないため、指弾きの粒立ちを均す外部コンプペダルを1台足すと通常/サビの差が安定します
⑤ キーボード/シンセ音作り
- 音色カテゴリ: 民族楽器系シンセ(パンフルート/ケーナ系)。イントロ・間奏で伴奏に埋もれず単独のメロディとして聴こえるかが選定の判断基準です
- EQ方針: 300〜500Hz付近をギター・ベースと被らない範囲でわずかにカット。高域の息成分は残し、バンド全体で音の隙間があるかを耳で確認しながら削るのが基準です
- 空間系: BPM116から8分517ms・付点8分776ms。イントロ・間奏のメロディには付点8分776msを薄くMixし、伴奏部分はディレイを絞ってコード感を優先します
- セクションごとの運用: イントロ・間奏はメロディを主役に音量を上げ、Aメロ・Bメロは伴奏に徹して絞り、サビはギターと歌の隙間を埋める程度に留めます
セクション別の組み立て
- イントロ: キーボード/シンセのパンフルート・ケーナ系メロディを主役に、ギターはリズムパッチで音量を抑えます
- Aメロ/Bメロ: ギターは歌伴奏のカッティング中心、キーボードは伴奏に回り、ベースはサビに向け少しずつ動きを増やします
- サビ: ギターはリードパッチに切り替えブースターとディレイ(付点8分776ms)をON、ベースはサビパッチ、キーボードは歌の隙間を埋める程度に音量調整します
- 間奏: キーボード/シンセのメロディを再び主役に戻し、リードギターとユニゾン気味に絡めます
- アウトロ: 音数を減らしリバーブとメロディの余韻だけを残して着地します
まとめ
- BPM116のディレイ基準値は8分517ms・付点8分776msです
- ギターは単一プレイヤー編成前提で、リズム/リードのパッチ切り替えで対応します
- パンフルート・ケーナ系のシンセメロディを主役として扱うのがこの曲最大の判断基準です
- 次回は「若者のすべて」(フジファブリック)の音作りも解説予定です
※この設定は実機検証前のドラフトです
設定値は出発点です。数値より耳での判断基準を優先して調整してください。